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「プーチン大統領はヒトラーのように2018年のサッカーW杯を利用する」とイギリスの政治家が批判発言

By Jedimentat44

4年ごとにサッカーナショナルチームの世界王者を決めるFIFAワールドカップの2018年大会は、6月14日から7月15日にかけてロシアで開催されます。この大会について、元スパイの暗殺未遂疑惑でロシアと激しい火花を散らしているイギリスでは政治家が「ヒトラーがオリンピックを利用したように、プーチン大統領はワールドカップを利用しようとしている」という見方を示し、さらに外交政策を担当するボリス・ジョンソン外相が「その見方は正しい」と意見を表明する事態に至っています。

Putin 'will use World Cup like Hitler's Olympics', agrees Johnson - BBC News
http://www.bbc.com/news/uk-43487948

この発言は、イングランド南部の都市ソールズベリーで発生した元ロシアのスパイ暗殺未遂事件について開かれた外交特別委員会の会合の中で出たもの。労働党のイアン・オースティン下院議員が「ワールドカップの優勝国のキャプテンにプーチン大統領がトロフィーを渡すこと、そしてプーチン大統領が大会をPRに活用して自身が率いる暴力的で腐敗した政権の体面をうまく取り繕うとしているということ、これに私は恐怖を覚える」と発言したことに対し、元ロンドン市長で2016年7月からはメイ内閣で外務・英連邦大臣を務めるジョンソン氏は「残念ながらそれは完全に正しい」「ワールドカップの際にモスクワで起こることに対するあなたの表現と、1936年の出来事と比較することは的確だ」と述べたとのこと。ジョンソン氏はまた、ワールドカップ開催期間中に現地を訪れるファンの身の安全について「緊急の会合」をロシアと開くとも語っています。


ジョンソン氏が語る「1936年の出来事」とは、アドルフ・ヒトラー率いるナチス党の政権下で開催された1936年ベルリンオリンピックのことを指しています。ヒトラーはこの大会を開催することによって「アーリア人の優秀さを知らしめる」ことを目的にしていたとされており、ヒトラーはそのプロパガンダの道具として大会を利用し、美化したというのが一般的な見方です。

このヒトラーと同じように、ロシアのプロパガンダと美化のためにワールドカップを利用しようとしている、というのがオースティン氏とジョンソン氏の発言内容であるというわけです。

イギリスでは2018年3月4日にロシアの元二重スパイに対する毒殺未遂事件が起こっており、メイ政権はその首謀者がロシア政府であると断定。ロシアはこれを否定していますが、イギリス政府は報復措置として在英ロシア大使など外交官23人を国外退去処分。するとロシアも在ロシア外交官を国外退去処分にするなど、両国の間では激しい応酬が繰り広げられています。今回の発言はそんな中で飛び出したもので、ヨーロッパでは一つのタブーとされているヒトラーと比較したことは大きな意味を持つものといえます。

この事件は、ロシアの元諜報員でイギリスに亡命中のセルゲイ・スクリバリ氏とその娘が神経剤「ノビチョク」を用いて暗殺されそうになったもの。この化学物質はサリンやVXガスなどの化学兵器よりも洗練されたもので、国家が絡むレベル以外では製造できないことからも、ロシアによる関与が強く疑われています。

ロシアの二重スパイ暗殺未遂事件で使われたサリンやVXよりも洗練された神経剤「Novichok(ノビチョク)」とは? - GIGAZINE


ジョンソン氏の発言に対してイギリス首相官邸の広報官は、政府の立場を代弁したものであることと、ワールドカップの計画について警察と緊密に協力していることを表明しています。この背景には、ロシアがイギリスの在ロシア外交官など23人を国外追放した処分を受け、ロシアに居住するイギリス人の身の安全を保障する必要があるという意味も含まれています。ロシアから退去処分を受けた職員の中にはロシアに居住するイギリス人の安全を担当する人物が含まれており、その人物が不在の状況では通常とは異なる対策を講じることが不可欠となってきます。

開幕が近づく中、イギリス国内ではワールドカップ観戦のために2万4000件の渡航申請があったとのこと。2014年のリオ・オリンピックの時は同じ段階で9万4000件の申請があったために縮小傾向ではありますが、ジョンソン氏は「人数は減っているが、イギリス国民の取り扱われ方について深く憂慮しないということにはならない」と、国民保護について必要な措置をとることを語っています。

大会にイギリスからのチームが参加すべきかについてオースティン氏が「大会に出場しないべきだ」と主張したのに対し、ジョンソン氏は「大会を楽しみにしているファンや、大会に向けて長い時間と生活を犠牲にして努力してきた選手たちに罰を背負わせるのは間違いだ」として、大会をボイコットすることに対しては否定的な見解を明らかにしています。

By Paul Saad

なお、ジョンソン氏の発言に対してロシア外務省の広報官は、「憎悪という毒を盛られている」と、なんともタイムリーな内容のコメントを発表しています。また、プーチン大統領は2014年にもイギリスのチャールズ皇太子から「プーチンはヒトラーと同じ」という批判を受けていました。

チャールズ皇太子、「プーチンはヒトラーと同じ」
https://www.huffingtonpost.jp/2014/05/21/putin-is-hitler_n_5363539.html

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