日本人がハワイに興した製麺工場によってアメリカのラーメンは大きく変わった


日本の国民食とまで呼ばれることもあるラーメンは、今ではアメリカのニューヨークやサンフランシスコなどでもよく食べられています。インスタントラーメンだけではなく、ニューヨークを中心にアメリカではラーメンブームが巻き起こった結果、日本のラーメン屋が出している支店もあれば、アメリカ人が出したラーメン専門店もあり、かなりレベルが高いものとなっています。このようなアメリカにおけるラーメンブームが、実は1人の日本人によってけん引されたということを説明しているのが以下のムービーです。

Sun Noodle: How one noodle-maker is changing ramen in America - YouTube


ここはニュージャージー州テターボロにある中華麺メーカー「Sun Noodle」の工場です。


工場のベルトコンベアには中華麺が流れていきます。それを眺めているのはSun Noodleの創業者の長男で、このニュージャージー州の工場を取り仕切っている夘木健士郎(うき けんしろう)氏です。


この工場では、機械ではなく職人が手で小麦粉や水、塩をはかりで計量し、配合します。


他にも麺にコシを生むためのかん水や卵白、天然色素も配合して、大型のミキサーで材料をかき混ぜます。これで麺生地のなかにタンパク質のグルテンが形成され、より強いコシが生まれます。


よく練った生地はさらなるコシを生むために何度も圧延にかけて麺の帯を少しずつ薄くしていきます。


圧延をかけて薄くなった麺生地を切り刃に通すと、どこかで見たことのあるようなちぢれた麺が出てきます。


そして適度な長さでカットされた麺はベルトコンベアの上を流れて、1玉単位でまとめられ……


5玉で1袋にパッケージングされます。


袋を箱に詰めて全米各地に出荷します。一般向けのスーパーマーケットだけではなく、アメリカ国内のラーメン屋にも麺を下ろしているとのこと。


Sun Noodleは、夘木栄人(うき ひでひと)さんによって1981年に創業されました。


栄人さんの父親は栃木県宇都宮市で製麺工場を経営しており、栄人さんはその製麺工場で修行中の身でした。その時にハワイで製麺工場を作るという話があり、栄人さんの働く製麺工場からも製麺機を送っていました。


当時まだ19歳で英語もまったく話せなかった栄人さんですが、「英語を学びたい、そして日本の外をのぞいてみたい」という思いから単身ハワイへ向かい、製麺工場の経営に携わることになりました。


水や小麦粉の違いから当初は「日本の中華麺は硬すぎる」という評価も受けますが、小麦粉の種類や配合を変えながら何度も試作を繰り返し、ようやくハワイの料理人を満足させられるような麺を作ることができるようになりました。


「麺を通じたコミュニケーション」「ラーメン屋やお客様に合わせて仕事をする」をモットーに、スーパーマーケットだけではなく、各ラーメン店の要望に合わせて麺を作るというサービスを始めたのもSun Noodleの特徴です。


1981年にハワイのホノルルで始まったSun Noodle社ですが、2004年にはアメリカ西海岸のカリフォルニア州コンプトン、2012年にはニュージャージー州のテターボロにも工場を建設するまで事業を拡大しています。。


場所は変わって、こちらのお店はニューヨークにある「Ivan Ramen」です。


日本人も顔負けな堂々とした湯切りを見せるのは、「Ivan Ramen」店主のアイヴァン・オーキンさんです。実はアイヴァンさんは2007年から2015年まで東京の世田谷でも「アイバン・ラーメン」というお店を出していましたが、「インスタントラーメンではなく本格的なラーメンをアメリカ人にもっと知ってほしい」という思いから故郷のアメリカに帰って再び「Ivan Ramen」を営業しています。


実はニューヨークでは、「Momofuku Noodle Bar」というお店が火付け役となってラーメンブームが起こり、「Ivan Ramen」もその流れにのってニューヨークに出店したとのこと。「ニューヨークにはラーメン屋が60軒ほどできたけれど、それでも日本の東京には8000軒もラーメン屋があり、日本とアメリカのラーメン事情には大きな隔たりがある。アメリカ人が本格的にラーメンを楽しむためには日本まで行く必要があって、とても難しいんだ」とアイヴァンさんは語ります。


実はこちらの「Ivan Ramen」では、ニュージャージー州にあるSun Noodleの製麺工場から麺を仕入れていました。


「日本とアメリカの両方を知っているという意味で、僕とSun Noodleは同じといえる。Sun Noodleはハワイの企業だけど、日本人にとっては『当たり前』というように、こちらの要望に対して勤勉に取り組んでくれるのはSun Noodleだけなんだよ」とアイヴァンさんは語りながら、ずるずると自分のラーメンをすすります。


アメリカのラーメンブームは今やテレビで特集されるほど大きなものとなっています。


日本でもよく見るような、どんぶりに注がれたスープと麺の上に具をのせたオーソドックスなスタイルのラーメンもありますが……


ラーメンを使ったハンバーガーの「ラーメンバーガー」など一風変わったメニューも紹介されています。


アメリカの出版社が選んだ「アメリカのラーメン名店トップ10」という特集では、10店中9店がSun Noodleと契約しているお店だったとのこと。夘木健士郎さんは、アメリカの食通にラーメン作りの業を広め、よりラーメンブームを盛り上げることがSun Noodleの今後の目標だと言います。


「私のやるべきことは、日本人向けではなく、アメリカ人に向けてラーメンを作る技術を広めることですね。アメリカの農場で作られたアメリカの材料を使った『アメリカ独自のラーメン』を広めることが私が引退するまでにやり遂げたいことです」


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