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メモ

「France.com」のドメイン所有者がフランス政府にドメインを奪われようとしている

by Patrick S.

2018年3月12日、「France.com」サイトが突然オフラインになりました。France.comは24年間、観光旅行の予約サイトとして運用されてきたのですが、記事作成時点ではフランス政府公式の英語版にリダイレクトされるようになっています。リダイレクトされた先はフランス政府が運営するサイトであり、このリダイレクトの裏には、「France.com」の所有者とフランス政府による激しい法廷闘争があります。

This man is fighting the French government for control of France.com - The Verge
https://www.theverge.com/2018/4/30/17302000/france-website-domain-name-lawsuit-french-government

「France.com」というドメインの所持者であり、「France.com」を商標登録した人物でもあるジーン・ノエル・フリードマン氏は、ある日突然、ユニークで収益性の高い自身のドメイン「France.com」が使えなくなっていることに気づきます。当時のことを振り返りながらフリードマン氏は、「ドメインは全て消えてしまった。瞬間にして全て消えてしまったんだ」と語っています。フリードマン氏が運営する観光旅行の予約サイトであった「France.com」ですが、ある日を境にフランス政府の公式サイトのひとつである「France.fr」の英語版にリダイレクトされることとなってしまいます。

記事作成時点では「France.com」にアクセスすると、以下のページへリダイレクトされます。

France.fr - Unexpected France by those who make it what it is
https://www.france.fr/en


突如自身のサイトが使用不可能になってしまったということで、フリードマン氏は現在フランス政府とホスティングプロバイダを相手に連邦裁判所で訴訟を起こしており、「France.com」にアクセスするとフランス政府の公式サイトへリダイレクトされる設定を取り消し、自身の運営している観光旅行サイトを再び使えるようにするため奮闘しています。

「France.com」というドメインの所有者であるフリードマン氏


フリードマン氏はWorld Wide Webが利用可能になってから3年足らずの1994年に初めてドメインを登録しました。フリードマン氏はまだできたばかりのBBSやウェブサイトに可能性を感じたそうで、「私はウェブが新しいフロンティアであることがわかりました。そしてこのフロンティアは、早く入ればそれだけ大きな権利が主張できる場であることもわかっていました」と、できたばかりのインターネット上ですぐさま「France.com」というドメインを取得した理由について説明しています。

「France.com」はいくつかのサイトを経て、最終的には観光旅行サイトとなります。インターネットアーカイブが保存している過去のウェブサイトの姿を閲覧できるウェイバックマシンで「France.com」を見てみると、現在表示されているサイトとは全く異なるモノであることがよくわかります。


フリードマン氏が運営する「France.com」では、観光旅行のパッケージプランを販売しており、同時に旅行のアドバイスも提供していました。なお、「France.com」には毎月約10万人もの人々が訪問していたそうです。フリードマン氏は他のドメインも取得していたそうですが、何年も前にそれらをすべて売却しており、記事作成時点では「France.com」だけを運営しているそうです。

フランスの観光局はフリードマン氏と「France.com」を高く評価しており、2009年にはベストウェブサイト賞を授与しています。しかし、2016年になってフランス外務省内で何かしらの心変わりがあったのか、「『France.com』というドメインは政府の正当な財産である」と主張し訴訟を起こしました。そして2016年7月、フランス・パリにある高等裁判所は「France.com」が国の正当な財産であることを認め、フリードマン氏にドメインを手放すよう判決で命じましたが、判決に異議を唱えたフリードマン氏が控訴しており、記事作成時点では最高裁判所の判断を待っているという状況です。

フリードマン氏は少なくとも裁判が終わるまでは「France.com」のドメインを維持できると考えていたそうです。しかし、フランス政府はフリードマン氏が「France.com」で利用しているレジストラのWeb.comに圧力をかけ、「France.com」にアクセスすると「France.fr」の英語版にリダイレクトされるよう設定します。さらに悪いことに、「France.com」というドメインを扱うレジストラがアメリカのWeb.comから、フランスに本拠地を置くレジストラのOVHに変更されてしまいました。

フリードマン氏の弁護士を務めるデイビッド・ルートヴィヒ氏は、「ドメイン名は先着順に入手できる商品であり、それが世界の真実だ」と語っています。


これまで「.com」ドメインが国により没収されたという事例はほとんどありません。「.com」ドメインはトップレベルドメインの中でも国別コードや「.gov」とは明確に区別されています。なぜなら「com」は「commercial(商業)」を意味するものであり、「.com」自体も商業用のドメインとして認識されているからです。政府が「.com」ドメインを所有することはまれであり、「USA.com」「Canada.com」「Germany.com」はすべて個人運営されているドメイン。また、「Japan.com」はフリードマン氏が運営していた「France.com」と同じく香港に拠点を置いた観光サイトです。加えて、政府が既存のドメイン所有者からドメインを購入しようとするのではなく、法的に所有権を主張するというのは極めて珍しいケースです。

検索エンジンやソーシャルメディアが主流となった現代では昔ほど莫大なトラフィックが稼げるわけではありませんが、それでもシングルワードドメインは依然として人気の高いものであり、定期的に100万ドル(約1億円)以上で売買されています。実際、2018年に販売された「Super.com」は、120万ドル(約1億3000万円)で売却されました。

「France.com」はリダイレクト処理されるまで積極的に更新されており、ツアーパッケージや「お客様の声」、「フランス国立公園をハイキングするヒント」などを掲載したブログ記事が提供されていたため、サイト自体は正当なビジネスであったと考えられています。LinkedIn上でフリードマン氏は、「France.comのCEO」と記載しており、同サイトは「同じ経営陣のもとで運営されてきた最も古いオンライン旅行代理店」であることを誇っているのですが、最終的に「France.com」のドメインを手にするのはどちらの陣営になるのか興味は尽きません。

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in メモ, Posted by logu_ii