サイエンス

4000年前に栄えたギリシアのピラミッド島で高度な都市エンジニアリングと金属加工の痕跡が見つかる


約4000年前に栄えていたエーゲ海に浮かぶ「ケロス島」では、海に突きだした岬の部分が三角すいの形になって「天然のピラミッド」を形成しています。当時の人々はこのピラミッドを合計1000トンもの白い石で覆い、宗教上の聖地として栄華を極めたその姿は数km離れた海の上からでも見ることができたとのこと。現在でも島にはその痕跡が残されているのですが、考古学者の調査により現代の考え方にも通ずる都市工学や金属加工が持ち込まれていたことが明らかになっています。

Complex engineering and metal-work discovered beneath ancient Greek 'pyramid' | World news | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2018/jan/18/complex-engineering-and-metal-work-discovered-beneath-ancient-greek-pyramid

ケロス島の調査を行っているのは、イギリス・ケンブリッジ大学の科学者らによる研究チーム。ケロス島はエーゲ海に位置するキクラデス諸島の一部を形成する島で、約3500年前の青銅器時代やその前の時代には現在よりも海面が低かったため、他の一部の島と陸続きになっていました。3000年前にはこの島に大聖堂があって宗教上の聖地として栄えていたと考えられており、研究チームによる過去の調査では、さまざまな彫刻や遺跡が発見されています。

この島で見つかっているものの1つに、金属製品を製造するためのワークショップ(加工場)があります。以下の写真には、表面にくぼみが刻まれた石が写っていますが、これは溶かした銅を流し込んで短剣のようなものを作るための型であることがわかっているとのこと。島ではこの他にも、銅食器や銅の斧を作るための型、また金属加工の際に出た廃材や火をおこすために使う「ふいご」を作るための設備などが発見されているそうです。


調査を率いているケンブリッジ大学のマイケル・ボイド氏は、人々が金属加工のスキルと原材料の両方に触れるチャンスが極めて限られていた時代に、ケロス島にはその専門知識が集中していたと考えています。ボイド氏は「金属加工が行われていた様子などから、我々はここに『都市化の始まり』を見ることができます」と述べています。高度なノウハウが集中することにより、遠くから人が集まり、それに伴って工芸品や農産物が集まるようになり、平行して建築物が進化することで街が形成され、島は当初の聖域の姿を超えて大きな都市へと進歩していったと考えられています。

島で発掘された土壌からは、豆やブドウ、オリーブ、イチジク、アーモンド、および小麦や大麦などの穀類を含む食物の痕跡が見つかっているとのこと。キプロス研究所のエヴィ・マルガリティス氏は、「これらの食品の多くは輸入によって持ち込まれました。この様子から、私たちはこれまで考えられてきた都市のつながりの姿について、見直す必要があります」と述べています。

そんな都市の姿を垣間見ることができるのがこの写真。海へと続く石で作られた階段の下から、排水のためとみられる水路が発見されています。街の中に水道が作られた例としては、同じくエーゲ海のクレタ島にあったクノッソスの遺跡が知られていますが、ケロス島ではそれよりも約1000年も前から水道設備が作られていたことがわかっています。


研究チームはこれまでに、金属加工を行っていた加工場の跡で、まだ壊されていない粘土製の窯を発見しているとのこと。次の調査の際にはこの窯を開けて中に何が入っているのかが調査されることになっています。なお、発掘作業にはiPadを使った記録システム「iDig」が用いられ、掘削プロセス全体の写真や測量記録をデジタルで記録することで全員がリアルタイムでデータにアクセスでき、3次元モデルを作成することも可能になっているとのことです。

・関連記事
3600年前のスウェーデンのオノがキプロス産の銅で作られていることを発見、昔から長距離間で貿易が行われていた証拠のひとつに - GIGAZINE

世界の4000年間にわたる国家間の興亡の流れが見るだけでザックリと理解できる「The Histomap」 - GIGAZINE

「レンタル奴隷」などについて書かれた古代都市の契約書が発見される - GIGAZINE

レゴだけでギリシア神話のシーンをリアルに再現する「Sisyphus LEGO Kinetic Sculpture」 - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by logx_tm