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長年開発に貢献してきた人が語るwikiのような世界地図「OpenStreetMap」の問題点とは

By clive darra

OpenStreetMap(OSM)は誰でも編集可能なウィキのような世界地図を作る共同プロジェクトです。このプロジェクトに2008年~2016年の約8年間貢献してきたというSerge Wroclawski氏が、「OpenStreetMapの問題点」を語っています。

Why OpenStreetMap is in Serious Trouble — Emacsen's Blog
https://blog.emacsen.net/blog/2018/02/16/osm-is-in-trouble/

Wroclawski氏は、現在もまだOSMの思想と可能性を信じているとのことですが、いわゆる「プロジェクトの一般的な問題」にあたる「意志決定が不十分」なことが原因で前に進むことができないと感じているそうで、この問題が解決できれば、成功に転じる可能性が十分にあると述べています。

◆どのように編集したらいいかわからない
OSMにアクセスすると、「検索ウィンドウ」や地図、「ログイン」「編集」などのボタンが表示されます。しかし、いざ編集を行おうとすると、見たこともない地図の編集画面が表示されます。たとえば、道路を描くときは、「単純な一本の線で描くか、複数の線で描くのか」、「どれくらいの幅があるべきなのか」、「名前はどのように付けたらよいか」など、具体的なモデルがはっきりしていないため、地図編集者に無用な混乱を招く可能性が高いとのこと。


◆謎の使用ポリシー
OSMはウェブサイトに作った地図を掲載することが可能ですが、無料使用のポリシーがあります。それは「1つのアプリケーションが地図に使用する帯域幅の5%を占有すること」に反しなければ無料使用可能というものです。制限を超えた場合は、アクセス拒否となってしまうとのことです。たとえば、とあるお店でOSMを無料使用でウェブページに公開していた場合、突然アクセス拒否を受けることで、お店側に客から不要なクレームを受ける可能性が考えられます。しかし、このポリシーには明確な基準が定まっておらず、利用者にとって非常にわかりづらいポイントになっていると指摘しています。

◆使えないジオコーダー
地図に住所を入力すると、入力した場所が表示されます。これを「ジオコーディング」と呼ぶのですが、OSMに搭載している「Nominatim」と呼ばれるジオコーダーは不良品です。例えば、「123 Main Street」と住所のクエリを入力して検索しても、ニューヨークではなく、別の場所の地図が表示される可能性が高く、また、「53th and 6th、New York City」のように交差点の名前を検索することができません。当然「近くのレストラン」などを検索することは不可能です。


◆具体的なモデルやレビュー機能が存在しない
OSMの編集はその使いづらさから、初心者にはわかりづらいものであることは言うまでもありません。OSMにはチュートリアルに該当する物は存在しないので、自分なりに描いた地図を反映したとしても、あとから編集内容が悪いということで削除されることが考えられます。しかし、削除された理由に言及されることはないため、不要な混乱を招く可能性が高いと指摘しています。「荒らし」などの悪意ある更新に対しても、対応が難しいとのことで、荒らしがあった場合は削除されても、また同様の変更を加えられる可能性が高く、長時間悪い地図が残されたままとなる可能性もあるようです。

◆地図用途以外に柔軟性がほとんどない
以前、「Pokemon GO」プレイヤーによって、モンスターの出現位置などが記録されていた時期がありました。しかし、OSMではこの種のデータは「プロジェクト範囲外」として、全て削除されたそうです。ゲームなどその他の観測要素などを地図に取り込むことができれば、より多くの人に利用してもらえるはずだとWroclawski氏は考えています。

◆APIの進化が遅い
現在公式で提供されているOSMのAPIのバージョンは0.6です。そして、このバージョンは2009年から変更されていないとのこと。プロジェクト管理がずさんであることを意味しているとWroclawski氏は指摘しています。たしかにOSMのAPIも見事なものであるが、9年の月日はもっと優れたAPIが誕生していたはずだと、Wroclawski氏は述べています。

◆ゲートキーパーの存在
Wroclawski氏によると、「OpenStreetMap Foundation」には1人か2人の絶対君主ともいうべきゲートキーパーの存在がいることを明らかにしており、プロジェクトの進行が遅い要因になっていると指摘しています。

By nist6dh

◆OpenStreetMap Foundationの文化
OpenStreetMap Foundation(OSMF)は主に寄付によって成り立っており、特に寄付されたホスティングサービスに依存しているとのことで、有給の従業員はおらず、ソフトウェア基盤の開発に資金を提供したり、指揮したりすることはないようです。Wroclawski氏は運営自体に疑問を呈しているのではなく、OSMのリーダーは変化の必要性に迫られているにもかかわらず、プロジェクトが停滞していることに懸念を示しています。

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