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メモ

インターネット上で流行る画像や言い回しはどのように生まれ拡散していくのか?

by Steben Depolo

インターネットの中で流行する画像や言い回しのことを「インターネット・ミーム」と呼びます。ロンドン大学が、インターネット・ミームがどのように生まれ拡散していくのかをネット上にある一億6000万以上の画像から調査し、その研究結果を発表しています。

Researchers Studied 160 Million Memes and Found Most of Them Come From Two Websites - Motherboard
https://motherboard.vice.com/en_us/article/zm884j/where-do-memes-come-from-researchers-studied-reddit-4chan


On the Origins of Memes by Means of Fringe Web Communities
(PDF)https://arxiv.org/pdf/1805.12512v1.pdf

Meme(ミーム)という言葉は進化生物学者のリチャード・ドーキンスが1976年に出版された著書「利己的な遺伝子」という本の中で登場させた造語です。ドーキンスは「ミームとは文化の伝達や複製の基本単位である」と定義し、情報や文化の伝達・浸透に「1つの遺伝子が生物の中で広まり、適応し、淘汰(とうた)されていくあり方」を重ねました。

特にインターネットを媒介として広がる文化的情報は「インターネット・ミーム」と呼ばれるようになりました。インターネット・ミームは単語・画像・ムービーなどの形で表現され、Reddit4chan・Twitter・TumblrなどのBBSやSNSで多く用いられています。


例えば、リック・アストリーが1987年に発表した「Never Gonna Give You Up」のPVは有名なインターネット・ミームの1つです。このPVは2007年頃から海外の画像掲示板4chanで違法にアップロードした映画やアニメへのリンクと偽って貼られることが多く、「Never Gonna Give You Up」のPVでだます行為は「Rickroll(リックロール)」と呼ばれるようになりました。4億4000万回以上も再生された、世界で最も有名な「釣りムービー」は以下から見ることができます。

Rick Astley - Never Gonna Give You Up (Video) - YouTube


また、任天堂のマリオシリーズに登場する人気キャラクター・ヨッシーもインターネット・ミームの1つとなっています。きっかけは2016年にRealy Freakin' Cleverさんが公開した「64 Things WRONG With Yoshi (ヨッシーにみられる64個のおかしなところ)」という以下のムービー。

64 Things WRONG With Yoshi (PARODY) - YouTube


このムービーを受けて、あるファンがTumblerで「おかしなところは何ひとつない」と主張したところ、あるユーザーが「yoshi has committed tax fraud(ヨッシーは脱税をしたんだよ)」とからかいます。そして「ヨッシーが脱税したという証拠を見せろ!」と憤るファンに対し、「i committed tax fraud(ぼくは脱税しました)」としゃべるヨッシーの画像を返すという流れがありました。


この応答がインターネットで大きな話題となり、ヨッシーに「i committed tax fraud」としゃべらせることが流行しました。例えば、以下の画像はRedditに投稿された、Nintendo Switchのアイコン画像に「i committed tax fraud」としゃべらせた様子。


また「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」のドイツ版パッケージからなぜかヨッシーが消えてしまった件でも「ヨッシーが脱税したからだ」と話題になり、「スマブラ」シリーズの生みの親である桜井政博さんが「ヨッシーは脱税したのでスマブラには戻ってきません」としゃべったように見せかけるコラージュ画像まで貼られる始末。


2018年4月には、SilverGunnerさんがジョークとして「 Yoshi Commits Tax Fraud(ヨッシーの脱税)」という架空のゲームのBGMを発表しました。以下のムービーで「マネーロンダリングの山を登れ」という曲を聞くことができます。

Up on Mt. Money-Laundering - Yoshi Commits Tax Fraud - YouTube


こうしたインターネット・ミームがどのように流行するのか、ロンドン大学の研究チームが調査を開始。研究チームはReddit・Twitter・4chan・Gab.aiなど、さまざまなオンラインコミュニティから1億6000万枚以上の画像を収集。さらにインターネット・ミームをまとめているサイト・KnowYourMeme.comから70万点以上の画像をダウンロードしデータベース化し、コミュニティごとに分類しながら、インターネット・ミームがどこで生まれ育っていくのかを研究しました。その結果、インターネット・ミームが頻繁に使用され、一気に拡散されるのは主にRedditと4chanであることが分かりました。

特にインターネット・ミームの使用が多く見られたのは、4chanの中でも政治を語る「/pol/」だったとのこと。その内容は政治的なものだけではなく人種差別的なものも多かったそうです。また、Redditで使われるインターネット・ミームも政治的な内容のものが多く、特にドナルド・トランプに関するインターネット・ミームが多いと指摘されています。


ただし、Redditや4chanで爆発的に拡散される前の、インターネット・ミームの起源については、Redditや4chanよりももっと小さなコミュニティ内で生まれるケースが多いことがわかりました。例えば、ドナルド・トランプに関するインターネット・ミームは、4chanの/pol/よりも、チャットツール・Discordのコミュニティやグループチャットに起源を求めることが多いと判明しました。

by Paul VanDerWerf

インターネット・ミームは小さなコミュニティで生まれ、その大部分がRedditと4chanで拡散されていきます。その中で他のインターネット・ミームと融合し、突然変異・複製・選択という実際の生物のようにインターネットユーザーの中に浸透していきます。一見中立的なインターネット・ミームも、政治的な内容と組み合わせることで人種差別的・反ユダヤ的な内容のメッセージになっていったとのことで、研究チームは「インターネット・ミームが確実に拡散するためには、子孫を確実に残すことが重要となります」と述べています。

研究チームは画像処理のアルゴリズムを公開し、これからもインターネット・ミームの研究を進めていくとしながらも、「世界のさまざまな出来事に対するデジタル情報の関連度が高まっていることを考えると、私たちの調査は、過激で有害なイデオロギーの普及を防ぐためのシステム構築のみならず、将来の文化人類学研究の基礎を築くことになります」とコメントしています。

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in ネットサービス,   メモ, Posted by log1i_yk