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AIを使ったヘッジファンドで巨万の富を得た数学者ジェームズ・シモンズがこれまでの半生を語る


ジェームズ・シモンズ氏は2010年までヘッジファンド「ルネッサンス・テクノロジーズ」を率い、他に先駆けてAIを使った運用方法により、1兆円を超える資産を得たことでも知られています。元は数学者で「チャーン・サイモンズ理論」を提唱した一人でもあり、この研究は幾何学の分野で最高の栄誉とされる「ヴェブレン賞」を受賞しました。また、この研究結果は数学だけにとどまらず、のちに「超弦理論」など、物理をはじめとした他分野でも使われており、大きな功績を残しています。YouTubeのNumberphileチャンネルで公開されているムービーでは、ジェームズ・シモンズ氏が自身の半生を語っています。

Billionaire Mathematician - Numberphile - YouTube


◆数学に興味を持ったきっかけ
私は子どもの頃から、数学が好きで、よく数字を2倍にし続けていく計算をするのが好きでした。


特に「数学が好き」であることを強く意識したのは、4歳ごろのことです。車に乗っていたときに、父親が私に「もうすぐ、ガソリンがなくなる」と言いました。しかし、当時の私は「ガソリンが空になることは、ありえない」と考えていました。なぜなら、ガソリンが半分なくなり、その半分がなくなり、また半分がなくなること。これが永遠に続けば、空になることは起こりえないからです。


いわゆる「ゼノンのパラドックス」を無意識に信じていたのですが、実際にガソリンが空になるという現象に、とても興味深かかったのを覚えています。これが、きっかけとなり「数学者」になろうと決意しました。


◆研究者として
私はMITを卒業した後、カリフォルニア大学バークレー校に行き、「チャーン」と出会いました。


私とチャーンは仲良くなり、その後、共同で研究することになりました。


Characteristic Forms and Geometric Invariants」を発表すると、10年後には物理学や天文学の分野で役に立っていました。


ちなみに、私は物理学や天文学のために、この研究をしたつもりもなければ、何の知識も持っていませんが、こういったことは、数学などの基礎科学の分野では時折起こることのようです。


◆暗号解読の仕事に就く
私が37歳か38歳の数学者として脂がのっている頃、アメリカ国家安全保障局で暗号解読の仕事を4年間引き受けました。


私はこの仕事に就くことで、コンピューターとアルゴリズムを勉強することになり、後の成功につながることになります。


◆ヘッジファンドとして成功を収める
あるとき、父親が大金を得ることになりました。そこで、私は父に「資産運用をしてみないか?」と持ちかけたのが、ヘッジファンドを興したきっかけです。


でも、最初の2年間は特に運用モデルなどなく、単純に運任せで運用していました。そして幸運にも、大きな利益を得ることができました。


そしてあるとき、価格の動きを見ていたときに「動き方に何かしらパターンがあるように考え、これは数学的または統計的に予測できるのではないか?」と感じるようになりました。そして、さまざまな分野の学者を雇い、共同で予測モデルを作り始めました。


このモデルは予測した内容を実際に試してみて、得られた結果から、さらに改善を行うというものであり、現在では「機械学習」と呼ばれるものに相当します。


長年の研究と試行の結果、我々のモデルは、何が起こっても対応できるような状態にまで調整されており、より強力になっています。


◆現在
1994年に私の妻が財団を立ち上げ、私もそこで働いています。


この財団は、主に基礎科学の分野に対してお金を寄付することだけを目的に設立しています。他にも、アメリカ国内の数学教育の改善を目的に、優れた数学教師に対して、1万5000ドル(約170万円)の報酬を与えるような活動なども行っています。このような活動が今後の科学研究の進展につながっていくことを期待しています。

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in サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

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