インタビュー

細胞擬人化アニメ「はたらく細胞」の高橋祐馬プロデューサーにインタビュー、「献血で第1話試聴」など面白施策を打ち出す裏側とは?


2018年7月7日から、擬人化した細胞たちが大活躍するテレビアニメ「はたらく細胞」の放送がスタートします。いろいろなものが擬人化されてきましたが、今回題材となるのは、意外と知らない我々の「からだの中」のお話。月刊少年シリウス連載の人気作を、どのようにしてアニメ化することになったのか、プロデューサーであるアニプレックス・高橋祐馬さんにお話をうかがってきました。

TVアニメ『はたらく細胞』公式サイト | 2018.7.7(土)放送開始!!
http://hataraku-saibou.com/

©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction

実は高橋さんはGIGAZINEの中には何度か登場済み。たとえば、アニプレックスの宣伝マンとして、徳島で開催されるアニメイベント・マチ★アソビで鉄を削り出して作った「エクスカリバー」を制作・展示したり、はたまた小説を書いて同人誌として販売したり、あるいは「東京国際アニメフェア」と「アニメ コンテンツ エキスポ」を発展統合した「AnimeJapan 2014」のイベントプロデューサーだったりと活躍してきた人物なので、ご存知の方もいるかもしれません。本作は、高橋さんがはじめて自ら企画を立ち上げたという作品です。


◆「はたらく細胞」アニメ化が実現した経緯
GIGAZINE(以下、G):
「はたらく細胞」のアニメ化にあたっては、高橋プロデューサーが実際にマンガを読んでアニメ化を思い立ち企画書を書いたとうかがっていますが、「はたらく細胞」を読んだのはいつごろ、何がきっかけだったのですか?

アニプレックス高橋祐馬プロデューサー(以下、高橋):
2015年にコミックスを読んだのが最初の出会いです。読んだ瞬間から超面白くて「これはすごいな」と思いました。当時はアニメの「宣伝プロデューサー」をしていましたが、制作的な仕事も少ししていた状況だったので、まずはすぐに講談社さんに連絡しました。

G:
読んだというのは、本屋さんで見かけたりして、という形ですか?

高橋:
そうですね。見かけたときに「面白いタイトルだな」と思い、手に取りました。タイトルは可愛い印象ですが、内容はド派手なエンタメだったので、その意外性にもやられましたね。

G:
アニメ化したいという話を持っていくにあたっては企画書などを書かれたと思いますが、どのようなものを作りましたか?

高橋:
マンガや小説であればまずは出版社さんに問い合わせることになりますが、私はその時点で「○○という制作会社さんに作って頂けます」とか「ビジネス的にこんなコミットが出来ます」というような後ろ盾は一切ない状態だったんです。だから最初に作ったのはシンプルに、「この作品をとても面白いと思っています。こんな風になると素敵だなと思っています!」と、思春期のラブレターみたいな内容でした(笑)

G:
(笑) そういう段階での企画書だったんですね。

高橋:
「こんな風に制作して、こんな展開をし、こんな風にプロジェクトを大きくしたら作品として面白いんじゃないか」と、夢を詰め込んだような内容でしたね。

G:
そういったやり方は、アニプレックスではよくあるのですか?

高橋:
なくはないですが、みんなもう少しちゃんとしてますね(笑)。多いのは、すでに「何らかの組み合わせ」ができている、たとえば、あるスタジオさんとタッグを組んだ上で出版社さんに対して「我々にこの作品を預けてくれませんか?」と話をしに行くであるとか、逆に、原作をすでにお預かりしていて、スタジオさんに対して「こういう作品があるのですが一緒にやりませんか?」と声をかけるという形です。

G:
今回のケースだとまずは講談社さんに連絡を取ったわけですね。企画書を見せたときの反応というのはいかがでしたか?

高橋:
一番最初の企画書は「実現したら面白いですね」という、色々な意味で大人な反応を頂きました。思い返すと、とても優しくして頂いたというか(笑)。でも、その後がちょっと変わった流れだったんです。

G:
といいますと?

