ゲーム業界の形成に貢献した11人の女性とは？

by Nicolas gras

ゲーム業界や開発者という言葉から、男性的なイメージを思い浮かべる人も多いはず。しかし、ゲームの世界は初期の頃から女性が活躍しており、彼女たちなしでは現在のコンピューター・ゲームは存在しませんでした。そんな女性たちの11人のリストをGeek.comが記しています。

11 Women Who Shaped The World Of Gaming - Geek.com
https://www.geek.com/games/11-women-who-shaped-the-world-of-gaming-1733556/

◆01：ジョイス・ウェイスベッカー
ゼネラルエレクトロニックによって買収された電子機器・半導体事業を中心とするRCAでエンジニアとして働き、余暇の時間を使ってコンピューターを開発したジョー・ウェイスベッカー氏の娘がジョイス・ウェイスベッカー氏。子どもの頃からコンピューターに触れていたジョイス氏がRCAの仕事に携わるようになったのは大学生の時。父親のジョー氏がジョイス氏にゲーム機であるRCA Studio IIのコードを書いて欲しいと頼んだことがきっかけでした。ジョイス氏はプログラマーとして活躍したごく初期の女性の1人であり、RCAの従業員ではなかったので初めての独立系のゲームプログラマーだとも考えられています。

◆02：キャロル・ショー
1978年にアタリ入社後、めざましい活躍を魅せたプログラマーがキャロル・ショー氏。1978年に発売された「Super Breakout」や1980年に発売された「3-D Tic-Tac-Toe」というゲームを開発したことから、商業ゲームを女性で初めてデザイン＆プログラミングした人物だと言われています。アタリ社での低待遇に不満を抱いたゲーム開発者らによって、1979年、アクティビジョンが設立されましたが、このときアクティビジョンに移った開発者の1人がショー氏でした。彼女の起こしたイノベーションの1つとして、メモリをセーブしながら複雑なゲームの背景を生み出すために手続き型のアルゴリズムを使っていた点が挙げられます。

by thegameawards

◆03：ロバータ・ウィリアムズ
「シエラ・オンライン」の共同設立者として1980年に発売されたアドベンチャーゲーム「ミステリーハウス」の開発に携わったのがロバータ・ウィリアムズ氏。今となっては当たり前ですが、ミステリーハウスは「文章と画像を用いての表現」を最初に行ったゲームです。ウィリアムズ氏は、電子ゲームが一部の極めてナードな人々に向けたものではなく、より広範なオーディエンスに向けたメインストリームになるということを、1999年に引退するまで一貫して考えていました。

by Roberta Williams

◆04：ダニエル・バントン・ベリー
初期のゲームは基本的に1人で行う孤独なものでしたが、ゲーム開発チームの「Ozark Softscape」の創設者であるダニエル・バントン・ベリー氏はゲームにソーシャルな世界を組み入れようと試みた人物。そんなベリー氏は、「M.U.L.E.」という、複数プレーヤーによって戦略が立てられ、協力したり競争したりしながら進められる対戦型ゲームを開発しました。このゲームは商業的には成功しなかったものの、次世代の開発者たちに大きな影響を与えました。

◆05：ブレンダ・ロメロ
1981年、ゲーム会社「Sir-Tech」に「ウィザードリィ」というゲームをテストするための役割で入社したブレンダ・ロメロ氏は、その技量から瞬く間に昇進し、ゲーム内のマニュアルを書くようなり、その後ウィザードリィ8のリード・デザイナーとして働くようになりました。また、世界中の大学でゲームの設計について教えることもあるとのこと。

by John Romero

◆06：山根ミチル
「王家の谷 エルギーザの封印」でデビューした山根ミチル氏は、ゲーム音楽の作曲家として最も偉大な人物の1人です。コナミで多くの仕事をこなし、「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」といった優れたゲーム音楽を作り出してきました。2008年にコナミを退社してからは、フリーランスとして活躍しています。

◆07：エミリー・ショート
エミリー・ショート氏は、インタラクティブフィクションの分野で最も影響力があり、革新的なデザイナーと言われる1人。受賞歴のあるゲームの数々に携わり、「Inform」のようなテキストベースのゲームプラットフォームの開発に貢献しました。2000年にリリースされた「Galatea」には70のエンディングがあり、感情のシミュレーションという点については、17年たった今でも「最高傑作の1つ」として数えられています。

by Ben Collins-Sussman

◆08：キム・スウィフト
世界屈指のコンピューターゲームデザインの教育機関・DigiPen工科大学の生徒だったキム・スウィフト氏は、クラスメイトたちとともに一人称視点の環境パズルゲーム「Narbacular Drop」のアイデアを生み出しました。その後、スウィフト氏はValve Corporationに入社し、「Portal」というゲームを開発します。Portalやその続編は爆発的に売れ、「一人称視点のパズルアドベンチャー」という1つのマーケットを作り出しました。

by Official GDC

◆09：ジェニファー・ヘイル
ゲーム業界はハリウッド映画のように巨大になり、クリエイティブな側面のあるビジネスが数多く生まれました。その1つが「吹替」という分野です。ジェニファー・ヘイル氏は、ギネスに「最も多くの作品に出演したビデオゲーム声優」に選ばれた人物です。

by Eva Rinaldi

◆10：アニータ・サーキージアン
11人のリストの他の女性と異なり、アニータ・サーキージアン氏は、自分の作品というものを持っていません。文化的批評家であるサーキージアン氏は、ゲームにおける女性が性の対象として描かれていることを指摘しました。サーキージアン氏の発言は一部のゲーマーたちの怒りを買いましたが、ゲーム業界は、改めて自分たちの作品で女性やマイノリティがどう描かれているかを再考するきっかけとなったとのこと。

◆11：エイミー・ロビンソン
ゲームは楽しみのためではなく、人の命を救うためにも利用されます。「EyeWire」の共同設立者の1人であるエイミー・ロビンソン氏は、3Dモデルの断面図を使い、3次元的にニューロンの構造をマッピングするという試みを、世界中のゲーマーを巻き込んだ形で行いました。EyeWireはレベルアップによって新しい能力を得られるなど、プレイヤーのモチベーションを上げる仕組みを組み込んでおり、ゲームの力で非常に複雑な視神経の仕組みを研究者にとって分かりやすいものにしようとしたのです。