メモ

世界各都市の道路が向いている方角が可視化されたグラフを比べてみると何がわかるのか?


カリフォルニア大学バークレー校の博士研究員を務めるジェフ・ボーイング氏が、道路網をプログラムによって地図から抽出し、道路の向きがどれくらいの頻度で登場するのかを図示することで都市の複雑さを比較するという手法を発表しています。

Comparing City Street Orientations - Geoff Boeing
http://geoffboeing.com/2018/07/comparing-city-street-orientations/


ボーイング氏は、都市計画家のケヴィン・リンチが60年前に「『道』『縁』『地域』『結節点』『目印』という5つの要素が都市を構成する」と主張したことを受け、そのうちの1要素である道を、各都市のOpenStreetMapから抽出し、比較しました。

例えば以下の図は、カリフォルニア州・サンタモニカの道だけを地図から抽出したもの。直線上の道路がほとんど垂直に交わり、区画整理がきっちりされているという印象です。


そして以下のグラフが、極座標上に道路の方向と頻度を示したもの。北を0度として道路の方角が青い線で表されています。中心からの距離は相対頻度を表していて、その方角の道路の総合距離が長いほど、青い部分が長く表示されます。サンタモニカの道はほとんど直行しているため、「北東~南西の道」と「南東~北西の道」のほぼ2種類に分類されていることがわかります。「南東~北西の道」のほうが、「北東~南西の道」よりも総合距離が長いことが示されています。


一方、同じカリフォルニア州のモラガのもの。区画整理ではなく、地形や農地の形に依存して道が開かれているため、サンタモニカのものに比べると曲線が多く、複雑に入りくんだ道路網となっています。


実際にグラフ化してみるとこんな感じ。ほぼ2方向に分けられたサンタモニカと明確に異なり、さまざまな方角に散らばっています。


この極座標グラフを、アメリカ中の都市を対象に作ったのが以下の画像。調査対象となったほとんどの都市で、道の方向が2方向に集中していて、きっちりと整理されている印象があります。一方、道の方向がかなり散らばっているノースカロライナ州・シャーロットは北向きと南向きの相対頻度が違っていて、グラフが点対称ではありません。これは北向きの一方通行となる道が多いということで、最も道が入りくんでいる都市の1つといえます。


さらに、世界中の各都市をグラフ化したものが以下の画像。アメリカと違い、世界規模で見ると道が格子状に整理されている都市ばかりではないことがわかります。また、よくみると香港やグラスゴーのグラフも点対称性を失っています。


ボーイング氏は、この極座標グラフを見るだけで都市の複雑さが浮き彫りになると主張しています。例えば、ボストンはサンタモニカに比べると道路が整理されていないことがわかり、ボストンに土地勘がない人であれば迷ってしまいやすいということが一目でわかります。ボストンを知らない人にもイメージしやすい都市とするためには、リンチの唱える他の要素「縁」「地域」「結節点」「目印」を考えていく必要があります。


なお、ボーイング氏がOpenStreetMapから都市境界線と道路網を抽出するために利用したPythonパッケージ「OSMnx」は、GitHubで公開されています。

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in メモ, Posted by log1i_yk