ハードウェア

義手でも「痛み」を感じることのできる電子皮膚が開発される


肘から先が切断された患者は、自分の腕がまだそこにあるかのような幻肢という現象を経験することが多々あります。しかし、ジョンズ・ホプキンズ大学の研究者は、「腕がそこにある」という感覚を幻ではなく実際のものとして作り出そうと「痛みを感じることができる電子皮膚」の研究開発を行っています。

Prosthesis with neuromorphic multilayered e-dermis perceives touch and pain | Science Robotics
http://robotics.sciencemag.org/content/3/19/eaat3818

Bringing a human touch to modern prosthetics | Hub
https://hub.jhu.edu/2018/06/20/e-dermis-prosthetic-sense-of-touch/

電子皮膚がどんなものかは、以下のムービーから見ることができます。

Hopkins researcher develops electronic sensory glove for prosthetics - YouTube


「肘から先に義手を使用している人は、通常、性能の向上を求め、付け心地と共に『コントロールできること』を欲するものです」「そして同時に、感覚的なフィードバックにも関心を持っています」と語るジョンズ・ホプキンズ大学の医用生体工学学者であるLuke Osborn氏。


義手をはめた男性。


手のひらを開いたり閉じたりを繰り返していることから、指先のコントロールが可能であることがわかります。


Osborn氏らが開発したのは、義手の指先につけたこのパーツ。


義手は、丸いオブジェクトを普通につかむのですが……


とがったオブジェクトの場合は、ぱっと指を離してしまいました。


実験に使われたオブジェクトはこんな感じ。一方は先端が丸まっているので素手で握っても痛みを感じませんが……


もう一方は先端がとがっているため、指先でホールドすると痛みを感じます。先ほどの映像で義手がとがったオブジェクトを離してしまったのは、指先でしっかりと痛みを感じとることができたためです。Osborn氏らが開発した電子真皮は、このようなオブジェクトの形や質感の違いを検知して末梢神経系に信号を送ります。


マネキンの頭に装置を取り付けるOsborn氏。


指先が検知した感覚を電気信号として送れば、腕を失った人でも指先の感覚を取り戻すことができます。


実際に電子皮膚を使った患者は「数年ぶりに、私は自分の『手』を感じることができました。まるで空っぽの貝が再び命を得たみたいでした」とコメント。既存の義手に取り付けることができる電子皮膚は、義手を使っている人の生活の質を向上させるはずです。


この研究で目指すのは、痛みだけではなく、質感や温度といったあらゆる感覚を捉えられるようになること。その方法を見つけ出すためにさらなる研究を続けているとOsborn氏は語りました。

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