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賢明な人ほど不幸になる理由とは


幸福とは「有意義な社会的関係を持っていること」「1日がかりで何かをやって熟練すること」「自主的に人生を決定する自由を持っていること」の3つ要素があると学術文献の1つに記されています。しかし、「If You’re So Smart, Why Aren’t You Happy?」の著者であり、テキサス大学でマーケティング学の教授を務めるラジ・ラフナサン氏によると、より良い教育を受け、より裕福で、より高い目標を達成した人ほど「幸福度が低い」傾向にあると、The Atlanticのインタビューで答えています。

Why So Many Smart People Aren’t Happy - The Atlantic
https://www.theatlantic.com/business/archive/2016/04/why-so-many-smart-people-arent-happy/479832/

The Atlanticの記者(以下Q):
あなたの著書で「人々は幸せになれない方法で物事にアプローチしている」とありますが、どういったものなのでしょうか?

ラフナサン氏:
それは、社会的比較と呼ばれるものに関与することです。たとえば「私は最高の教授になりたい」など、ある集団の中で最高のものになりたいと考えたとしましょう。これには大きな問題があり、「最高」という尺度が明確になっていません。「最高の教授」と言っても「研究内容」「学生からの評価」「授業で配布するレジュメの完成度」など多くの評価項目が存在しており、さらに明確な数値を付けられるわけではないため、どの状態が「最高と評価できる」のかわかりにくくなります。


そして、多くの人々は、わかりやすいもので評価しようとします。たとえば「最高の教授」の場合、「受賞した賞の数」「給料」「所属する学校」で判断しようとします。これらは、一般的に「良い尺度」と思われるかも知れませんが、研究など特定の分野に限ると、賞が存在していなかったり、知名度の低い学校でも特定分野では非常に評価が高かったりするように、実は関連性の低い評価項目になっていることがあります。

もっとわかりやすく言えば、ある人が今月に巨額の収入を得た場合、その人は半年程度は幸せな生活を送れるかも知れません。しかし、その人がこの生活に慣れてしまうと、元の生活には戻りたくないと感じ、巨額の収入を得続けようと頑張ることになります。しかし、この人が生活のために頑張ることは、幸せに全く直結していないことが明白です。

Q:
では、どのように考えれば良いのでしょうか?

ラフナサン氏:
私がオススメするアプローチは「何かを楽しんで上手になること」です。特に自分を他の人と比較する必要がないのであれば、ただ直観的に楽しむことこそが、成功する可能性を高めます。あなたが楽しい思う行動を長時間続けて、上達できれば、その副産物として富や名声を得ることになるでしょう。


学術文献であるような幸福の3要素「関係」「習得」「自立性」に話を戻す場合、これら3つの他に4番目の要素として「世界観」を追加することが良いでしょう。世界観は次の2つの方法で特徴付けることができ、1つはいわゆる社会的比較に関連しており、誰かが勝つと他の人の喪失につながる「人と競争する」アプローチです。そして、もう1つは先ほども述べた「(自身の)上達を目指す」アプローチで、誰もが同時に成長する余地があります。

Q:
「上達を目指す」アプローチと「人と競争する」アプローチの話は大変興味深く感じることができました。この話は「経済学」にもあてはまると考えられるようになったからです。経済学は多くの点で「人と競争する」研究とも言えます。人々が「人と競争する」アプローチで物事を考えているとき、精神的な変化についてお話いただけますか?

ラフナサン氏:
誤解しないでいただきたいのですが、私は「人と競争する」アプローチが悪いと主張するつもりはありません。たとえば、あなたが戦争に巻き込まれた場合、貧困にあえいでいる地域に住んでいる場合、生き残るために戦っている場合、そしてスポーツなどで競い合っている場合など「人と競争する」考え方が極めて重要です。

歴史的にみても私たち人類の多くは、長い生存競争を生き残ってきた人々の産物です。このため、「人と競争する」考え方を重視する傾向があります。しかし、私が言いたいことは「毎日を生き残るために戦い抜く必要はない」ということです。これまでの私たちを形作ってきた「人と競争する」考え方は、むしろ私たちを後退させているかもしれないと認識を改めた方が良いかも知れません。

たとえば、広告代理店、ソフトウェア設計においては、自分自身を「人と競争する」考え方に置かないようにするだけで、良いパフォーマンスを発揮することが研究で示されています。人は成果や目標を心配することなく、何かのプロセスを楽しむことができれば、おのずと結果が出せるのです。


作家のサイモン・シネック氏は、自身の著書の中で「企業がビジネスを行うために採用する規則は軍隊に似ており、組織の構造も階層的になっている」と書いており、「人と競争する」アプローチを採用していることがわかります。しかし、シネック氏の著書では、軍の最高指導者は「上達を目指す」考え方をしていることが記されていました。このため、多くの企業は過去の歴史に基づいた組織を作り上げてきましたが、より大きな成功を収めやすいのは「上達を目指す」アプローチであると考えることができます。

Q:
私は現在、多くの面で幸福を感じている一人なのですが、将来については不安を感じています。この考えを避ける良い方法はありますか?

ラフナサン氏:
基本的なコンセプトは、「幸福を成果に結び付けない」ということです。これは自分自身の成果が幸福に対して、良い影響も悪い影響も与えないことを意味します。たとえば、あなたは重篤な病気にかかり、運よく回復できたとしたら大きな幸福を感じると思いますが、仮にネガティブな出来事に遭遇したとしても、私たちを成長させてくれる人生の良い教材としての役割を果たしてくれます。


私たちは全員が「良いこと」と「悪いこと」について何らかの信念を持っています。これまで良い人生を過ごしてこれたと感じている人は、自分の人生で良かったイベントをたくさん思い出し、それを証拠とするでしょうし、逆に悪い人生を過ごしたと感じている人は、そのような証拠を集めることでしょう。それはプラセボ効果のようなものです。

しかし、これらの信念が実は同じような役割しか果たしていないとするならば、自分にとって有用になりやすい「上達を目指す」アプローチを採用してみるのも良いと思います。

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in メモ, Posted by log1j_ty