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平昌冬季五輪の開会式でアメリカ代表が着ていたジャケットには最先端の防寒機能が備わっている


2018年2月9日(金)から2月25日(日)まで韓国・平昌で開催されている冬季オリンピックでは、フィギュアスケート・カーリング・スキージャンプ・スピードスケートなどの試合が連日繰り広げられています。その冬季オリンピックの開会式でアメリカ代表が着用していたジャケットや競技用のユニフォームには、選手を寒さから守るために、科学技術を駆使した最先端の工夫がなされていたと各所で話題になっています。

See the 2018 U.S. Olympic Team Outfits by Ralph Lauren and Nike
http://www.goodhousekeeping.com/life/entertainment/news/a47596/us-olympic-team-outfits-2018/


Team USA's 2018 Winter Olympics jacket is some toasty tech - CNET
https://www.cnet.com/news/2018-winter-olympics-team-usa-heated-jacket-ralph-lauren/


Olympic Clothing Designers Try to Beat the Cold with Technology - Scientific American
https://www.scientificamerican.com/article/olympic-clothing-designers-try-to-beat-the-cold-with-technology/


開会式での代表選手の衣装はファッション業界からも高く注目されるため、人気デザイナーや有名ブランドに衣装のデザインを依頼する国が多くあります。2018年冬季オリンピックの開会式でアメリカ代表チームが着ている公式衣装のデザインは、アメリカを代表するファッションブランドであるラルフ・ローレンによって手がけられました。

by Mike Mozart

しかし、2018年冬季オリンピックが開催されている韓国の平昌郡は韓国で最も降雪量が多い地域のひとつとして知られていて、北にある満洲平野やシベリアから吹き込む季節風によって氷点下10度を下回ることもあります。さらに、開会式と閉会式が行われる平昌オリンピックスタジアムには屋根がなく、11月にスタジアムで行われた音楽のコンサートでは6人の観客が低体温症で運ばれるケースもあったとのこと。


そのため、ラルフ・ローレンのデザイナーたちは、平昌の厳しい気候の中でもアスリートを低体温症から確実に防ぐ性能を持たせて、なおかつデザインも優れた服を作る必要性に迫られました。そこでデザインされたのが以下のジャケットです。背中には星条旗とUSAという文字が入っていて、胸元には五輪のマークとラルフ・ローレンを象徴するポロマークがあしらえられています。


一見すると普通のジャケットですが、背中側の裏地に、銀インクと炭素インクで星条旗のパネルが描かれています。実はこの星条旗が最新式の電子カイロになっているとのこと。ジャケットには薄型のリチウムイオンバッテリーがつながっていて、バッテリーパックのボタンを押すと、導電性の高い銀インクを通って高抵抗の炭素インク部分へ電気が流れ、発熱するという仕組み。電線ではなく導電性インクを使っているので、着心地やデザイン性を損なわないのもポイントとのこと。電子カイロは最大11時間まで稼働可能で、さらに温度を3段階にコントロールできる機能もついているという、ちょっとした電気毛布のようになっているそう。


さらに開会式ジャケットだけではなく、例えばボブスレーのアメリカ代表チームが着るユニフォームも研究が重ねられています。ボブスレーは屋外のコースを時速140km以上のスピードで駆け抜けるため、ボブスレーやスピードスケートチームのユニフォームをデザインしたアンダーアーマーは、高い断熱性能と空力性能の両方を追い求める必要がありました。

by U.S. Army

そこで、裏地には断熱性の優れたセラミックスを特殊な方法で六角形の模様でプリントする「coldgear INFRARED(CGI)」が用いられました。さらに自転車用の風洞を用いてマネキンに100種類もの試作スーツを着せてテストを行い、その中でも最も空力性能の良かった「H1」と呼ばれる生地が選ばれました。この生地はナイロンとスパンデックスで作られていて、サメ肌のようなザラザラした質感が特徴とのこと。この2つをあわせて完成した、高い断熱性能と高い空力性能の両方を兼ね備えた衣装が以下の画像です。


なお、閉会式では開会式のものと同じ技術が応用された白い防水ジャケットを着る予定とのこと。また、最終日付近の2月24日・25日にはボブスレー(男子4人組)の競技も行われるので、テレビやインターネットの中継で競技や閉会式を見る際にはアメリカ代表の衣装に注目するのもよさげです。

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in ハードウェア,   サイエンス,   デザイン, Posted by log1i_yk