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ニコンの名門レンズブランド「ニッコール」はどのように作られているのか?

by Rafael Castillo

カメラメーカー・ニコンのレンズブランドがニッコール(NIKKOR)です。高い品質で世界にファンがいます。この高品質を支える光学レンズを製造しているのが秋田県湯沢市にある光ガラス株式会社です。その工場に潜入したレポートが、カメラレビュー・Imaging Resourceが訪問し、レポートを公開しています。

Glass for geeks: An in-depth tour of Nikon’s Hikari Glass factory
https://www.imaging-resource.com/news/2018/04/17/glass-for-geeks-an-in-depth-tour-of-nikons-hikari-glass-factory


ニッコールレンズをはじめ、顕微鏡・双眼鏡などのレンズの雛形が作られている光ガラス株式会社の工場。所在地である秋田県湯沢市は日本海側の豪雪地帯で、1mを超す積雪量に、Imaging Resourceの編集長を務めるデイブ・エッチェルさんも驚いたとのこと。


ニッコールレンズを作る上で重要なのは、石英・炭酸ナトリウム・カリウム・石灰などの材料を徹底的に混ぜ合わせて、完璧にブレンドすることだそうです。


混ぜ合わせる作業は巨大なミキサーが担当。回転しながら材料を混ぜ合わせる様子は以下のムービーで見ることができます。

Nikon Hikari Glass Factory - Y-Mixer - YouTube


混ぜ合わせた材料は、ガラスの主原料と同じ石英でできた高温の炉で溶かされます。石英の炉も高温によってごくわずかに溶けてしまうそうですが、材料を調合する際に炉が溶けて混ざる量も計算されているとのこと。炉や溶かす工程は撮影禁止だったとのことですが、溶けたガラスを型に流し込む様子は以下のムービーで公開されています。。

Nikon Hikari Glass Factory - Tapping The Crucible - YouTube


溶けたガラスに混ざった不純物や異物は気泡の原因となりますが、レンズ用ガラスではわずかな気泡も許されません。このため、気泡が入らないように温度を変えながらガラスを溶かすという工夫がなされています。作るレンズのサイズに応じて幅や厚さは異なるとのこと。


ベルトコンベアを流れてきたガラスは、職人の手によって決まった大きさにカットされます。「小さなハンマーとタガネで、ガラスを粉々に破壊することなく正確にカットしていく職人技に驚かされた」とエッチェルさんは語っています。


カットされたガラスは目視によって「気泡が入っていないか」「成分にムラがないか」が念入りにチェックされます。以下の画像はガラス板を明かりに透かし、気泡がないかチェックするところ。


また、炉のるつぼでうまく混ぜ合わさっていないと成分にムラができ、屈折率が場所によって変わってしまうため、レンズに使うことができません。光を投射しながらガラスをさまざまな方向に動かし、明暗のコントラストを入念にチェックすることで成分のムラを探し出します。


レンズにとってガラスの屈折率は非常に重要なので、目視だけではなく機械も使って測定します。また、屈折率だけではなく、光の透過率も測定し、ガラスの透明度もチェックされるとのこと。


厳しいチェックをくぐり抜けたガラスは、サイコロ状に加工されていきます。そのためにまずガラス板を縦2つに分割するのですが、この工程は手作業で行われます。回転する円盤には刃はついておらず、摩擦熱できれいにカットできるとのこと。


カットされたガラスはこんな感じ。「シャンデリアやワイングラスに使われるようなクリスタルガラスは高い透明度と屈折率によってダイヤモンドのような輝きを持ち、宝石のように扱われてきた歴史があります。レンズ用に作られたガラスも透明度と屈折率が高いため、女性のアクセサリーに使えそうなほど見事な輝きを見せています」とエッチェルさんはコメントしています。


カットされたガラスのサイコロは振動バレルに投入されます。振動バレルの中には滑らかな岩石・研磨剤・少量の水が入っていて、ガラスのサイコロは適切な大きさまで削られていきます。


実際に振動バレルによってガラスが研磨される様子が以下のムービーで公開されています。

Nikon Hikari Glass Factory - Vibratory Tumblers - YouTube


振動バレルの他にもさまざまな種類の研磨機があり、ガラスの種類に応じて使い分けられるとのこと。研磨が終わり、すっかり角のとれたガラスはこんな感じ。


研磨の終わったガラスは欠けがないかどうかを入念にチェックされた後、レンズに近い形に予備成型されます。ガラスは窒化ホウ素の粉末でコーティングされた後、高温の炉で熱されて、金型に入れてプレスされ、レンズに近い形に成型されていきます。窒化ホウ素のついた層はレンズの研磨工程で取り除かれるとのこと。


予備成型の工程は機械ではなく、2~3人の職人によって手作業で行われます。ガラスを炉から取り出すタイミングは職人による経験で判断されているとのこと。レンズの予備成型を行う作業行程は以下のムービーで確認できます。

Nikon Hikari Glass Factory - Pre-forming Press - YouTube


予備成型の終わったレンズは亀裂やひずみがないか、目視によるさらなるチェックが行われます。これを通過したものだけがニコンのレンズ工場へ送られます。


予備成型が終わり、チェックも通ったレンズはこんな感じ。出荷されたレンズ玉はレンズ工場で磨かれ、組み立てられます。ニッコールレンズの製造には長く複雑なプロセスがあり、ニコンに他のカメラメーカーにはない独自の魅力があるのもうなずけるとエッチェルさんは語っています。

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in ハードウェア,   動画, Posted by log1i_yk