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「若者にターゲットを絞った求人広告を表示している」としてFacebookを活用した求人広告を問題視する見方が広がる


By Hamza Butt

法律で禁じられているはずの年齢を絞り込んだ求人広告を、Facebookが提供している「ターゲット広告」を利用することで実現しているとして、複数の企業が訴えを受けています。プラットフォームを提供しているFacebookがその責任を問われるべきかは判断が分かれそうな部分ですが、事態を問題視する労働団体は訴えの対象を広げています。

Facebook Tools Are Used to Screen Out Older Job Seekers, Lawsuit Claims - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-05-29/facebook-tools-are-used-to-screen-out-older-job-seekers-lawsuit-claims

この訴えは、アメリカ通信労働組合(CWA)が2017年12月に起こしていたもの。当初はAmazon.comやメディア関連企業のCox Media GroupおよびCox Communications、通信キャリアのT-Mobileなどを被告としていたものですが、CWAは2018年5月29日、訴えの内容を更新し、家具小売業のIkeaやレンタカー企業のEnterprise Rent-A-Car、メリーランド・メディカル・システム大学などを、Facebookの仕組みを利用して求人対象者を選別している企業のリストに新たに追加しました。

アメリカでは、求人を行う際に人種や宗教、性別、出身国や年齢で採用申込者を区別することが法律で禁じられています。この法律は一定数以上の従業員を抱える企業に対して適用され、求人広告を出稿する際に「白人のみ」「男性のみ」「35歳以下」などのような条件を表示することは違法となり、違反者には懲罰的賠償金を課すこともできるようになっています。

しかし、この規則をかいくぐるためにFacebookのターゲット広告が利用されているという実態があり、そのことを問題視する動きが広まっています。その利用規約にも明記されているように、Facebookではユーザーの属性に応じた広告を表示することをビジネスモデルとしています。本来は特定の年齢層や性別、行動志向にもとづいて関心がありそうな商品の広告を表示させることで広告としての効率を高めるというものなのですが、この仕組みを利用することで、求人広告を表示する際にあらかじめターゲット以外の年齢層のユーザーを排除するという行為が増加しています。

高齢ユーザーに求人広告を配信しないFacebookの運営が差別的で違法ではないかとの議論 - GIGAZINE


CWAはこの件に関して「Facebookが運用しているアルゴリズムが、より年齢の高い労働者を排除して若い労働者に向けて広告を偏って表示する時、FacebookおよびFacebookを広告表示エージェントとして利用している広告主は法律が意図しているものとは全く異なる行為に携わっていることになります」と述べています。

今回の更新では、Facebookもまた自らの人材を募集する際に年齢層を絞り込んだ求人を実施していると糾弾されています。Bloombergの調査によると、CWAは2018年1月、アメリカの雇用機会均等委員会(EEOC)に対してFacebookの違法行為を訴えています。CWAの弁護士であるピーター・ロメール=フリードマン氏は「Facebookは世界の歴史のなかでも最大の雇用機関であるため、EEOCがFacebookに対して厳密で包括的な調査に取り組むことが重要です」と述べています。


この件に対し、Facebookの広告担当副社長のロブ・ゴールドマン氏は2017年12月時点のコメントで「Facebookは利用者に応じて求人広告を調整しています」と述べる一方で、「当社は、これらの求人広告が差別的であるという訴えを完全に否定します」と、訴えられている内容が妥当ではないという見方を示しています。また、訴えに含まれている他の企業については、Facebookはそれらの企業が法的責任を把握することを助けると同時に、法の定める内容を順守することを求めているとのこと。

ゴールドマン氏はまた、雑誌やテレビなどでも特定の年齢層に向けた広告が表示されていることになぞらえ、「求人目的で実施される年齢に基づくターゲティング行為は、責任をもって活用されることを前提に産業界で認められたものであり、正当な理由で雇用者の求人活動と、全ての世代の人が職を得ることの助けとなっています」と見解を述べています。

コーネル大学Industrial and Labor Relations Schoolで教壇に立つ弁護士・社会学者のイフェオマ・アジュンワ氏は今回のCWAの訴訟について、「雇用に関する活動がインターネットというプラットフォームへ移行することが進む兆候となる可能性があります」と述べています。またアジュンワ氏は、「従来の雇用の際に見られるのと同じ種類の差別問題が起こる場所が、現在は別のプラットフォームに移っているだけです」「インターネットを使用する新しい方法は、従来よりもより確実性が高いために融通が利く空間や偶然の出来事が起こりにくくなっていることから、状況が悪化しているとみることもできます」と述べ、Facebookのようなターゲット広告のプラットフォームにより従来から指摘されてきた問題がさらに悪化している状況を指摘しています。

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