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「IBMは人工知能Watsonを活用できていない」と解雇された元従業員が窮状を語る

By Atomic Taco

IBMが開発した人工知能「Watson」は人間に代わって奇抜な料理のレシピを考案したり、大学生のティーチングアシスタントとしてこっそり導入されていたりなど、高い言語認知能力や学習能力をもとにさまざまな活用方法が見いだされています。そんな中特に注目されているのががん治療への応用など医療分野における活用なのですが、IBMをレイオフ(一時解雇)された元従業員はIBMがWatsonを十分に活用できず、収益化の道筋が立てられていない現状を明らかにしています。

Layoffs at Watson Health Reveal IBM’s Problem with AI - IEEE Spectrum
https://spectrum.ieee.org/the-human-os/robotics/artificial-intelligence/layoffs-at-watson-health-reveal-ibms-problem-with-ai

IBMは2018年5月後半、Watsonを医療分野で活用する部門「Watson Health」の従業員をレイオフしました。具体的にレイオフされた従業員の数は明らかにされていないものの、その大部分はIBMがAIと医療の融合を狙って買収したPhytelExplorysTruvenからIBMに合流した従業員だったことが明らかにされています。

IBMから一時解雇を受けた元従業員は、解雇手当の受給ストップを案じて匿名を条件にIBMでのWatson活用の実態についてIEEE Spectrumに対して現状を語っています。その元従業員によると、「IBMのWatsonは優れた人工知能技術を持っている」という一方で、「しかしそれは、素晴らしい靴を手に入れたのに、歩き方がわからないようなものです。彼らは、Watsonをどのように活用すればいいのか見いだせていません」とのこと。

By Robert Sheie

Phytel、Explorys、Truvenの3社は2015年から2016年にかけてIBMによって買収され、「Bluewashing」と呼ばれるプロセスが進められました。IBMは別名「Big Blue」とも呼ばれており、Bluewashingは「IBMの社風・流儀への合流」を意味しています。元従業員は、その過程の中で「全てが止まってしまった」と指摘。各社はそれぞれの分野で目覚ましい功績を挙げ、AIを使った新しい医療サービスの進化に大きく貢献してきたのですが、IBMに買収されて合流することでその過去が失われるに至っていると述べています。別の元従業員は「関係する人々が輪になって集まり、そのまま1年間何もせずに過ごしてきた」と振り返っています。

解雇された従業員は、これまでの経歴を考えると次の職に困るような事態にはならないとのこと。元従業員の一人は「IBMには優れた潜在能力があるが、現代のビジネスにおいてはその流れに乗らないといけない。さもなくば従業員はよそに行ってしまう」と述べ、さらに「この分野の勝者はIBMではない」と語っています。

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in ソフトウェア, Posted by darkhorse_log

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