サイエンス

夢に出てきそうなハイハイを披露し「悪魔の生みの子」とも表現される銀色の赤ちゃんロボットが作られた理由とは?


アメリカ・インディアナ州にあるパーデュー大学の科学者たちが、世にも恐ろしげな銀色のボディを持った不気味な赤ちゃんロボットを作成しました。科学関連のニュースブログであるIFLScienceは、不気味な赤ちゃんロボットを「悪魔の生みの子」と表現しながら、「科学的な目的を持っている」として研究について語っています。

This Terrifying Robotic Crawling Baby Actually Has A Scientific Purpose | IFLScience
http://www.iflscience.com/health-and-medicine/this-creepy-robotic-crawling-baby-actually-has-a-scientific-purpose/

科学誌のEnvironmental Science & Technologyに、「Infant and Adult Inhalation Exposure to Resuspended Biological Particulate Matter(幼児および成人の吸入暴露による再懸濁した生物学的粒子状物質)」という研究論文が掲載されています。

この論文はパーデュー大学公式のYouTubeアカウントでも紹介されています。

Infant and Adult Inhalation Exposure Research - YouTube


このムービーの中で登場する以下の銀色の赤ちゃんロボットを、IFLScienceは「サタンの生みの子」と表現しました。


「キュインキュイン」という機械音を鳴らしながら実際に動いている様子は、静止画よりもインパクト大です。


なぜこのような不気味なロボットが作られたのかと言うと、「赤ん坊がハイハイをすると床からどのような『生物学的な汚れ』を受けることになるのか?」を調べるためです。

赤ん坊がハイハイをすると、高レベルのちりや皮膚細胞、細菌、花粉および真菌胞子にさらされることとなります。その濃度は同じ室内の成人の頭部がある高さよりも20倍も濃いそうで、論文によると赤ん坊は大人と同じ物質を、4倍も多く吸っているとのこと。これについて調査するために、銀色のハイハイロボットが作られたというわけ。


論文の著者のひとりであるBrandon Boor氏は、「成人の場合、生物学的粒子のかなりの部分が上部呼吸器官系である鼻孔や喉で除去されます。しかし、幼児の場合は成人よりも頻繁に口呼吸を行うため、かなりの割合で気管支や肺といった領域に生物学的粒子が沈着することになります。粒子が肺の最も奥深くに沈着するわけです」と語っています。


実際に床から採取できる「ゴミ」のサンプル


しかし、赤ん坊が多くの生物学的粒子にさらされることは、一概に悪いこととも言えません。こういった類いの物質に多くさらされることで、病気の回復力が高まる可能性があります。実際に、幼少期に多様な微生物にさらされることで、ぜん息などの発症リスクが低下し、免疫系を発達させる助けになることが研究により明らかになっています。


「ぜん息やアレルギー疾患の発症と防御の両面で、微生物やアレルギー性粒子の吸入暴露が重要な役割を担っていることが多くの研究により示されています。高い多様性と濃度の生物学的物質にさらされている場合、ぜん息やアレルギーの発症が遅くなるということが今回の研究で示されました」とBoor氏は語っています。

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in ハードウェア,   サイエンス,   生き物,   動画, Posted by logu_ii

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