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サイエンス

「ノーマル」な人は進化の側面から見ても存在しないと神経科学者らが発表

by Angie Harms

「臨床神経科学における最適性の神話」というタイトルの研究をイエール大学の心理学者であるAvram Holmes氏とLauren Patrick氏がTrends in Cognitive Sciences上に発表しました。研究者らは、35億年にわたる地球の歴史においてさまざまな多様性が生まれたことから、人間の脳の機能にも絶対的な普遍性がないことを示しています。

The Myth of Optimality in Clinical Neuroscience: Trends in Cognitive Sciences
http://www.cell.com/trends/cognitive-sciences/fulltext/S1364-6613(17)30268-1

Yale neuroscientists have debunked the idea that anyone's personality is normal — Quartz
https://qz.com/1229137/yale-neuroscientists-debunk-the-myth-of-normalcy-in-life-and-psychiatry/

「進化」とは順応性・適応性のことであり、時間や状態によって生き物は変化していきます。人間・国・大陸など全てのものは常に流動しており、唯一不変なのは「物事は絶えず変化している」という状態だけです。つまり、行動や状態が「適切」か「不適切」かは文脈に左右されます。

研究者らは本研究において「脳機能の普遍的かつ最適なプロファイルは存在しません。進化の結果、驚くほど多様な『人間的な行動』が生まれました。精神医学的な病気は、個々の行動を切り離して考えるのではなく、脳という分散型システムに散在する変異の関連パターンや機能という領域で理解すべきだと、私たちは考えます」とつづっています。

by Z33 Art centre

これは言い換えると、「人を精神医学的な側面からのみ定義する」という方法は想像力不足であり、その人が自分自身であることを力づけるのではなく、むしろ妨害してしまうということ。古典的な精神医学は限定的・直線的ですが、そもそも世界は多様性のあるものであると研究者らは説明しています。

古典的な精神医学が二進法的なアプローチであれば、研究者らが説いているのは量子的なアプローチと言えます。量子的なアプローチでは、「0か1か」で判断するのではなく、並行する無数の要素によって1つの問題を解決します。このような方法によって、個々の情報を個別に知らずして、全体を理解して問題を解決できるわけです。

二進法的なアプローチでは、精神科医はメンタルヘルスを限定的に理解し、患者を病気に当てはめようとします。しかし、イエール大学の研究者らは、「精神科医は大局を見て、カテゴリ分けについてもっとクリエイティブなアプローチを行う必要がある」と語りました。量子的なアプローチを行う場合、例えばADHD(注意欠陥多動性障害)と診断されなかった人でも、精神科医はその傾向が有害であるかそうでないかを調べることになるかもしれません。

「私たちの主張は、脳の構造や機能に普遍的・絶対的な最適パターンは存在しないということです。つまり、1つの行動や脳機能の側面から、人が健康か病気なのかを明確に分けることはできません。個々の行動や、心理的・神経科学的な性質は、よくも悪くもないのです。その人がいる文脈……年齢や社会的ネットワーク、環境などによって、特定の性質は利益にも不利益にもなります」と研究者らは語りました。

by Omar Lopez

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in サイエンス, Posted by logq_fa