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セックスロボット・メーカーが強調する「利点」は科学的な根拠に乏しく誤解を招きかねないとの指摘



性的な欲求を満たして喜びを得るための用途で使われる人形の「Sex Robot(セックスロボット)」は進化し続けており、人間に限りなく近いリアルさを持つものも登場しています。しかし、セックスロボット・メーカーが挙げている「犯罪の抑止」「健康への寄与」などの利点には、科学的な証拠がほとんどなく誤解を招いていると指摘されています。

I, Sex Robot: the health implications of the sex robot industry | BMJ Sexual & Reproductive Health
http://srh.bmj.com/content/early/2018/04/24/bmjsrh-2017-200012

Current marketing health claims for 'sexbots' misleading
https://medicalxpress.com/news/2018-06-current-health-sexbots.html

セックス・テクノロジーの市場は、すでに300億ドル(約3兆3000億円)に到達しており、その市場規模は、セックスロボットによって今後さらに拡大すると予想されています。セックスロボットは女性を模した男性用のものが主ですが、2018年後半には女性をターゲットにした男性モデルも登場する見込みです。

市場規模が拡大するセックスロボットについては、以下のような利点があるとメーカーによって主張されています。

・安全性
セックスロボットとの疑似セックスによって売春が少なくなり、性感染症のリスクを下げる点で「安全」だという主張。

・性犯罪の抑制
セックスロボットが存在することで、女性や子どもに対する性的暴力への欲求がはきだされ、性犯罪が抑制されるという主張。

・健康増進
パートナーのいない独身者の性的欲求を満たすことで、健康的な生活を実現できるとの主張。この「健康」には勃起不全に悩む男性の治療行為にも使えるという利点も含まれています。

・小児性愛者の矯正
小児性愛者の性癖を矯正したり、あるいは性的欲求を満たす対象になるという利点。

さまざまなメリットを挙げてセックスロボットの社会的意義をアピールする人がいる一方で、これらの意見には反論もあります。例えば、性犯罪の抑止や小児性愛者の矯正については、性犯罪者の性的欲求が満たされるどころか性犯罪の予行として悪用される可能性や、社会規範に逸脱した性行為を正当化するツールになりかねないという真逆の意見があります。またセックスロボットが人間とのセックスと同じニーズを満たして買春行為の代替になるかどうかも明らかではありません。健康を増進するという治療的な価値についても、セックスロボットによって物理的な性行為を模倣することができたとしても、人間との触れ合いから遠ざかる結果、かえって苦痛が生じないとも限らないとのこと。

by Oakley Foxtrot

これらを踏まえた上で、イギリスのセントジョージ大学病院NHS財団のシャンタル・コックス・ジョージ氏とキングス・カレッジ・ロンドンのスーザン・ブレウリー氏らは、セックスロボットの健康面への寄与については、治療上の価値と性的満足の両方の有効性を認める証拠がまったくもって不十分であり、治療行為への活用は慎重にすべきだと述べています。将来的に有望なセックスロボット市場の魅力と医療とはまったく無関係であり、セックスロボット・メーカーによって喧伝される証拠なき「健康メリット」は有害だと医療の専門家は警鐘を鳴らしています。

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