サイエンス

セクハラや性差別などの組織的規範を変えるためには4人に1人の意識を変えればよい



社会的な変化に伴って組織内での規範を改革したいと考えても、従来の規範にとらわれる人が多く社会の変化に柔軟な人が少数派だと、なかなか働きかけていくことは難しいもの。状況を変えるには過半数を獲得し多数派にならねばならないとの考えもありますが、Scienceで発表されたペンシルベニア大学の論文では、社会的変化に肯定的なマイノリティの規模が25%に達すると職場やオンラインなどのコミュニティに影響を及ぼすことができるとの研究結果を示しています。

Research Finds Tipping Point for Large-scale Social Change | Annenberg School for Communication
https://www.asc.upenn.edu/news-events/news/research-finds-tipping-point-large-scale-social-change

Experimental evidence for tipping points in social convention | Science
http://science.sciencemag.org/content/360/6393/1116.editor-summary

How Many People Does It Take to Start a Revolution?


過去50年の間も同様の研究が行われ、コミュニティのティッピングポイント(臨界点)を迎えるためには10%から40%の人が社会的な変化に同意する必要があると推測されていました。

この研究の難しいところは、現実の社会の動きはとても複雑で、小さなコミュニティと大きなコミュニティでどのように結果が変わってくるか確かめるために歴史を正確に再現することができない点とのこと。ペンシルベニア大学のDamon Centola博士は「この研究でできることは、グループの規範をシフトさせるのに必要な数量の大きさを予測し、それを実験的にテストする理論的モデルを開発することだった」と述べています。


Centola博士は、10年以上の実験的作業を経て、大規模な社会的情念をどのように変えることができるかをオンラインでテストする方法を開発しました。

この研究では、ある言語学の規範について、その規範に同意することで金銭的なインセンティブを受け取ることができるようにして一度規範を確立させたうえで、他の規範を支持するグループが規範を変更するように働きかけます。


異なる規範を支持する少数派が全体の25%を下回る場合には、その働きかけは失敗します。しかし、変更を受け入れるマイノリティが25%に達すると劇的に変化が起こり、迅速に多数の人々が新しい規範を受け入れるようになりました。テストの中には、1人の決定が全体の意見を左右した結果となったこともあったそうです。こうした変化は、元の規範を支持したときのインセンティブを3倍まで増やしても起きることがわかっています。


現実の社会はより複雑であり、この25%というティッピングポイントは状況に応じて変化する可能性もあります。ただ、古典的な研究モデルが指摘しているように51%以上の多数派になる必要はなく、より少ない人々が効果的な影響を与えることができるとCentola博士は述べています。

この研究結果は、社会的変化にコミットした少数派がグループによい影響を与えていけることを指示するものであると同時に、インターネット上のプロパガンダやトローリングなどが反社会的行動を促しやすいことも示しているとCentola博士は指摘しています。

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