メモ

殺人現場に残された「結び目」からロープの専門家が犯人を導くまで、結び目から犯人の何がわかるのか?

by Robert Zunikoff

結び目の専門家であるGlenn Dickeyさんは、結び目を見ればヒモを結んだ人の職業や性質など、一般人ではわからない数々の事実を理解することができる人物。その技術を使って科学捜査の分野でも活躍し、犯罪を解決に導いています。素人では判別不可能な「結び目」から何がわかるのか?ということを、Dickeyさんが明かしています。

How Knot Analysis Can Reveal the Perpetrator of a Crime - Atlas Obscura
https://www.atlasobscura.com/articles/knot-forensics

Dickeyさんは結び目を愛する人々による団体「International Guild of Knot Tyers(IGKT)」の北アメリカ支部に属しています。IGKTの大部分の人は犯罪捜査ではなく歴史的・装飾的な結び目の知識を保存することに情熱をささげており、実際にDickeyさんも「15世紀の船で使われていた結び目」や「古代の二輪戦車で使われていた結び目」などを再現可能であり、またこれらについて語ることを何よりも愛しています。しかし、犯罪捜査の現場でロープが使わることがあると、さまざまな国の捜査機関が援助を求めてIGKTに連絡を取ってくるそうです。


援助の依頼は警察よりも検察当局からのものが多いとのこと。例えば2000年代初頭のミシガン州で起こったある女性の殺人事件については、容疑者が2人にまで絞れた時点でDickeyさんが呼ばれ、殺人を起こしたのは機械工か肉屋なのかの判断が求められました。殺人鬼はコードで被害者を縛り水の中に沈めていたのですが、Dickeyさんによると、この時のコードの縛り方は肉屋以外の人はまず知らない特殊な縛り方だったそうです。さらに、利き手から見ても、肉屋が犯人だとみられたとのこと。その後、警察が尋問を行ったところ、容疑者は犯行を認めて犯人逮捕につながったわけです。

犯罪を犯す人は、例え計画的な犯行であっても、細かな部分にまで考えが至らないもの。極度のストレス下では、犯罪者は「証拠としてどう影響するか」ということよりも、「慣れ親しんだものか」どうかを道具の基準にします。そのため、結び目は犯人の性質が多く残されることになり、結び目の巻き方から利き腕を特定できるといったことが可能になるのです。ただし、右利きの人が故意に結び目を左利きに見せかけることも可能で、この場合は専門家でないと見分けがつかないものとなります。

by Evan Kirby

かつてIGKTニュースレターのライター兼編集者であったDickeyさんは、捜査機関から犯行現場に残った結び目の写真が送られてくると、まず過去にロープ愛好家から「この結び目を特定し、再現・説明して欲しい」と送られてきた結び目の写真をチェックし、犯罪現場に残された結び目と合致するものがないかどうかを調べます。また、実際に犯罪現場に残された結び目を家で再現して、新たな発見がないかなど、分析を行うことも。これらの作業は犯罪者の思考を自分の頭で再現することになり、また愛するロープが邪悪な目的で使われた事実を知ることで、Dickeyさんは悪夢を見ることもしばしばあるそうです。しかし、犯罪捜査に力を貸さなければ「何もしない善良な人によって悪が勝つ」という事態になることから、Dickeyさんは捜査の援助を「義務」として受け止めているといいます。

結び目の特定が犯罪捜査に使われるのは、殺人事件に限りません。フロリダで起こった侵入強盗では、ものを縛りつけるためにロープが使われており、この時の結び目が非常にユニークなものでした。通常、一般の人が使う結び方は限られており、「半結び」「止め結び」「縦結び」が大半です。2011年の分析では犯罪捜査における100個の結び目を調べると、「精巧」と呼べる結び目は3~6個しかなかったとのこと。結び目が「ユニーク」であるということは、犯人の特徴の1つであり、Dickeyさんの知見が重要なものとなります。

by Brook Anderson

人々にアドバイスは?と尋ねられたDickeyさんは、「まず、誰も殺さないこと。殺人はいいアイデアではありません」と語り、加えて「もし犯罪に関わるなら、ロープには近づかないこと。ロープは証拠を残しすぎます」とアドバイスしました。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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