生き物

今まで誰も知らなかった「世界の漁業マップ」が完成


漁業は古くからある産業の1つでもあり、日本だけでなく世界中で行われています。しかし、漁業を監視することはできないとされており、世界中の船舶が地球上のどこで活動していたかを知る人は誰もいませんでした。Scienceで発表されたGlobal Fishing Watchのデイビット・クルッズマ氏らの調査結果によると、自動船舶識別装置(AIS)の信号を集めることで、「世界の漁業マップ」を作り上げることに成功したとのことです。

Tracking the global footprint of fisheries | Science
http://science.sciencemag.org/content/359/6378/904

New maps show the utterly massive imprint of fishing on the world’s oceans - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/news/energy-environment/wp/2018/02/22/new-maps-show-the-utterly-massive-imprint-of-fishing-on-the-worlds-oceans/

この調査はGlobal Fishing Watch、Oceana SkyTruthGoogleが共同で実施しており、「漁業マップ」を作成するにあたり、約7万隻の船舶に取り付けられている自動船舶識別装置(AIS)が送受信する数十億の信号データが集められ解析されました。その結果、これまで定量化できていなかった実態が明らかとなりました。2016年には漁業が世界の海洋面積の55%以上の地域で行われており、陸上での農業活動が占める面積の約4倍の大きさであることが示されています。また、漁業活動に費やされた時間は約4000万時間以上にのぼることも明らかになったとのこと。

この調査結果は厳しく規制されていない公海での過剰漁獲の問題も垣間見せているようで、国際連合食糧農業機関(FAO)が発行している(PDFファイル)世界漁業・養殖業白書 2016年によると、2013年時点で世界の漁業資源の31.4%がいわゆる乱獲の状態にあり適切な漁業は58.4%にとどまっているという結果になっています。

漁業を行っている大半の国々は主に自国の経済水域で行っていますが、公海で行われた漁業の85%以上をスペイン、台湾、日本、韓国、中国の5カ国で占めていることがデータで示されました。

By Fuk Ying Tse

スクリップス海洋研究所の海洋科学のスペシャリストであるジェレミー・ジャクソン氏は「今回の調査結果で示されたデータはこれまで伝統的に使用されていた漁獲データと何も変わりません。しかし、これまで使用していたデータが正確であるという確証を得られたことは素晴らしいことです」と語っています。

世界的にも知られる漁業の専門家であるブリティッシュコロンビア大学ダニエル・ポーリー氏は「今回の調査は科学者と漁業管理者のツールキットとして新しい視点が加わる」と話しており、「この調査は、全ての漁船にAISの設置を義務づけるべきだという意見を推進するものになります。将来的には、現在AISの取り付け義務のない小型船舶による乱獲を防ぐことにもつながります」と述べており、今回の調査結果が発表されたことを高く評価しています。

By Derek Keats

クルッズマ氏ら調査チームによると漁業活動は、魚の移動や季節よりも政治や文化により増減する傾向にあると指摘しています。燃料価格が高騰した時期においては漁業活動の低下は見られないようですが、例えば中国の春節では中国漁船による漁業活動がほとんどなくなり、政府が強制する漁業禁止期間に匹敵する水準にまで低下することがわかったとのこと。

By Kyle, Liana, Isabella & Xavier

今回の調査で得られたデータは政府、管理団体、研究者が漁業をより良く規制することで漁場の保全と持続可能性の目標を達成することに役立つとしています。

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in ネットサービス,   サイエンス,   生き物, Posted by darkhorse_log

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