高橋:
今回制作を担当することになったdavid productionさんが、スタジオとして講談社さんに「うちで制作させて頂けないでしょうか」とオファーを出されていたということを偶然知る機会がありまして。

G:
おおー、それはアニプレックスとは関係なく?

高橋:
そうなんです。それで、うちはスタジオさんのあてがあったわけではなく、david productionさんはメーカーのパートナーがいるわけではない、という状態だったんですね。それがわかったので、お互いに連絡をとって状況なども確認した上で、「じゃあ、タッグを組みましょう」という話になり、そのおかげで「『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズなどを手がけているdavid productionさんが制作する」という企画書になり、その他のビジネス的な部分もアップデートした上で、改めてオファーすることができました。david productionさんと弊社は、以前に「妖狐×僕SS」という作品でご一緒しており、とても良いプロジェクトだったのでそのご縁も含めですね。その後、講談社さんが色々な提案の中から我々を選んで下さったというのが今に至るスタートです。

G:
すごいですね、こうなると「運」ですね。制作がdavid productionになったのはどういう理由なのだろう、やはりアクションだからかな、などと思っていたんです。

高橋:
もちろんそうした、映像制作に関する部分は大いにあった上で、ですね。

G:
公式サイトの「製作」のところの表記も少し変わっていますよね、「アニプレックス・講談社・david production」と3社の名前が並んでいて、製作委員会名にはなっていないという。

高橋:
あれは自分の中でのリスペクトと験担ぎを込めたものです。以前、私が宣伝を担当していた<物語>シリーズが、同じように「アニプレックス・講談社・シャフト」という表記だったんです。プロデューサーの岩上敦宏(現・アニプレックス社長)が、「表記された会社が、責任を持って頑張るということを伝えて、ある種の覚悟を持って挑む」という様な意図で、あえて「○○製作委員会」とはせずに社名を出したのですが、当時、素敵だなと思っていて、今回、同じ講談社さんということもあり、あの表記にしました。仕組みとしては製作委員会で、この3社が出資していますが、3社だけなので、お互いに近い距離でプロジェクトを進められて、とても面白いです。

G:
なるほど、そういう理由だったんですね。実際、企画がOKとなってみていかがでしたか?

高橋:
TVアニメで、自分で出版社さんに問い合わせをして企画を立ち上げていくのは初のことだったので、やはり嬉しかったです。オファーをしてから3年弱、ようやく放送開始にこぎつけました。

◆アニメ化プロジェクトが進む中でのプロデューサーの役割
G:
プロデューサーとしては、企画を立ち上げるところだけではなく、その先、いろいろなことを決めていく役割もあるかと思います。実際のところ、作品に関してプロデューサーはどういったところまで決めるのですか?

高橋:
世間の人が思う「プロデューサー」のイメージとはちょっと違うかもしれませんが、シンプルに表現すると「1票を持っている人」という感じです。

G:
「1票」ですか。

高橋:
アニプレックスは幹事会社として作品に大きく関与していますが、出版社である講談社さん、制作を担当するdavid productionさん、それぞれ同じように「1票」を持っています。そして、プロジェクトには徐々に票を持っている人が増えていくんです。1票といっても多数決というわけではないですが。

G:
増えていくというのは?

高橋:
ちょっと図を描いてご説明しますね。


高橋:
最初に製作委員会として講談社、アニプレックス、david productionの3者があります。


G:
今回、名前が並んでいる3つですね。

高橋:
この3者で、まずは制作スタッフの方々を検討します。監督、シリーズ構成、キャラクターデザイン、他、様々なセクションのメインスタッフの方ですね。中でも、まずは映像制作を進めるにあたっては監督を決めなければいけません。


G:
そうですね。

高橋:
監督はフィルムの責任者、例えるなら、製作委員会というオーナーがいる飲食店で、どういう料理を出すかを考える総料理長です。コースの構成をどうするか、一品一品はどのような中身にするのか、といった部分を担います。本作の場合、制作を担当するdavid productionさんに「この作品に合った監督さんはいませんか?」と相談したところ、「ジョジョの奇妙な冒険」でシリーズディレクターを担当した鈴木健一さんはどうだろうと提案をいただきました。それでご本人とお会いし、講談社さんも「いいですね」となって、まずは監督が鈴木さんに決まりました。

これでプロジェクトに、新たに監督が加わることになります。次は「シリーズ構成はどなたにしよう?」という話になりますが、今度は講談社、アニプレックス、david productionに鈴木監督も加わって4者で決めていくことになるんです。

G:
それで「票を持つ人が増える」なんですね。監督以外から決めることはあるのですか?

