脳に電気刺激を与えることで過食症を防げる可能性が示される



マウスの脳に電気パルスによる刺激を与えることで、過食症をもたらす衝動的な欲求を抑制することにスタンフォード大学の研究者が成功しました。この方法は、人間の過食症治療の有力な手法になる可能性があります。

Closing the loop on impulsivity via nucleus accumbens delta-band activity in mice and man
http://www.pnas.org/content/early/2017/12/12/1712214114.abstract

An Electrical Brain Switch Shuts Off Food Cravings - Scientific American
https://www.scientificamerican.com/article/an-electrical-brain-switch-shuts-off-food-cravings/

スタンフォード大学のキャセイ・ハルパーン博士の研究チームは、過食症状態のマウスの脳の報酬系回路の一部に、食に対する衝動的な欲求が生じる際に活性化する部位を特定しました。ハルパーン博士たちは、マウスに高脂肪のエサを毎日1時間、10日間にわたって食べさせることで過食症状を発生させた上で、マウスの脳波を観察しました。すると、過食症状をもたらす過程の前後で、脳の側坐核における低周波信号(デルタ波)が増加することから、過食症状において活性化する領域を特定できたとのこと。


次に、研究者たちは過食症マウスで活性化することを突き止めた脳領域に、パーキンソン病の治療で用いられる脳深部刺激療法(DBS)にならった電気刺激を与えました。なお、一般的なDBSが連続的に電気刺激を与えるのに対して、ハルパーン博士たちは、マウスの脳に電気刺激を連続的に与えたり断続的に与えたり、さらには手動で刺激を制御したりとバリエーションを持たせて効果の違いを探っています。

その結果、手動で刺激を与えた場合を除き、断続的な電気刺激や連続的な電気刺激によって、マウスの食欲が最大50%も減退することがわかったとのこと。なお、連続的な電気刺激を与えた場合、他のマウスと接触する時間が減るという副作用が生じたことも判明しています。


過食症を軽減するのに脳に電気的刺激を断続的に与えることが有効であるのがマウスの実験で確認されましたが、研究チームは同じメカニズムが人間にも活用できるかについて研究する予定だとのこと。すでに、他の治療のためDBS療法を許可している患者に対する予備的な研究試験では、報酬を得られる場面でマウスで観察されたのと同様に、デルタ波が活動的に検出されるのが確認されているそうです。

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