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自動運転車の大敵は雨でも霧でもなく実は「洗車機」


さまざまなセンサーで周囲の状況を確認しながら公道上を走る自動運転車、または自動運転機能を搭載した自動車にとって、その「目」であるカメラやレーダーの機能を奪われることは最も避けなければならないことです。夜間の走行や強い雨、濃霧など、周囲が確認しづらくなる状況はいくつもありますが、実は自動運転車には「洗車機が苦手」という思わぬ弱点があります。

For self-driving cars, car washes are a nightmare - Feb. 22, 2018
http://money.cnn.com/2018/02/22/technology/self-driving-car-wash/index.html

ガソリンスタンドなどに置かれている洗車機は、車を乗り入れてボタンを押すだけで車をキレイにしてくれるという便利なもので、もう洗車は洗車機に任せっきりという人も少なくないはず。以前は「ブラシで傷がつく」など悪影響がささやかれてきましたが、近年はブラシ素材の改良などで実際に傷がつくようなトラブルに巻き込まれることはまずありません。


しかし、自動運転車にとって洗車機は大敵となるとのこと。自動運転車には、車体の周囲の状況を検知するセンサーがあちこちに配置されており、そのセンサーが洗車機によって良からぬ影響を受けてしまうというのがその原因です。一例を挙げると、洗車機が車体を洗う時に噴射されるカーシャンプーの石けん成分がきちんと洗い流されずにいると、センサーが収められた隙間の部分に残ったままになり、センサーが本来の性能通りに動作できなくなってしまいます。

また、洗浄成分を洗い流して仕上げる際に行われる高圧の水噴射によってもセンサーが影響を受けることがあります。車体表面に露出しているセンサーに高い圧力がかかることでキャリブレーションがずれて正確な測定ができなくなるばかりか、場合によっては高価なセンサーそのものが破壊されてしまうという事態も起こりかねないとのこと。

しかし、自動運転車はそれ以外の車と比べてより頻繁に洗浄される必要があります。それは、センサー部の障害になる泥や水アカ、こびり付いた虫の死骸を洗い流すことで仕様通りの性能を確保するため。そこで各社が推奨しているのが、洗車機ではなく「手洗い」で車体を洗うという方法です。


Google発祥で、その後はAlphabet傘下で自動運転の開発を進めているWaymoもそんな企業の一つ。同社が運用している試験車両は、協力企業であるAvisによってメンテナンスが行われているのですが、その際には必ず手洗いで車体を洗うことが決められているとのこと。Avisのチーフ・イノベーション・オフィサー(CIO)であるArthur Orduña氏は「取り扱いに関しては、明らかに多くのケアと注力が求められるプロセスが存在しており、洗車も頻繁に行う必要があります。我が社では、世界中の他のどんな例よりも高いレベルのサービスをWaymoの車両に施しています」とCNNのインタビューに応えています。

Avisがどのぐらいの頻度で洗車を行っているかは明かせないとのことでしたが、これは他の自動運転車技術の開発を行っている企業でも同じことが言える模様。トヨタやAptiv、Drive.AI、Uberなどの企業はCNNに対し、洗車を行う際には車体に傷を付けにくいマイクロファイバー素材の洗車用クロスを使うほか、アルコールやガラスクリーナーなどを併用してトコトンきれいに磨き上げると説明しています。

「最新式テクノロジー」というイメージしかない自動運転車ですが、じつは洗車という部分に手作業が強いられるという状況が生じています。しかしこの状況に目を付けた企業も存在します。エンジンの熱を利用する事で温水を作り、雨や雪で汚れたフロントガラスを効率的に洗い流す装置を開発したSEEVAは、その技術を応用して自動運転車のセンサーを常にキレイな状態にする装置の開発を行っているそうです。

SEEVA Technologies | Overview & Mission - YouTube

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in ハードウェア,   乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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