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現実を受け入れないやっかいな上司とどう向き合うべきか?


現実を直視せず進言を断固として受け入れない上司に出くわした経験を持つ人は少なくないはずです。その上司が社長などの組織トップであれば事態は最悪で、事実を突きつけても効果がないため、打つ手なしに感じるかもしれません。このような事実を受け入れないやっかいな人とうまくやる方法について、行動科学者が指南しています。

Got a boss who denies reality? A behavioral scientist's guide to tactful truth telling
https://theconversation.com/got-a-boss-who-denies-reality-a-behavioral-scientists-guide-to-tactful-truth-telling-87925

「9.11はアメリカ政府が仕組んだ自作自演のテロだ」「オバマ大統領はケニアから来たムスリムだ」「アポロ11号の月面着陸はねつ造だ」などの「陰謀論」を訴える人に出くわしたときに、たいていの人ができるのは「話題を変えること」くらいです。科学や歴史的事実を直視しない人とは話がかみ合わないのは仕方のないことかもしれませんが、これが知人ではなく会社の同僚やビジネスパートナーの場合は、非常にやっかいな問題になってしまいます。

オンラインでリーダーシップセミナーを主催するLeadership IQが、286社の合計1087人の取締役会メンバーにインタビューしたところ、23%が「現実を否定したせいで最高経営責任者(CEO)を解任した経験がある」と答えました。また、別の研究ではCEOによる行動規範は、会社の従業員の意思決定や行動パターン、相互作用などの規範に大きく影響し、組織全体に強い影響をもたらすこともわかっています。CEOが現実を受け入れないというのは解決困難ではあるけれど、ビジネスではよくある問題だというわけです。


オハイオ州立大学の行動科学研究者クレブ・ツィプルズキー教授によると、CEOなどがビジネスにおける受け入れがたい事実を認めず事実自体を否定する傾向は「ostrich effect(ダチョウ効果)」と呼ばれるそうです。これは、ダチョウが恐怖に直面すると砂の中に頭を突っ込んで硬直するという迷信から来ているのだとのこと。

やっかいな「ダチョウの同僚」に出くわした場合に、たいていの人がとってしまいがちな対応は「事実を突きつける」ということ。しかし、ツィプルズキー教授によるとダチョウが自分の監督権限がある上司の場合は、事実を突きつけることは間違いだということが過去の研究からわかっているそうです。例えば、売り上げが予想を大幅に下回っていても、CEOは「企業の業績を上げねば」との信念のせいで、よりよい財務予想を作るために都合の悪い情報を否定する傾向にあることが研究でわかっています。事実を突きつけることで、否定的な感情を体験することを嫌うダチョウ上司は、かえって過ちを認めずに砂の中に頭を突っ込みがちだというわけです。


また、自分のアイデンティティや価値観、世界観に対して悪い感情を思い起こさせる事実を提示されたときに、主張を一歩も譲らないという姿勢をとる「backfire effect(バックファイヤー効果)」と呼ばれる現象が起こることも最近の研究で明らかになっています。ツィプルズキー教授によると、人間は「間違った信念」ほど強い愛着を抱いてしまうものだとのこと。場合によっては事実を提示したことで、相手はかえって望ましい行動とは逆行した行動に出てしまう、という結果になりかねないわけです。

以上の通り、事実を認めないボスの取り扱いは非常にやっかいな問題と言えますが、ツィプルズキー教授は解決のポイントは「感情」だと述べています。ツィプルズキー教授によると、「感情」は人間の経験において根本的に重要な要素であり、良い判断を下すには「理由」と「感情」の両方が必要なのだとのこと。そして、ダチョウCEOの感情を揺さぶるためには、事実を提示するのではなく、こちら側から感情的なリーダーシップを発揮して、「ボスが現実を直視するのを妨げる感情的な障害は何か?」を探すことが重要だとツィプルズキー教授は述べています。そのために、「好奇心」や「微妙な質問」を用いて、相手の価値観や目標、アイデンティティがどのようなものかを把握することが肝心だとのこと。

そして、相手の目標や価値観を理解したら、それ「共有」するように努めるのが大切。それには、相手の発言の要点を繰り返したり、自分の言葉で言い換えたりするように努めることで、信頼関係を構築するのに役立ち、結果としてプロフェッショナルな環境での知識の伝達が効果的に行えるようになるそうです。


価値観の共有ができて初めて信頼が生まれ、感情的なつながりが確立できるようになると、ようやく「感情的な障害」に手をさしのべられるようになるとツィプルズキー教授は述べています。そして、相手の感情的な障害を取り除く上で大切なことは、積極的な対応を促すのではなく、事実を否定している状態が長い目で見て共有する目標にどれほど害悪を及ぼすかを示すことだとのこと。へりくだることなく、肯定的な補助を与えることは、ダチョウ上司やダチョウ同僚にとって効果的だと調査で明らかになっているそうです。

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