料理の際に出る「油」が寒さをもたらす雲の形成を手助けしているという研究結果

by Joy

油モノを調理する際に空気中に放出される脂肪酸が、寒さをもたらす雲を作り出す手助けをしている可能性がある、と新しい研究が示しています。

Deep fat fryers may help form cooling clouds - BBC News
http://www.bbc.com/news/science-environment-42081892

研究者によると、脂肪族の分子は大気中のしぶき(大気中に存在する細かな液体)の中で複雑な三次元構造を形成し、それによりできたエアロゾルは通常よりも長く持続し、気候に冷却効果をもたらす雲を形成する手助けをするそうです。

大気中のエアロゾルは不確実性の高い気候科学の分野のひとつ。エアロゾルというのは気体中に固体または液体の微粒子が多数存在する状態を指し、サハラ砂漠の砂塵から化学反応により生じるものまでさまざまな種類が存在します。エアロゾルの大部分は、太陽光を吸収するのではなく反射するという特性を持っています。その結果、エアロゾルにより形成された雲は、太陽エネルギーの約4分の1を宇宙に跳ね返してしまうそうです。

これまでも調理の際に出る脂肪酸分子が大気中のエアロゾルと関係していることは示唆されてきましたが、大気中の液体と脂肪酸分子がどのように反応するのかを調査したのは今回が初めてのことだそうです。

by stu_spivack

研究では超音波浮揚を用いて塩水とオレイン酸の微粒子を個々に作成し、これらをレーザービームとX線を用いて分析しました。内部構造を明らかにするには、特にX線が重要な働きを担ったそうです。研究に参加したレディング大学のクリスチャン・ファング博士は、「塩水とオレイン酸の微粒子で自己組織できることを発見しました。これはつまり、塩水やオレイン酸の分子が大気中でより長く持続できることを示しています。これらの自己組織化構造は、非常に粘性が高いため、水滴というよりははちみつのように動作し、その結果内部でのプロセスもスローダウンします」と語っています。

また、「これらは酸化に抵抗性を持っているので大気中で長時間存在し、雲の形成を助ける」とのこと。科学者らによると、空気中の脂肪酸分子の数は比較的多く、2016年に発表された研究によればロンドンの大気中に存在する微粒子の約10%が脂肪酸だそうです。大気中の脂肪酸の量が増えることで、雲が太陽の熱を反射する量が増える可能性もあります。

「我々が見た脂肪酸による複雑な構造は、石けんと水が作り出す構造に非常によく似ています。こういった反応が我々の頭上の大気中で起こっているかも知れないというのはとても刺激的です。我々は、料理の油が身の回りでどのようなことを起こしているのか理解することに挑戦しているのです」と語るのは、バース大学のアダム・スクワイア博士。

by Ben Chun

なお、研究チームによると既存の大気モデルはエアロゾルの中の三次元構造による働きをまったく説明できていないとのこと。ただし、地球温暖化の影響を食い止めるために料理用の油を使うというアイデアには否定的で、それよりも大気中から収集した分子に関する研究を進めることこそが重要としています。

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in サイエンス,   , Posted by logu_ii