高橋:
なくはないですが、フィルムの舵取り役は監督なので、監督からが多いと思います。同じように「キャラクターデザインはどなたに」「他のスタッフは……」と進んでいきます。もちろん、全部について全員の合議で決めているわけではありませんが、特に「原作元」「メーカー」「プロダクション」「監督」の4者は、いろんなディスカッションに参加することになります。

一方で、スタッフが決まるとアニプレックスを中心に、ビジネス展開のことを決めていきます。放送時期をいつにするか、放送枠はどうするか、どんな商品を出すか、その他ビジネス全体のことですね。特に放送時期についてはプロジェクト全体に関わってくることなので、委員会の3者で話し合います。


それと同時期頃に、キャスティングが行われます。例えば本作では、赤血球、白血球、キラーT細胞……といろいろな役がありまして、オーディションだったり指名だったりで決めていきます。


G:
ひとつひとつ進んでいくんですね。

高橋:
この中でプロデューサーというのは「偉い」というわけではなく、仕組みや段取りを整えたり、意見の1つを出したりする役割を果たします。あくまでフィルムの責任者は監督なので、監督が「こうしたい」ということであればそうしますし、それが実現するためにはどうすればいいのかを考えます。人にもよると思いますが、基本は、お店のオーナーではあるけれど、料理にはそんなに口を出す感じではないと思います。勿論、その料理が美味しそうだからという前提ですが。

G:
お店のオーナーによる独裁ですべてが決められていくというわけではないんですね。製作委員会のことは外からだとよくわからない部分もあって、「最もお金を出している会社が偉いので、その意見が通る」という言説も見かけますが、そういうわけでもなく、全体で1つのプロジェクトとして動いていると。


高橋:
それはまったくなくて、あくまで「1票」です。我々は絵コンテを描けるわけじゃないですし、原画も描けないですし、声の芝居もできません。それらはプロを信じて託し、我々ができるのは「このプロジェクトは面白いと思うので一緒にやりませんか?」と声をかけることと、その実現に向けた「神輿担ぎ」の部分で、これはすべて神輿あってこそです。決して「偉い」という立場ではないです。もちろん、都度都度、色々な相談はしながら進めていますが。

G:
これまでは「宣伝」「宣伝プロデューサー」として作品に関わっておられましたが、プロデューサーとして関わることで「これは違う」と感じたことは何ですか?

高橋:
「花火を作る作業」と「花火を打ち上げる作業」のような違いを感じます。打ち上げ花火の玉は、1つ1つ火薬を詰めて細かい調整をして、日々、工程を積み重ねて作り上げられています。作品作りも似ていて、企画を立ち上げて、スタッフを決めて、毎週定例で脚本会議を重ねて……。本当に「ちょっとずつ」で、いきなり脚本が全部上がったり、キャラクターデザインや音楽がバッとできあがるわけではなくて、1歩ずつ積み重ねて、本作でいうと3年弱かけてようやく1つのものができあがるんです。宣伝の立場だと、プロジェクトに参加するのはある程度形になってからで、プロデューサーが作り上げた花火玉をどう打ち上げればみんなが見てくれるか、そもそも花火会場にどう人を集めればいいか、この花火がどれだけ素敵できれいなものかをいかに伝えるか、という感じですね。同じ「花火を打ち上げる」に向けて動いていても、関わり方がかなり違っているなと思います。



G:
なるほど、確かに聞いていると花火の例えはしっくりときますね。その例えでいうと、もうじき打ち上げを迎えますが、いま現在の気持ちはどうですか?

