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オランダ海軍は保有する船舶すべてを3Dスキャンするプロジェクトを進めている


オランダ海軍の船舶の管理を担う組織「Marinebedrijf Koninklijke Marine」は、海軍が保有する船舶を3Dスキャニングしてデジタルデータを作成するプロジェクトを進めています。この技術を使うと、いずれは作戦行動中に破損した部品を現地で「出力」して交換することも可能になるようです。

Scanning the Dutch navy - Naval Technology
http://www.naval-technology.com/features/featurescanning-the-dutch-navy-5920931/

The Royal Netherlands Navy is 3D scanning all their ships - The Verge
https://www.theverge.com/2017/10/1/16387528/royal-netherlands-navy-dutch-3d-scan-ships-artec

このプロジェクトを進める目的は、船舶の形状データを全てデジタル化することでメンテナンスや補修の作業スピードを大幅にアップさせるというものです。船舶に使われる部品は全てが図面から作成されているとは限らず、実際の現品しか存在しない場合もあるとのこと。そのような部品を3Dスキャナーを使って立体的な形状データを作成しておくことで、老朽化や破損などで部品が必要になった際にオンデマンドですぐに作成できるように備えておくというのがこのプロジェクトの最終的な目標です。


プロジェクトで用いられているのは、Artec 3D製のハンドスキャナーArtec EvaSpace Spiderとのこと。レーザー光ではなくLEDを光源とするスキャナで形状をスキャニングし、PCに取り込むことで部品を構成する「面」を作成して実際に部品を作ることができる3Dデータを作成します。

Marinebedrijf Koninklijke Marineのベン・ジェンセン氏は「3Dスキャニングを導入することで、何週間分もの作業を短縮することができます。古い方法では、いくつもの測定機器を使い、図面をCADデータに変換する作業が必要ですが、それでもなお3Dデータはなく、部品を機械で作製することはできません。Artecのハンディスキャナを使うことで、部品を現品から3Dデータへとリバースエンジニアリングすることができます。そしてそのデータから、5軸加工の工作機械や3Dプリンターを使って部品を作り出すことが可能になります」と語ります。

Artec 3Dにとってこのプロジェクトは、同社が掲げる3D技術の軍用面での活用という概念を実証するモデルになっているとのこと。同社では、将来の軍艦は3Dスキャナーと3Dプリンターを搭載しておき、破損や故障の際には現地でパーツを「出力」して補修するというビジョンを掲げています。Artec 3Dで製品開発を統括する役員のアンドレイ・バクレンコ氏はさらに、「同じ設計で作られた船舶でも誤差が存在するために、巨大な船になれば最終的な誤差が数メートルの規模になることがあります。実際の大きさを正確に把握する方法は、3Dスキャナーで測定するということしかありません」と、3Dスキャナーを使う手法のメリットを語ります。

実際に海軍の船舶を全てスキャンするまでにかかる時間は、まだ見通しがつかない状況。また、3Dプリントしたパーツがどの程度の強度や耐久性を備えているかについては、今後も詳細な検証が求められるとこと。しかし、ボーイングやエアバスといった航空機メーカーが3Dプリンターを使った製品作りを進めている中で、さらに性能や信頼性が求められる軍用途においてもこのような技術の導入がさらに進んでいくものとみられます。

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