×

うま味調味料の一種「グルタミン酸ナトリウム」は本当に体に悪いのか?

by josedantemorados

うま味調味料の一種として世界中で使われているグルタミン酸ナトリウム(MSG)について、「MSG添加物は体に悪い」という説がヨーロッパやアメリカを中心に広くささやかれています。そんな「『MSG有害説』は本当なのか?」という疑問について、The Guardianがまとめています。

Chinese restaurant syndrome: has MSG been unfairly demonised? | Life and style | The Guardian
https://www.theguardian.com/lifeandstyle/2018/may/21/chinese-restaurant-syndrome-has-msg-been-unfairly-demonised

MSG添加物は料理を非常においしくする調味料であり、中華料理店を含むアジア系のレストランで広く使用されています。アメリカで1960年代から報告されている「中華料理店症候群」は、中華料理を食べた後に頭痛や発汗、体のしびれといった症状を覚える症候群で、その原因は中華料理店で使用されるMSG添加物にあると広く認知されています。

しかし、イギリスでミシュラン3つ星のレストランを経営するシェフのヘストン・ブルメンタル氏は、「MSGが有害だという説は古い迷信であり、MSG有害説を証明する論文は一つもありません」と述べています。

また、アメリカのレストラン経営者であるデイヴィッド・チャン氏も、「人々は『天然』こそが最良のものだと信じており、人工の食材や調味料は危険なものだという洗脳を受けています。ところが実際には人工的に作られるものだから危険という考えは当てはまらず、人工物であるMSGが病気の原因になるという研究結果は出ていません」と述べており、MSGは食べ物をおいしくする効果だけを持っていると主張しました。

by Jason Burrows

MSGの歴史は非常に古く、日本の科学者である池田菊苗氏が1908年に海藻からグルタミン酸を抽出し、抽出したグルタミン酸をナトリウムで安定させたことが始まりです。1909年から「味の素」という商品名で販売されるようになったMSGは、実に100年以上の歴史を持っていることになります。

多くのシェフがMSGは料理の味を大きく引き立てる調味料であると認識しており、チャン氏を始めとする近代的なシェフはMSGを危険なものとみなさなくなっています。チャン氏はMSGが原因とされる「中華料理店症候群」についても、「アジア諸国に対する『汚い』『危険』という人種主義的な発想から誕生した『文化的構築物』に過ぎない」と語りました。

「MSGが使われた料理を食べると、カフェイン中毒の時と同じように胸が苦しくなる」という症状を訴える人は確かに存在していますが、MSGを販売する味の素は「MSGは1世紀以上にわたって安全に使用されてきた調味料であり、何百もの科学的研究によって安全性が保証されている」と主張しています。

by Raymond Fruseth Gangstad

EUはMSGを食品添加物として使用することを許可しているものの、使用できる量は料理1kgあたり10gまでであり、推奨摂取量は体重1kgあたり30mgまでとなっています。料理を作るシェフだけでなく、スナック菓子などを製造するメーカーも、この法定最大使用量を守る必要があるとのこと。

MSGが人体に有害であるという明確な研究結果は得られていないものの、2008年に中国で行われた研究では、「料理にMSGを使う家庭と使わない家庭を比較すると、使う家庭の方が肥満の人が多い」という研究結果が報じられています。動物実験でも「MSGが肥満抑制に関わるホルモンのレプチンを破壊する」という結果が認められており、MSGを過剰に摂取するとついつい食べ過ぎてしまう可能性があるそうです。料理ライターのフクシア・ダンロップ氏は、MSGに関する西洋の否定的な見方が拭い去られつつあることを喜んでいる一方で、「MSGは塩や砂糖と同じようなものであり、過剰に摂取するのはよくありません」とも述べています。

MSGが有害かどうかという議論は、「ビタミンの錠剤でビタミンを摂取するのと、料理からビタミンを摂取するのはどう違うのか?」という議論と同じく、哲学的な分野にまで踏み込んでしまうかもしれないとのこと。いくらMSGの使用が科学的には有害でないとされていても、長年にわたって培われてきた意識を変えることは難しいのかもしれません。

by michel_china

・関連記事
塩は体に悪いのか? - GIGAZINE

加工食品は本物の食べ物とどこが違うのか? - GIGAZINE

肥満を回避するには体内時計を考慮して食事すべきだと研究者が指摘 - GIGAZINE

なぜ人は大勢で食事をするとついつい食べ過ぎてしまうのか? - GIGAZINE

ふりかけるだけでうまみを感じられる化学調味料は本当に体に悪いのか? - GIGAZINE

in , Posted by log1h_ik