高橋:
宣伝をやっていたときは、100%「ワクワク」でした。花火を預かって「これは素敵なものですよ」と伝えて、どれだけ多くの人に集まってもらうか、瞬発力勝負みたいな部分もありました。それが今回、長く作業に携わってきて、様々な現場を見てきて、かなりの分量決定にも携わってきたからこそ、ワクワクも7割はありますが、残り3割は責任感ですね……いや、5:5ぐらいかもしれません(笑)

G:
(笑)

高橋:
スタッフが素敵なものを作って下さっていると確信しているので、そこに関してはまったく心配していませんが、「売れたら監督のおかげ、売れなかったらプロデューサーの責任」という業界格言もありますし、関わって下さった人に対してはヒットで報いたいので、責任感やプレッシャーが強いです。そのためにも、多くの人に見ていただいて、楽しんでいただきたい。そんなワクワクとドキドキが混ざり合っています。

G:
なるほど。ちなみに、今回、宣伝は担当されていないのですか?

高橋:
弊社に佐喜真という宣伝プロデューサーが立ち、彼女が進めています。ただ、自分も宣伝経験は長いので、「ああしよう、こうしよう」というアイデアは常に話しています。その中で生まれた施策の1つだと、よく第1話の先行上映を映画館で実施するという事例がありますが、本作は体内細胞擬人化という作品なので、献血ルームで献血したら第1話が見られるという施策を実施することになりました。

【INFO】日本赤十字社×テレビアニメ「はたらく細胞」第1話先行視聴キャンペーン実施決定! - NEWS | TVアニメ『はたらく細胞』公式サイト
https://hataraku-saibou.com/news/?id=47587


G:
「アイドルマスター」のキャラクターに現実で仕事を依頼できる「リアル765プロ」、「ひだまりスケッチテレビショッピング」など、過去にぶっ飛んだ企画をいくつも担当されていますが、今回もまた衝撃的なものが出てくるんですね。
宣伝のときにはなかった「プロデューサーならではの苦労」みたいなものを感じることはありますか?

高橋:
そうですね……1番感じるのは「決定に携わっている責任」でしょうか。そもそも「はたらく細胞」のアニメ化に手を挙げたのは自分ですし、スタッフやキャストをどなたにするか、放送展開をどうするかなど、作品に関して「1から10」とまではいかなくても「1から6か7」ぐらいは携わっているのは大きいですね。制作過程でも、1年ぐらいにわたって行われた脚本会議に参加し決定に携わり、キャラクターデザインや、美術や、音楽や、色々なことの決定に大なり小なり携わると共に、スタッフのみなさんが制作にあたってどれだけ苦心されてきたのかも自分の目で見てきましたし……。繰り返しになりますが、作品は、お客さんが楽しんでくれて、その上でヒットすることで苦労した作り手に報いれると思うので、「関わった皆さんを笑顔にしたい」と強く思います。関わり方の深度の違いで、見えている景色がこんなにも変わるんだなと率直に思っています。簡単に言うと「売れたい」ということですね(笑)。ただ、ヒットは時の運もあるので、気負わず頑張ります。


G:
聞いているだけでもプレッシャーがすごそうですね。ちなみに、積み重ねてきたものの手応えはいかがですか?

高橋:
素直に「面白い!」です。心からそう感じられるものをお客さんに届けられるのは幸せだなと思っていますし、自分も更に頑張らねばと思います。

G:
全体的にうまくいっているプロジェクトだという印象を受けますが、その中でもちょっと失敗したなぁというような部分、あるいは苦戦したがなんとかリカバリーしたというようなところはありますか?

