サイエンス

未解決事件の犯人をDNA解析サービスで絞り込み12人を殺害し50人以上をレイプした犯人が40年の時を経て逮捕へ

by Hein Boekhout

自分の唾液を採取して送付するだけで遺伝子情報を解析してくれるサービスが人気となっていますが、中にはDNA解析サービスで得た自分の遺伝子情報をネット上に公開する人もいます。40年にわたって未解決だった殺人事件の犯人が、このような遺伝子情報を利用することで逮捕へと至りました。

East Area Rapist: DNA from genealogy websites cracked case, officials say | The Sacramento Bee
http://www.sacbee.com/news/local/crime/article209913514.html

East Area Rapist: Questions about use of DNA from genealogy sites | The Sacramento Bee
http://www.sacbee.com/latest-news/article209908769.html

DNA match on genealogy sites led to suspected "Golden State Killer" Joseph DeAngelo, police say - CBS News
https://www.cbsnews.com/news/joseph-james-deangelo-golden-state-killer-suspect-genealogy-website/

黄金州の殺人鬼(ゴールデン・ステート・キラー)と呼ばれる大量殺人犯は、1976年6月18日から1979年7月5日の間に北カリフォルニアのサクラメント郡で少なくとも50人の女性をレイプし、そして1979年から1986年の間に南カリフォルニアで12人を殺害しました。これまで「東部の強姦魔」や「オリジナル・ナイトストーカー」と呼ばれる犯罪者による別件の事件だと思われていたものも、この黄金州の殺人鬼によるものであったことが結論付けられました。

その手口は、被害者にストーキング行為を行い、家に侵入して事前に被害者の周囲の環境について調査してから犯行に及ぶというもので、事前に間違い電話を装って被害者に電話を掛けてスケジュールを把握することもあったといいます。また、犯行後に被害者女性に電話して、もう一度犯行を行うと脅迫することもあったそうです。

現地時間の2018年4月26日(木)、40年にわたって未解決だったこの事件の犯人として、元警察官のジョセフ・ジェイムズ・ディアンジェロ被告(72)が逮捕されました。


犯人の逮捕に一役買ったのは23andMeAncestryのようなDNA解析サービス。これらのオンラインサービスのうちいくつかは自分の家庭的背景を知りたいと考えている人からDNAサンプルを採取し、行方不明の親族を探し出すというサービスを提供しており、詳しい内容は公開されていませんが、事件の担当者らは数年前に見つかったディアンジェロ被告のDNAをサイトに送ることで事件解決の糸口を得たとのこと。

DNA Doe ProjectというNPOを運営するColleen Fitzpatrick氏らによると、「生物学的な両親や行方不明の親戚を探すためにDNA解析サービスで得られた遺伝子情報をDNAマッチングサイトで公開する人がおり、Schubert氏の親族もその1人だったのだろう」とのこと。

なお、使用したウェブサービスの名前は公開されておらず、23andMeやAncestryは調査への関与を否定しています。


サクラメント郡の検察官であるAnne Marie Schubert氏によると、調査は長期にわたって行われ、犯罪調査ラボはDNA解析サービスによって明らかにされた「犯人と合致する家系図」を元に容疑者を絞り込んでいったそうです。そして、ディアンジェロ被告が当時、犯罪が起こったエリアで暮らしていたこと、犯人の年齢と合致することなどから、捜査線にあがってきたとのこと。

その後、犯罪調査ラボはディアンジェロ被告が暮らすシトラス・ハイツ周辺を監視し、被告が捨てたゴミからDNAを採取。犯人のDNAと合致するかどうかが調べられ、2018年4月20日(金)の夜に、Schubert氏は州検察官次長のSteve Grippi氏からDNAが一致したという知らせを受けたそうです。Schubert氏によると、「DNAサンプルは『彼が犯人である』という圧倒的な証拠を示していた」とのことですが、念のため2つ目のサンプルでもテストを行いました。しかし、23日(月)の夜に届いた結果は1度目のテストと同じでした。

by Mate Marschalko

ディアンジェロ被告が犯人であるとわかってから逮捕が行われるまでは「容疑者に気づかれたり、逃げられたりしないように、できるだけ速く」ということで迅速に行われたため、全ての州検察官が逮捕について知っているわけではなかったほど。そして火曜日の午後にはディアンジェロ被告は逮捕され、1978年に起こった2件の殺人の罪で留置場に入れられたとのこと。

4月27日(金)、ディアンジェロ被告は12件の殺人と51件のレイプで起訴されました。

黄金州の殺人鬼が犯行を開始したとき、サクラメント郡で暮らすSchubert氏は12歳でした。当時、犯罪の報道を受けたSchubert氏の父親は銃を購入し、母親は枕の下にナイフを忍ばせていたとのこと。その後、Schubert氏は上司を説得してコールドケースとなっていた事件の再捜査を開始。捜査が始まってから18年の歳月を経て、ようやく犯人が逮捕されることとなりました。

ただし、今回の捜査方法については「ウェブサイト上の個人的な遺伝情報のプライバシーはどのように守られるべきか」という問題も持ち上がっています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
殺人現場に残された「結び目」からロープの専門家が犯人を導くまで、結び目から犯人の何がわかるのか? - GIGAZINE

トロントのゲイ・コミュニティーを震撼させた連続殺人事件はなぜ止められなかったのか? - GIGAZINE

未解決殺人事件に共通する傾向を見つける誰も挑戦したことのない新型アルゴリズム登場 - GIGAZINE

犠牲者がいずれも頭を2発以上撃たれて殺害された「アルプス山脈殺人事件」とは? - GIGAZINE

誰でも個人情報を見られる情報過多世界での殺人事件を追うSFミステリー映画「ANON」予告編 - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.