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YouTubeが広告なしで動画を公開していたBlenderをブロック、BlenderはP2Pによる無料ストリーミングにチャレンジ


3Dグラフィックをモデリングするオープンソースソフト「Blender」が、ソフトウェアの使い方などを解説するムービーを「広告なし」でYouTubeで上で公開していましたが、YouTubeは広告付きでの公開を要求しました。これを拒否したところ、YouTubeからBlenderが公開するムービーが次々にブロックされるという事態に陥ったとのこと。そこでBlenderはこれまでの経緯をブログで公開し、自身でムービーストリーミングサイトの構築にチャレンジしていることを発表しました。

YouTube Blocks Blender Videos Worldwide — blender.org
https://www.blender.org/media-exposure/youtube-blocks-blender-videos-worldwide/

Blender開発元のBlender Foundation(BF)は、ソフトの使い方や技術者の講演の様子などを収めたムービーを2008年からYouTube上で公開してきました。オープンソースソフトというBlenderの特長から、BFのムービーはすべて広告を付けない「広告フリー」として公開されていたそうです。

2017年にアメリカ在住のBlenderのユーザーから、Blenderカンファレンスで行われたAndrew Price氏による講演「The 7 Habits of Highly Effective Artists」のムービーが視聴できない状態になっているという報告をBFは受けました。

The 7 Habits of Highly Effective Artists - YouTube


上記ムービーは120万回再生されるほど人気の高いムービーで、ユーザーが視聴できない不利益を解消しようとBFはYouTubeに連絡を取り、何が問題なのかを問いました。返ってきたメールには、「ムービーの広告を有効にする必要があるとの専門家からの情報を受け取りました。有効にすると、あなたのムービーはアメリカ国内で視聴可能になります」という内容だったとのこと。


BFのトン・ローセンダール氏は、非営利目的であり完全広告フリーの方針であることを伝えて、YouTubeの規約が変更されたのかを問いただしました。


すると、「あなたの問題について、専門家と協議しているのでしばらく待ってほしい」という回答が返ってきました。


問題が解決しないままやり取りが続き、2018年6月12日にローセンダール氏は再度、YouTube側に状況を尋ねるメールを送ると、「調査が続いているので待ってほしい」との回答だったとのこと。しかし、その3日後の6月15日にBFのYouTubeチャンネルのムービーが世界中でブラックアウトされ、BFは実質的にYouTube上から締め出されることになったそうです。


説明なしにムービーを視聴不可にしたYouTubeの対応に対して、ローセンダール氏は抗議するムービーをYouTube上にアップロードしました。そして、その中で、BFのYouTubeチャンネルにあったムービーを「cloud.blender.org」に移動させることにしたと語っています。

YouTube Blocks Blender Videos Worldwide - YouTube


「必ず帰ってくる!」というローセンダール氏の宣言通り、BFはPeerTubeというP2P方式で運営される分散型のストリーミングプラットフォームを使って保有するムービーコンテンツの公開を始めました。記事作成時点ではまだ8本のムービーのみアップロードされている状態ですが、今後、続々とムービーが公開されることになりそうです。

Recently added videos - Blender
https://video.blender.org/


ローセンダール氏は2018年6月18日にGoogleから法的契約書が届いたことをブログで明らかにし、6ページに及ぶ契約書も以下の通り公開しています。長々と書かれた文書の要点は「BFがYouTubeの収益化方針を受け入れる」というものだそうです。

CONTENT LICENCE AGREEMENT


結局、BFは非営利方針を貫くためにYouTubeから撤退し、独自にストリーミングムービーコンテンツを構築する道を選ぶことになったようですが、この方針についてビジュアルアーティストのSean Tilley氏は、「これは、フリーソフトウェアエコシステムの主要プレイヤーが、分散型メディアの道を模索しているという点で、エキサイティングな動きだ。私たちはBFがこの方針を継続することを願っている。これはFediverse(つながった世界)がBlenderプロジェクトの一部として、とてもポジティブなコミュニティになるかもしれないからだ」と述べ、BFのチャレンジを称賛しています。

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