高橋:
あ、えーっと……そうですねぇ…………


G:
意地悪な質問ですみません。

高橋:
いえ、いいんです。それでいうと……自分ならではものかもしれませんが、もうすでに宣伝費が底をついているというのが……

G:
えぇー(笑)

高橋:
「はたらく細胞」は、2017年6月に1分のPVが公開されているんです。まだアニメ化も発表されていない時期で、単行本5巻発売に合わせたPR用のPVなんですが、すでにアニメのプロジェクトは進んでいたので今回のアニメ制作チームが作ったんです。

【公式】『はたらく細胞』スペシャルアニメ映像(フルサイズver.) ~100万部突破の大人気細胞擬人化マンガ~ - YouTube


G:
そうか、すでにアニメの制作自体は進行中という時期ですもんね。

高橋:
それで宣伝費を全体の1/3ぐらい使い……

G:
いきなりそんなに……

高橋:
そこから、アニメ化発表後のPVや販促物制作、各種施策で1/3使い、残りの1/3は、放送後の国内でのイベント開催予算や、進めている色々な仕掛けに予算割り振りが行われていて……放送前も放送後も、フルスロットルでアクセルを踏んだ結果、「もう、ない」です。

G:
その「ない」ということは、製作委員会も知っていることですか?

高橋:
ある程度は……

G:
衝撃の暴露じゃないですか(笑)

高橋:
生まれが宣伝マンなもので、「宣伝費を使いがち」なんですかね……。ただ、プロデューサーになって思うことは、宣伝費というのは出費なので予算上で見るとマイナスなのだということです。使わなければ、その分利益が減らないというか。ただ、宣伝しなければ知ってもらえないですし、難しいですね。

G:
「普通はこのタイミングで使い切る」というのはあるんですか?

高橋:
だいたい、放送前で半分ぐらい使って、あとは放送中にもう半分ぐらいの配分でしょうか。

G:
使い切ることを恐れて残し気味にしていると、事前に作品を知ってもらう機会が減ってしまいますもんね。あの最初のPVがアニメの宣伝費から出ていたというのは驚きでした。

高橋:
作ったことで我々の中でも共通認識が生まれましたし、やってみて気付いたことというのもあって、得るものは大きかったです。あの映像で作品を知ったという声も多く聞くので、本当にやってよかったです。お金はさておき(笑)。

◆プロデューサーとして、作品をどう展開させるか
G:
最近はネット配信も増えて、本作でも配信情報としていろんなサービスの名前がずらっと並んでいます。高橋さんが宣伝をはじめたころはネット配信はほとんどなかったと思いますが、この状況の変化はどのようにご覧になっていますか?

高橋:
私個人としてはとても好意的に捉えています。昨今の新入社員に話を聞いてみると「テレビはあまり見ないですね」という人も結構多いんです。「アニメはスマホで見ます」と。私はテレビも配信も併用していて、最初はテレビで見る派なんですが、「そもそも家にテレビがないです」という人もいたりします。


G:
ああー、なるほど……。

高橋:
視聴可能なプラットフォームも増えていますし、とてもいいことだと思います。作品側としても、1社での独占配信、複数社での同時配信など色々な選択肢がありますが、「はたらく細胞」は「視聴対象や機会を広げること」に可能性があると考えて、後者を選びました。アニメを見るときにお客さんが触れる配信サービスって、たいがいは1つ、多くても2つ3つだと思うんです。自分が会員登録しているサービスで配信されていれば見る、配信されないのなら見ない、と。だから、ネットに関しては「全方位」、それぞれのサービスに登録者がいるので、その足し算を考えようと。

G:
確かに、全部の配信サービスに登録しているわけではないですからね……。

高橋:
放送についてもTOKYO MX、BS11をはじめ、とちぎ、群馬、北海道、愛知、大阪、福岡と、いわゆる「東名阪札福」をつなぎました。最近は放送局が少ないパターンもありますよね。東京・大阪・BSとか、もっと少ないと東京とBSだけとか。

G:
大阪での地上波放送がない作品、増えてますね。

高橋:
放送地域は広げれば広げるほどお金はかかるので、どのバランスを選ぶかは作品ごとに正解が違いますが、「はたらく細胞」は、たまたまテレビをつけたときに「おっ、やってるな」と、「うちでも見られるんだ」という状態にすることが可能性を広げるだろうと。配信サービスの名前がずらっと並んでいるのも、そういう考えからです。

G:
海外展開はどのように行っているんですか?

