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なぜ人は大勢で食事をするとついつい食べ過ぎてしまうのか?

by Pat O'Malley

パーティーや宴会などで多くの人々と会話を楽しみつつ、一緒にご飯を食べることは楽しいものである一方、大勢でご飯を食べているとついつい食べ過ぎてしまうという人もいるはず。そんな「なぜ人は大勢で食事をすると普段よりも多く食べてしまうのか?」について、BBCがまとめています。

BBC - Future - Why you eat more when you’re in company
http://www.bbc.com/future/story/20180430-why-you-eat-more-when-youre-in-company

1980年代、健康心理学者のジョン・デ・カストロ氏は「何を食べたのか」「何人で食べたのか」といった食習慣についての調査をスタートしました。1994年までに500人の食習慣についてのデータを収集したカストロ氏は、「1人で食べる時よりも、複数人で食べる時のほうがたくさん量を食べる」という傾向を発見したとのこと。

カストロ氏以外の研究者も、1人で食べる時と複数人で食べる時の食べる量の違いについて研究しており、「複数人だと1人の時よりも40%多くアイスクリームを食べる」「複数人だと1人の時よりマカロニやお肉を10%増しで食べる」といった結果を報告しています。カストロ氏は大勢で食事をすると食べ過ぎてしまう現象を、「社会的促進」と名付けています。

なぜ大勢で食べると1人の時よりたくさんの量を食べてしまうのか、その理由についてカストロ氏や他の研究者らは「空腹」や「気分」といった要素を否定しています。その代わり、カストロ氏らは「複数人で食事をすると、1人で食事をするよりも長時間食事を続ける」という理由こそが、食事において社会的促進が発生する理由だとしています。

by Artur (RUS) Potosi

飲食店における観察結果から、グループの人数が増えれば増えるほど食事の時間が長くなる傾向にあったことが明らかにされています。2006年の研究では、132人を1人・2人・4人といったグループに分け、12分または36分の時間制限でクッキーやピザを食べてもらいました。その結果、特定の時間で食べる量は人数にかかわらずほぼ同じであり、時間が長ければ長いほどたくさんの量を食べるという結果が得られました。大勢で食べれば食べるほど私たちは食事会場に長くとどまり、その結果新たにおいしそうなケーキやフルーツを見つけてしまうため、ついついたくさん食べてしまうのです。

また、パーティーや宴会といった食事形式では、それぞれの参加者が「この量じゃ足りないかも」と思い込んで、たくさんの料理を注文する傾向が観察されています。参加する人々が多くなればなるほど、1人当たりが注文する料理が多くなるこの現象を、食事研究者のピーター・ハーマン氏は「供宴仮説」と命名しました。「自分のためではなく、他の人のために注文」することで、私たちは罪悪感を覚えずにたくさんの料理を食べることができるとのこと。

複数人で食べるとたくさんの量を食べてしまうという現象は、一緒に食べている相手が現実の人間ではなくても発生します。日本で行われた研究では、ただ1人でポップコーンを食べるように指示された人よりも、「鏡の前で」ポップコーンを食べるように指示された人のほうが、多くのポップコーンを食べることが示されました。レストランの壁に鏡が設置され、広い空間で多くの人が食事しているように見せかけているのは、多くの場合この研究結果によるものです。

by lindawm_sports

多くの研究が大勢で食べることが過食につながると示す一方で、「人と一緒に食べることで、普段より食べる量が少なくなる場合もある」という研究結果も発表されています。肥満の子どもは肥満でない子どもと一緒に食事を取ると、普段より食べる量が少なくなるという結果や、女性は男性と一緒に食事を取る時、女性だけで食事を取る時よりも食べる量が少なくなるという研究結果が示されています。

人間の食習慣が社会的な関わりに左右される傾向にあることはこれまでの研究で判明しているものの、なぜ人間がそのように進化してきたのかという理由については、まだ詳しいことがわかっていません。考えられる説としては、「多くの人が食べる量を合わせることにより、得られる食料が少ない狩猟採集社会で多くのメンバーに食料を分け与えることができるから」「子どもが知識の豊富な大人と食べるものを合わせることで、危険なものを食べる危険性を減らす」といったものが考えられるとのこと。

世界では30%近くの人が体重過多であり、全体的に人間は肥満気味になりつつあるとされています。私たちは「自分の食事が社会的な関わりに左右されており、大勢で食べるとついつい食べすぎてしまうものだ」ということを自覚し、不用意に多く食べすぎないように気を付けるべきといえそうです。

by tracy ducasse

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in サイエンス,   , Posted by log1h_ik