サイエンス

健康な人のうんちに含まれるバクテリアを移植することで認知機能が改善される

by Chisel Wright

人間の腸内に存在する微生物(腸内バクテリア)は不安やうつ状態に関連しており、食べるものを左右するといった事例が報告されるなど、私たちの生活に大きな影響を与えていることが知られています。そんな腸内バクテリアを病気の治療に役立てようという動きが本格化している中で、「腸内バクテリアの移植によって認知機能の改善がみられた」という研究結果が報告されました。

Fecal microbiota transplantation produces sustained improvements in cognitive and clinical outcomes -- ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2018/04/180414171634.htm

A simple poop transplant could fix a debilitating brain disease, study shows
https://www.sciencealert.com/poop-transplant-could-fix-brain-diseases

腸内バクテリアを移植することで下痢の症状を治すなど、腸内バクテリアがどのような病気の治療に応用できるのかという点について、多くの研究者たちが実験を繰り返しています。バージニア州立大学のJasmohan Bajaj研究員は肝硬変肝性脳症を有する患者20人に対して、健康な人の便から培養した腸内バクテリアを5カ月間にわたって定期的に移植し、その後1年間にわたって患者たちの追跡調査を行いました。

肝性脳症とは肝硬変などの病気により肝機能が低下し、アンモニアを代表とする毒性を持つ物質が体内に蓄積され、意識障害や言語障害、思考や性格の変化に物忘れなどを引き起こす病気です。肝硬変を発症した人々のうち約40%が肝性脳症を発症しますが、肝性脳症の初期症状が認知症とよく似ていることから、認知症と誤診断されるケースもしばしば発生し、治療開始が遅れてしまうこともあるとのこと。

腸内バクテリアの移植を受けた患者の中には、1年の間に肝移植手術を受けた結果死亡してしまう人もいたそうですが、患者たちの健康状態や入院頻度が腸内バクテリアの移植を受けていない場合と比べ、明らかに改善していることが確認できたそうです。また、20人の患者の内10人には、認知機能の改善がみられました。

by Rick Turoczy

Bajaj氏は「さらに大きい集団を対象にして、研究を行う必要があります」と述べており、腸内バクテリアの移植が将来的に有望な肝性脳症の治療方法になるとしています。肝性脳症によって脳に蓄積されたダメージは、不可逆的な状態にまで進行してしまうこともあり、手遅れになると昏睡状態からの死もあり得るとのこと。今回の研究では、健康な腸内バクテリアが患者の腸内で繁殖することにより、本来除去されるべき毒性を持つ細菌を除去する機能が回復した結果、肝性脳症を進行させる毒素が減少して患者に有益な影響が出たと考えられています。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik