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アルミ精錬の際に酸素を放出する新しい手法が開発中、Appleも研究を支援

By U.S. Department of Agriculture

飛行機や自動車のボディ、ビールの缶からスマートフォンのフレームなど、生活の中で幅広く使われている金属のアルミニウムは、原料を溶かして精錬する際に大量の二酸化炭素を生み出します。温室効果ガスでもある二酸化炭素の削減が世界的に叫ばれる中、大手アルミメーカー2社は二酸化炭素の代わりに酸素を放出する精錬方法の開発を進めています。

Aluminum production could get much better for the environment | Popular Science
https://www.popsci.com/aluminum-apple

新たな技術の開発を進めているのは、大手アルミメーカーのAlcoaと多国籍鉱物企業のRio Tintoの2社です。アルミの精錬方法は、19世紀にアメリカのチャールズ・マーティン・ホールとフランスのポール・エルーがほぼ同時に独自に考案したホール・エルー法が広く使われており、基本的な方法は100年以上変化してこなかったのですが、この方法は「多くの二酸化炭素が放出される」という、21世紀においては見過ごすことが難しい特徴が備わっています。

アルミは、原料となるボーキサイトを電気分解することで精錬されて製品となるのですが、この電気分解の際には炭素による電極が用いられます。セ氏約900度という高温で酸化アルミニウムは純度の高いアルミニウムへと生まれ変わるのですが、その際に酸化アルミニウムから放出された酸素分子が電極の炭素と反応することで二酸化炭素が生み出されてしまいます。その量は決して看過できるものではなく、製品のアルミ1トンあたり約13トンの二酸化炭素が放出されているといわれています。

By U.S. Department of Agriculture

この課題を解決するブレークスルーが、Alcoaが炭素を使わない不活性な電極素材を発見したことでもたらされようとしています。素材の詳細についてAlcoaは明らかにしていませんが、新しい電極を使うことでアルミ精製時の二酸化炭素排出がゼロになり、逆に酸素を放出することが可能になるとのこと。AlcoaはRio Tintoと共に新ベンチャー「Elysis」を設立し、この手法を商業レベルで実用化することを目指しています。

新しい精錬方法の開発にはAppleも関与しています。毎年およそ8000万台のiPhoneを出荷し、MacBookなどの製品のフレーム部分に多くのアルミを使っているAppleは新ベンチャーに約1010万ドル(約11億円)を出資しています。大量のアルミを使っているAppleでは、企業活動を行う際に関与していると見なされるカーボンフットプリントのうち24%がアルミの使用によるものとなっており、企業としての社会責任を果たす上で環境負荷の少ないアルミを使うことは大きな効果があります。

この新技術が商業化されるのは2024年頃とのことで、まだ身近で「クリーンアルミ」を使える日が訪れるまでには時間がかかる模様です。また、Alcoaが開発した新素材がどのようなもので、二酸化炭素の代わりに別の物質が排出されることにならないのか、電力効率が下がることで電力消費量が増加し、発電による二酸化炭素排出量が増加しないのか、など総合的な視点の評価が重要といえますが、ひとまずは新たな手法が開発されているということに期待したいところです。

By JAXPORT

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