ネットサービス

怠慢なレジストラのせいでドメインが停止してウェブサービスがダウンしてしまったという驚きの報告

by Michael Himbeault

インターネット上の住所に相当するドメインの登録・管理を行う業者をレジストラといいます。レジストラはドメイン割当を行うICANNによる厳格な審査をクリアすることで、ドメイン登録業務に携わることができます。しかし、厳格な審査をクリアしたはずのレジストラによるあまりにもいい加減な管理とサポートによって、提供しているウェブサービスがダウンしてしまったというレポートが公開されています。

UptimeChecker.io - Be aware: How domain registrar can kill your business
https://www.uptimechecker.io/blog/how-domain-registrar-can-kill-your-business


Uptimechecker.ioは、HTTPやWebSocketで通信を行う端末を監視し、問題が生じたらすぐに通知を送ってくれるという有料サービスを提供しています。2018年5月3日、エンジニアのTomislav Lombarovicさんは、「uptimechecker.io」というドメインの名前解決が不安定になっていることに気付きました。ドメインが停止されてしまうと、Uptimechecker.ioが提供している監視・通知サービスも停止してしまうため、uptimecheckerだけではなくユーザーの活動にも支障が出てしまいます。

「uptimechecker.io」というドメインはdomain.comというレジストラで登録したものでした。ドメインの有効期限がそろそろ切れることに気づいたLombarovicさんは既に更新申請の手続きを行っていました。そのことを思い出したLombarovicさんが、すぐにdomain.comへログインしてドメインの詳細を確認してみたところ、なんと申請したはずの更新手続きが全く行われておらず、ドメインの有効期限まであと2日だったということも分かりました。

あわててLombarovicさんはdomain.comのサポートへ連絡したところ、サポートは確かに更新申請を受け取っていたことを認め、直ちにサポートチケットが作成されました。Lombarovicさんは定期的にサポートチケットをチェックしていましたが、何も動きがないまま4時間が過ぎ、「uptimechecker.io」のDNSサーバーの設定がなぜかデフォルト値になってしまっていることに気がつきました。これは「Uptimechecker.ioのシステムが完全にダウンしている状態になってしまっていた」ということを意味します。

by compbrain

Lombarovicさんは「このままではユーザーがサービスにアクセスできない。緊急を要している」と再度サポートに連絡を行いました。そして待つこと8時間後、ようやくサポートから回答が届いたとのこと。しかし、その内容は「ご迷惑をおかけしたことをおわび申し上げます。24~48時間以内にスペシャリストから送られる指示に従ってください」という、ユーザーのサービスがドメイン停止でダウンしていることに全く危機感を覚えていないような文面だったとのこと。


しかも、その後毎日サポートに連絡していたにも関わらず、回答が一切返ってこなかったため、Lombarovicさんは別のドメインレジストラと契約して登録した新しいドメイン「uptimechecker.org」にシステムを移行し、ユーザー全員に通知するという最終手段を採ります。Lombarovicさんがサービスを新しいドメインに移行した直後、domain.comからようやく謝罪文が届きました。しかし、その謝罪文を最後に、domain.comからの連絡は途絶えてしまったそうです。


システムを移行して1週間後にDNSサーバーの設定は正しい値に戻され、「uptimechecker.io」は再開しました。サポートからの報告によれば更新が完了したら再び連絡するとのことでしたが、サポートチケットはまったく更新されていないそう。Lombarovicさんは、ドメインの制御を取り戻すためにしばらくは「uptimechecker.io」と「uptimechecker.org」の両方を運用しつつも、domain.comから撤退して別のレジストラに完全移行する予定だとコメントしています。同時に、Lombarovicさんはいい加減な仕事をするドメインレジストラのせいで自分のビジネスが最悪の事態にならないよう気をつけるよう注意を促しています。

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in ネットサービス, Posted by log1i_yk

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