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Googleは患者がいつ死ぬかをAIを用いて正確に予測できる

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Googleは人工知能(AI)を用いて医療分野に進出しており、AIに患者のデータを機械学習させることで心疾患で死亡する確率を予測させる研究も行われてきました。このような医療技術は2018年6月現在も改良が進められており、Googleのアルゴリズムがいかに現代医療のムダを削減し効率化しているのか、その取り組みをLos Angeles Timesがまとめています。

Google is training machines to predict when a patient will die
http://www.latimes.com/business/technology/la-fi-tn-google-artificial-intelligence-healthcare-20180618-story.html

患者の死亡確率を推定するアルゴリズムはGoogleが医療分野に進出する以前から開発されてきましたが、その精度は低いものでした。たとえば、後期乳ガン患者の女性が病院へ行き、医者に勧められるまま放射線検査を受け、検査結果を病院のコンピューターが分析したところ、女性患者の死亡確率は9.3%と推定されました。しかし、その後、Googleのアルゴリズムが女性に関する17万5639種類ものデータポイントを調べたところ、女性患者の死亡リスクは最初の2倍以上である19.9%と推定されたとのこと。その数日後、女性患者は死亡しました。


従来のアルゴリズムよりもより高度に患者の死亡確率を予測できるというGoogleのアルゴリズムは、2018年5月に発表されたAIソフトウェアの一種です。データを自動学習し、性能を改善することができるという点で特に優れており、これによりGoogleは「患者が病院にどれくらい長期間滞在するのか?」や「患者の再入院の可能性」などを予測することができるようになります。

Googleが病院を訪れた患者の身に「次に何が起こるか?」を予測する技術を開発 - GIGAZINE


医療関係者にとってGoogleのAIソフトウェアが印象的だったのは、これまでは使いようがなかったデータ(PDFに埋め込まれたノートなど)をニューラルネットワークが全て取り込んで予測を実行できるという点だそうです。そして、Googleのアルゴリズムは従来の技術よりもはるかに速く・正確に患者の今後を予測可能となっています。

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病院・医者・医療提供者は電子健康記録および他の患者データの備蓄に努めてきました。より適切な情報を適切なタイミングで共有していくことで、より優れた医療を提供できるようになるためです。しかし、医療データを採掘するかのようなこれまでの方法は、成果が出るまで時間がかかり、かつ費用もかかるということで面倒なものでした。

「従来型の患者予測モデルでは費やされる時間の80%がデータを見やすくするためだけに費やされている」と主張するのは、スタンフォード大学のNigam Shah氏。Googleのアプローチはこの「無駄な時間」を回避しているそうです。

また、医療で用いられるソフトウェアの大部分は手作業でコード化されたものですが、Googleではコンピューターに自動でデータ解析方法を学ばせるというアプローチをとっています。Googleの親会社であるAlphabetのヘルスケア部門の元社長であり、投資会社フォーサイト・キャピタルのマネージング・ディレクターであるヴィック・バジャー氏は、「Googleのアプローチは問題解決のためにどのような障害があるかを理解している」「実りある方向性を正確に知るために、十分な実験を行っている」と語っており、Googleの手法に問題がないことを強調しています。

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もちろんGoogleによるAIと医療の融合の前に立ちはだかる問題も存在します。「Googleや他の技術大手企業は、我々が生成する全てのデータを独占的に活用することで、支配的な力を持つようになるだろう」と語るのは、データ企業Immutaのアンドリュー・バート氏。バート氏と小児腫瘍学者のSamuel Volchenboum氏は、Googleがオンライン広告を支配しているように、医療データを独占するような状況に陥ることを危惧しており、そうならないよう政府がしっかりと手綱を握るべきであると主張しています。それでもVolchenboum氏はアルゴリズムが人生とお金の大幅な節約に役立つと確信しており、健康記録が他の統計データと混ざり合い、新しい付加価値を提供してくれることを望んでいるといいます。

GoogleはAIを用いてさまざま医療関連ツールを作成していますが、これらは診療所にライセンス供与したり、クラウドコンピューティング部門を通してサービスの一種として販売したりすることも可能です。しかし、GoogleがAIツールを商品化するには、より幅広いデータを手に入れる必要があります。Googleはそういったデータを購入することが可能ですが、規制当局や消費者から良く思われないであろうことは明らかで、この問題をどのようにクリアすることになるのかは今後の焦点になるといえます。

なお、Googleはビジネスモデルに医療関連のAIツールを盛り込むことは時期尚早だと考えており、2018年5月に開催されたGoogle I/Oでも、心臓病リスクを発見するツールについてプレゼンしたLily Peng氏が「このツールは本当に初期の段階にあることを強調したい」と話しています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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