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15Gbpsの高速無線通信を可能にする世界初の5G向けLO移相方式の28GHzフェーズドアレイ無線機を東工大が開発


東京工業大学の岡田健一准教授の研究チームが、次世代通信5Gに向けて28GHz帯を利用する小型無線機の開発に成功しました。シリコンCMOSチップで安価に製作できる無線機は15Gbpsの超高速無線伝送を達成し、高精度のビームフォーミングも実現しています。

5G向けミリ波無線機の小型化に成功 安価な集積回路で実現、スマホ搭載に最適 | 東工大ニュース | 東京工業大学
https://www.titech.ac.jp/news/2018/041704.html

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて第5世代の移動通信システム(5G)の実用化を目指してさまざまな無線通信技術が開発されています。5Gでの超高速通信では高い周波数帯の電波の利用が検討されていますが、5Gの普及にはスマートフォンなどのモバイル端末で利用可能な小型の無線機を安価に製造することが不可欠とされています。


またミリ波など比較的波長が短い電波を利用する5Gでは、複数のアンテナを用いて電波の放射方向を絞り込む「ビームフォーミング」の活用が必要とされていますが、低消費電力が要求されるモバイル端末向けのICチップでは、高周波帯での位相を制御できる位相器回路の開発が求められていました。

岡田准教授の研究チームは、65nmプロセスのシリコンCMOSでビームフォーミングに必要な位相器の小型化に成功し、5G向けの28GHz帯フェーズドアレイ無線機を開発しました。試作チップは、4mm×3mmのスペースに4系統のフェーズドアレイ無線機を搭載しています。


高周波帯での位相制御には、RF変調波自体の位相を変化させるRF位相器ではなく、搬送波となる局部発振器(LO)信号の位相を変化させるLO位相器を用いました。原理的に位相の変化で利得変動が生じないLO位相器を用いることで、高い信号品質を実現しているとのこと。


LO位相方式では回路の小型化が困難だったところ、ポリフェーズフィルタと共振器を単一の増進器とすることで小面積で収めることに成功。LO位相方式による5G向け28GHz帯無線機は世界初だとのこと。

開発した評価基板には2個のCMOSチップを搭載。


8本のアンテナを利用可能です。


室内で5メートルの距離で2台のモジュールを向かい合わせて行ったデータ転送試験では、15Gbpsの通信速度を達成。これは、従来報告されていたCMOS集積回路による28GHz帯無線機に比べて125倍の速度だそうです。なお、消費電力は1チップあたり送信時1.2W、受信時0.6Wでした。

また、LO位相器で各アンテナからの送受信タイミングをずらすことで、0.1度の精度で電波の放射方向を調整することにも成功しています。岡田准教授によると256素子のアンテナを使えば、10Gbpsで15kmの距離の通信も可能になるとのこと。


岡田准教授は、開発したLO移相方式の28GHzフェーズドアレイ無線機をスマートフォンや基地局への2020年ころの実用化を目指すと述べています。

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in ハードウェア, Posted by logv_to

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