高橋:
海外に対してもこの作品は「全方位外交」を考えています。

G:
「全方位外交」、いい言葉ですね。

高橋:
国内でも「全方位」ですが、とにかく海外に関してもリーチを広げようと。海外展開では、ワールドワイドに展開している配信サービスから全世界に配信してもらうという選択肢もあるのですが、今回は、エリアごとにパートナー会社を選びローカライズも含めて行って頂く形を選びました。北米や英語圏、ヨーロッパ、アジア圏、中国、などなど、それぞれの地域ごとにそれぞれの形で届けるというやり方です。

G:
展開というお話ですと、先日発表された第2弾PVにはスピンオフ作品3作品がほぼ同時発売になるというお知らせが入っていました。こういった展開も製作委員会が決めるのですか?それとも、講談社さんが決めるのですか?

【公式】TVアニメ『はたらく細胞』第2弾PV | 2018.7.7(土)放送開始!! - YouTube


高橋:
これは講談社さんが決めたもので、出版社さん内で連携してこんなに関連書籍が出るというのはすごいことです。我々も定例会議で「講談社としてこういう展開をします」という報告を聞き「マジですか、講談社さんスゲー!」と驚かされました。

G:
(笑) そういえば、この第2弾PVは6月18日に公開されましたが、何かに合わせた発表だったのですか?

高橋:
放送の3週間前で、配信情報がちょうど出せるというタイミングだったのでまとめて出したという形ですね。PVに関しては絵や音楽の上がりとも兼ね合いが出てきますが、アニメに関する情報の発表の多くは何かのきっかけがあって決まります。わかりやすいのは、アニメ雑誌の発売日が毎月10日なので、雑誌に新情報が掲載されるからそのタイミングで情報を出そうとか、コミックスの新刊や試写イベントの開催に合わせるとかですね。

G:
試写イベントでPVが公開されて、イベント終了に合わせてネットでも公開されたり……。

高橋:
そうですそうです。本作のアニメ化発表の場合ですと、原作を連載している月刊少年シリウスの発売日でした。「何と紐付けて発表するか」ですね。

G:
では最後に……正直、どれぐらいヒットすると考えていますか?

高橋:
それはもう一言、「絶対に当たると思っています」。

G:
おお!

高橋:
もちろんこれには続きがありますから、そこだけ切り取らないでくださいね(笑)。僕はまだ製作プロデューサーとしての経験は浅いですが、少ない経験の中で自分なりに思ったのは、制作過程を見てきていろいろな決定をしてきたプロデューサーは、心から信じることこそが作り手や関わる人に対して真摯である姿勢の一つだと思うんです。だから、私は決して「絶対ヒットする」と慢心しているわけではなく、自分で作品を100%面白いと思っている上で、だからこそ「100%ヒットすると思っていなければいけない」ということなんです。ちょっと禅問答的ですが。一部分だけ切り取られると「またアイツが変なことを言っている」となりそうですけれど(笑)


G:
(笑) でも、それぐらいの気持ちでなければいけないですよ。

高橋:
そもそも、なぜアニメ化しようと思ったかといえば「読んだら面白かったから」だったわけですから、その時の気持ちは、アニメになっても変わっていないです。

G:
なるほど。

高橋:
その上で個人的な願いとしては、この作品を通して、世の中が今より少し健康になればいいなと思っているんです。一番身近で、かつ一番知らない「自分のこと」が題材なので、アニメになることで多くの人に届けばいいな、自分の体ってすごいんだということが伝わればいいなと。身体だけでなく心も健康になったら最高ですね。

G:
なるほど……放送が楽しみです。本日はいろいろとありがとうございました。

インタビュー掲載日の2018年6月29日(金)21時から、白血球(好中球)役・前野智昭さん、マクロファージ役・井上喜久子さん、血小板役・長縄まりあさん、肺炎球菌役・吉野裕行さん出演の放送前特番「はたらく細胞研究所 ニコ生戦略室」が配信されるので、作品を深く知るためにもぜひ見てみて下さい。

【前野智昭,井上喜久子,長縄まりあ,吉野裕行生出演】はたらく細胞研究所 ニコニコ戦略室 - 2018/06/29 21:00開始 - ニコニコ生放送
http://live.nicovideo.jp/gate/lv313539497

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