機密扱いだったアメリカの「核実験記録フィルム」で新たに62本の映像が公開される


1945年から1962年にかけてアメリカが実施してきた核実験の様子を収めたフィルムが、55年ぶりにアメリカ政府の機密解除を受けて2017年3月に公開されていました。その9か月後の2017年12月、新たに62本の映像が公開され、YouTubeなどで閲覧できるようになりました。

LLNL releases newly declassified test videos | Lawrence Livermore National Laboratory
https://www.llnl.gov/news/llnl-releases-newly-declassified-test-videos

当時の実験の様子を収めたフィルムは長らくアメリカ各地にある厳重に管理された保管庫で機密扱いとして保存されていたのですが、年月を経て劣化が進み、このままでは過去の記録が永遠に見られなくなるという状況を迎えていました。アメリカで核兵器開発のために設立され、現在では各種エネルギーやバイオテクノロジーなどの研究を行っているローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)では、過去5年間にわたってこれらのフィルムの回収と復元を行い、現在では禁止されている大気圏核実験の様子を収めた貴重な映像のアーカイブ作業を行ってきました。

55年間機密扱いだった核実験の様子を収めた750本のフィルムが機密解除されて一部がYouTubeで公開される - GIGAZINE


そして今回、2回目の公開として62本の映像が新たにYouTubeで追加されました。この中には、1953年の「アップショット・ノットホール作戦」、1955年の「ティーポット作戦」、1956年の「レッドウィング作戦」、1958年の「ハードタック作戦」、1962年の「ドミニク作戦」の一部の実験の映像が含まれています。

LLNL Atmospheric Nuclear Tests - YouTube - YouTube
https://www.youtube.com/playlist?list=PLvGO_dWo8VfcmG166wKRy5z-GlJ_OQND5

ちなみに、今回公開された映像は、上記YouTubeチャンネルのプレイリストの65番目以降となっています。


核実験「ティーポット作戦」のうち、1955年3月7日午前5時20分に実施された実験名「タルク」(Turk)の爆発シーン。閃光の後に火球が見え、きのこ雲が立ち上る様子が収められています。向かって右に見えるX状の線は、爆発による衝撃波の様子を見るために発射された煙です。爆発による衝撃波が到達したのか、ムービーの30秒あたりでは、カメラが揺れている様子がわかります。

Operation Teapot - Turk 28143 - YouTube


同じ実験を別アングルから撮影したフィルム。高さ152mの塔に設置された核出力43キロトンのタルクの爆発で土煙が舞い上がり、地面で跳ね返った衝撃波によって火球の形が変化する様子などが克明の記録されています。

Operation Teapot - Turk 28141 - YouTube


同じ「タルク」の爆発を、火球を中心に撮影したフィルムも。毎秒2400コマという高速度で撮影されたフィルムには、爆発の瞬間に広がる火球に加え、それよりも速い速度で広がる3本の突起部が収められています。これは、塔の固定のために貼られていたワイヤーが強い閃光を浴びて加熱され、一瞬で気化することで生じる「ロープトリック効果」と呼ばれるもの。ちなみにこの効果は、ケーブルが黒く塗装されている時ほど顕著に現れるそうです。

Operation Teapot - Turk 28115 - YouTube


核爆弾が設置された塔と、それを固定するケーブルの様子がよくわかる映像。

Operation Teapot - Tesla 28109 - YouTube


さらにロープトリック効果がよく見えるアングルの映像も。ここではさらに、火球と同心円で広がる衝撃波と、地面に跳ね返って火球の方へと戻る衝撃波の様子を見ることもできます。

Operation Teapot - Turk 28112 - YouTube


こちらは「タルク」の一つ前、1955年3月1日に実施された核実験「テスラ」(Tesla)の映像。核出力43キロトンだった「タルク」に比べ、「テスラ」は7キロトンと小ぶりなものとなっています。

Operation Teapot - Tesla 28641 - YouTube


この映像は、1953年にネバダ核実験場で実施された核実験計画「アップショット・ノットホール作戦」の一部で、同年3月31日に実施された「ルース」(Ruth)のもの。リバモア研究所が実施した最初の実験で、核出力0.2キロトンという水素化ウラン爆弾でしたが、不完全核爆発の失敗に終わったものとのこと。

Operation Upshot-Knothole - Ruth 17208 - YouTube


このカラーの映像は、1958年の「ハードタック作戦」の中で、同年5月21日にビキニ環礁で実施された「ナツメグ」(Nutmeg)のもの。爆発の衝撃でできたきのこ雲がものすごい勢いで広がる様子が捉えられています。

Operation Hardtack-1 - Nutmeg 51538 - YouTube


こちらは1956年の「レッドウィング作戦」の中で、6月13日に行われた核出力1.49キロトンの核爆弾「キカプー」(Kickapoo)の爆発の様子。

Operation Redwing - Kickapoo 35735 - YouTube


1963年には、アメリカ・イギリス・ソ連の間で地下を除く大気圏内、宇宙空間および水中における核爆発を伴う実験を禁止する部分的核実験禁止条約が結ばれました。その前年となる1962年に実施された核実験「ドミニク作戦」で行われた、8.3メガトン規模の核爆弾「ホーサトニック」(Housatonic)の実験の様子。巨大な火球が上空で膨らむ様子には、戦慄をおぼえます。

Operation Dominic - Housatonic 120256 - YouTube


なお、ローレンス・リバモア国立研究所では今後数年かけてさらにフィルムの保存と公開を行う予定とのことで、今後も誰も見たことがない映像が明らかにされる可能性があります。

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