動画

コーナーを最速で駆け抜けられるライン取りとは?

by Tim Carey

モータースポーツのレースを制するためには、「ストレート」「コーナー」ともに誰よりも早く駆け抜けることが求められます。では、どのようなライン取りをすればコーナーを早く駆け抜けることができるのか、YouTubeのChain Bear F1チャンネルの公開しているムービーを見ると、その一端がわかります。

Racing Lines explained - YouTube


一般に、車がスピードを出しやすいコーナーは緩く(曲線半径が大きい)、きついコーナー(曲線半径が小さい)ではあまりスピードは出せません。


時速40マイル(約64km)で走る車があるとします。軽く右にハンドルを切ると、前に進もうとする力と、横方面の路面保持力のバランスが保たれるポイントで円軌道を描きます。


しかし、車が時速50マイル(約80km)に加速すると前へ進む力が強くなり、軌道は外に膨らみ、先ほどの円より一回り大きな軌道を描きます。


同様に、速度を上げると円の半径はどんどん膨らみます。これは冒頭の「曲線半径が大きいほど速度を出せる」という形に言い換えることができます。


コーナーを最速で通過するラインの基本は「アウト・イン・アウト」、できるだけ速度を落とさずにコーナーへ近づき、コーナー内側の頂点を通ってそのままコース外側へ抜けるものです。コーナー内側の頂点は「頂点」「先端」の意味を持つ英単語をそのまま使って「エイペックス(Apex)」と呼ばれます。


このエイペックスは「トゥルー・エイペックス(真の頂点)」や「ジオメトリカル・エイペックス(幾何学的頂点)」などと呼ばれます。


繰り返し出てくる「曲線半径が大きいほど速度を出せる」という理屈からすれば、このコーナーを最速で抜けられるのは紫色で示されたラインのはず。しかし、F1などのレースでは「1つのコーナーを最速で駆け抜ける」ことが目的ではなく「コース全体を最速で駆け抜ける」ことが目的。下記の図でいうと、AからBまでのコーナー最速を目指すのではなく、コーナーを抜けた直線にあるCまでを最速で走るにはどうすればいいかを考えなければなりません。直線をなるべく速く走るには、早い段階で加速する必要があります。


そこで考えられるのが、コーナーの入りでブレーキをかけるのを遅めにして、レースの上でのエイペックスを後方へずらす「レイト・エイペックス」です。


レイト・エイペックスでは加速をかける位置を早めに置くことができます。


一方、コーナーからの立ち上がりの速度がすべてというわけでもありません。コーナーへ浅い角度で早く突っ込む「アーリー・エイペックス」もあります。素早く加速できるマシンなら早くアクセルを踏み込むためのレイト・エイペックスが有効ですが、加速がそれほどでもない場合はギアを落とさずにコーナーを抜ける方がトータルでは速くなるので、アーリー・エイペックスが有効です。


ここまでの事例はコーナーの先が直線でしたが、コーナーが連続することもあります。その場合、1つ目のコーナーの出口(矢印の位置)でどれだけ速いかというのはそれほど関係がなく……


最後のコーナーをどれだけ早く立ちあがるかというところを考えることになります。


この複合コーナーだと、複数の方法を組み合わせるのが最速、というわけです。


なお、グリップがそれほど強くなく横滑りさせることができるカートの場合は「カーティング・ライン」という、エイペックスを無視したラインの方が速いこともあります。


F1マシンは通常、タイヤのグリップを活用して走るのでカーティング・ラインを使うことはありませんが、タイヤがへたってきたときや雨の時にはカーティング・ラインを使います。雨の時にカーティング・ラインが役立つ理由は、1つはコーナー前で強いブレーキを踏むことが難しくなるため。もう1つは、舗装の表面に水が浮き、路面がとても滑りやすくなることがあるためです。


実際にはコーナー前後の路面にわずかな凹凸があって、最速ラインだと底をこすってしまったり、予想もしない障害物があったり、他のマシンがいて希望のラインを取れなかったりということもあります。

・関連記事
世界3大レースの1つ「インディ500」で佐藤琢磨が日本人ドライバーとして初優勝 - GIGAZINE

F1は実車よりもeスポーツ(ゲーム)の方が盛り上がっている - GIGAZINE

70年に及ぶF1の歴史を振り返るムービー「Formula 1 - Everything You Need to Know」 - GIGAZINE

レースの見せ場の1つ「ピットストップ」をカテゴリごとに比較するとこうなる - GIGAZINE

レース中のピット作業は60年前と比べてどれだけ迅速になったのか - GIGAZINE

in 乗り物,   動画, Posted by logc_nt