BMWが従来の2~3倍の容量を持つ次世代固体バッテリー開発企業「Solid Power」に出資

By Dushan Hanuska

自動車メーカーのBMWが、アメリカで次世代の自動車用バッテリー技術を開発するスタートアップ「Solid Power」に投資して高密度な固体バッテリーの実現に向けた取り組みを進めることを発表しました。

BMW invests in solid-state batteries with ‘2-3X’ energy capacity for next-gen electric cars | Electrek
https://electrek.co/2017/12/18/bmw-solid-state-batteries-next-gen-electric-cars/

BMWが協力を発表したSolid Powerは、アメリカのコロラド大学ボルダー校の研究室から生まれたスタートアップです。同社が実現を目指しているのは、一般的なリチウムイオン電池よりも蓄えられる電力が2倍から3倍多いという高密度バッテリーで、その仕組みは極めて電気容量の大きいカソード(陰極)と、こちらも容量の大きいリチウム金属製アノード(陽極)を、イオン伝導率の高いセパレーターと組み合わせるというもの。このバッテリーは容量が大きいだけではなく、安全性の高さもポイントです。素材には全て無機的なものが使われ、本体内には引火性のある液体が使われないため、発火して急激に燃え上がってしまうというリチウムイオン電池が抱えるリスクとは無縁というメリットがあります。

Solid Powerはこれまでにも数々の企業からのサポートを受けて来ましたが、主要自動車メーカーからの出資を受けるのは今回が初めてとのこと。同社のCEOであるダグ・キャンベル氏は「BMWとのコラボレーションは、今後の固体バッテリーのイノベーションをさらに進めさせてくれるものとなります。BMWと協力して、バッテリーを搭載するEV系車両を取り巻く限界を打ち破っていくことを楽しみにしています」と述べています。

Solid Power
http://www.solidpowerbattery.com/


電気をエネルギー源として走るEVの場合、そのエネルギーをためておくバッテリーの性能は極めて重要です。大容量で安定した電力を供給するだけならば既存のリチウムイオン電池でも十分な性能は実現されていますが、ここに「軽量さ」や「安全性」という要素が加えられると、リチウムイオン電池はその2つに課題が残されているといわざるを得ない状況です。

バッテリーの重さは、あらゆる点で車両の走行性能に影響を及ぼします。世界で最も売れたEV「ニッサン LEAF」の場合、車体重量は約1800kgで車両に搭載されるバッテリーは300kg前後。市販車としては非常に大容量なバッテリーを搭載する「テスラ モデルS」だと車体重量約2100kgで、その内少なく見積もっても700kg程度がバッテリーの重量であるとみられます。車重は軽い方が航続距離が伸びて「電費」が良くなるため、軽量化はさまざまな意味でメリットがありますが、EVでは巨大で重いバッテリーがその足かせになっています。また、ガソリン車などの非EVの車体で最も重い部品は「エンジン」そのものですが、V8エンジンクラスの大きなエンジンでも重量は250kg前後が相場といわれる状況を考えると、EVの車重においてバッテリーがいかに大きな部分を占めているのかがわかります。

そのような状況の中で、既存のリチウムイオン電池よりも電力密度が最大で3倍も高い固体電池には多くの注目が集まっています。この流れはすでに世界中の自動車メーカーには既知のもので、トヨタも全固体電池の開発を進めており、今後数年以内に全固体電池を搭載するEVを発表するともいわれています。また、2017年12月13日には、トヨタとパナソニックが車載用角形電池事業の協業について検討を開始するという発表が行われています。

トヨタとパナソニックが車載用角形電池事業の協業について検討を開始 | CORPORATE | トヨタグローバルニュースルーム
https://newsroom.toyota.co.jp/jp/corporate/20243459.html

既存のリチウムイオン電池に代わる全固体電池にはおのずと大きな注目が集まりますが、実際にはまだ研究段階にあり、実用化にはまだ時間がかかることを理解しておくことも重要です。まだ技術が確立していない部分があるために課題は残されていること、そして実現されたとしても初期の間はコストが割高になり、リチウムイオン電池と同レベルのコスト競争力を実現するにはまだほど遠い状況。また、既存のリチウムイオン電池にもまだ「伸びしろ」が残されており、軽量化やコスト削減など、全固体電池を引き離す要素はまだあると見られています。

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