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「プラスチックごみ」問題解決に向けEUがストローや食器など使い捨てプラスチック製品の禁止を提案

By wiley photo

増え続けるプラスチックごみの問題に対処することが重要視される中、欧州連合(EU)はプラスチック製の食器類やストロー、綿棒などの使い捨て製品の禁止や、ペットボトルの9割の回収などを義務づける提案を発表しました。

European Union moves to ban single-use plastics
https://www.cnbc.com/2018/05/28/european-union-moves-to-ban-single-use-plastics.html

Plastic ban: Europe plans to phase out plastic cutlery, straws and more
http://money.cnn.com/2018/05/28/news/europe-plastic-ban-proposal/index.html

石油から作られるプラスチック製品は分子構造が強固なため、紙や木のように自然の力で分解されるまでには数百年~数千年レベルの長い時間を要します。このため、リサイクルに回されずに投棄されたプラスチックごみは環境の中にそのままの姿でとどまり続けており、海ではビニール袋を飲みこんだ魚が死んでしまうほか、微細なプラスチック粒子「マイクロプラスチック」が大西洋・中深海水層の73%の魚の胃に入っていたことなどが明らかになっており、もはや捨てられたプラスチックは生き物全体の食物連鎖の一部に入り込んでしまっている状況です。

この状況を重く見てきたEUは新たな取り組みを検討してきました。そして現地時間の2018年5月28日、EUの行政執行機関である欧州委員会(EC)が、問題となるプラスチック製品の禁止や回収を規定する新たな規制の草案を発表しました。

European Commission - PRESS RELEASES - Press release - Single-use plastics: New EU rules to reduce marine litter
http://europa.eu/rapid/press-release_IP-18-3927_en.htm


今回の草案における規制の項目は、「特定製品におけるプラスチックの使用禁止」「消費削減目標」「製造者の責任」「回収目標」「必要表示事項」「意識向上のための方策」などとなっており、それぞれの項目で対象となる製品の例が挙げられています。


今回の草案で禁止の対象に含まれたのは、綿棒やフォークやスプーンなどのカトラリー類、皿などの食器、ストロー、飲み物を混ぜるマドラー、そして風船に取り付けられる取っ手など。これらの製品は、すでに実用化段階にある代替製品が存在することから、強制的に使用をストップさせるという意図が感じられます。また、2025年までにペットボトルの90%の回収を実現するための方策を加盟各国に義務づけるなど、厳しい内容が盛り込まれています。

By www.hbfotografic.com

掲げられている項目とその中身は次のとおり。

・特定製品におけるプラスチックの使用禁止
代替品が容易に入手可能で現実的な価格にある場合、使い捨てのプラスチック製品は市場から禁止される。禁止されるのはプラスチック製の綿棒、カトラリー、プレート、ストロー、飲み物用のマドラー、風船に取り付けられる持ち手など。すべて持続可能な材料だけを使って生産されなければならない。プラスチック製の使い捨てドリンク容器は、キャップと蓋を取り付けたままにしておけば、市場に出すことが可能。

・消費削減目標
加盟国は、プラスチック製の食品容器および飲料カップの使用を減らさなければならない。国の削減目標を設定し、代替製品を販売時点で入手できるようにしたり、使い捨てプラスチック製品を無料で提供することができないようにする方法が想定される。

・製造者の責任
生産者は、食品容器や包装材、飲み物容器やカップ、フィルター付きタバコ製品、ウェットティシュー、風船、ビニール袋などの廃棄や清掃にかかるコストを負担し、その意識を高める方策をとらなければならない。業界に対しては、低汚染な代替品を開発するためのインセンティブが与えられる。

・回収目標
加盟国は、2025年までに使い捨てプラスチック飲料ボトル(ペットボトルなど)の90%を回収する義務がある。これには、販売時に供託金(デポジット)を上乗せしておき、回収時に返金する方法などがある。

・必要表示事項
特定の製品には、廃棄物の処分方法、製品の環境への悪影響、および製品中のプラスチックの存在を示す明確かつ標準化された表示が必要。適用対象は生理用品やウェットティシュー、風船など。

・意識向上のための方策
加盟国には、使い捨てプラスチックや漁具の投棄による悪影響や、これらすべての製品の再利用システムと廃棄物管理オプションについて、消費者意識を高める義務が課せられる。

草案の公表に際し、ECのフランス・ティメルマンス第1副委員長は「プラスチックごみは大きな問題であり、この問題に取り組むためにはヨーロッパ各国はともに行動する必要があります。プラスチックごみは大気、土壌、海洋とめぐり、最後に私たちが食べる食品の中へと入り込むからです」とその必要性を述べています。


なお、最新の科学ではペットボトルを分解できる酵素が発見されるなど、プラスチックごみ問題解消の一端を担えそうな技術も生まれています。

ペットボトルを分解できる酵素が実験施設で偶然に生み出されたことが判明 - GIGAZINE

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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