「Firefox Quantum」でWebExtensions API非対応の古いアドオンが切り捨てられる理由とは?


次世代ウェブエンジンを搭載して大幅に進化を遂げた「Firefox Quantum」の正式版が登場しました。長期にわたってFirefoxを使っている人からすると、「お気に入りだけれど更新されなくなって久しいあの拡張機能(アドオン)が使えなくなってしまう」という悩みも出てきているはずですが、Firefoxとしては、その古いアドオンを切り捨てる決断がどうしても必要だったようです。

Why Firefox Had to Kill Your Favorite Extension
https://www.howtogeek.com/333230/why-firefox-had-to-kill-your-favorite-extension/


Firefoxのアドオンは長らくXMLユーザーインターフェイス言語(XUL)で書かれてきました。FirefoxのユーザーインターフェイスもXMLで書かれていたことから、アドオンがインターフェイスを直接変更可能で、さらにFirefoxが使用しているコンポーネント技術・XPCOMにもほぼフルアクセス可能だったという点が、Firefoxのアドオンの強力さを支えていました。

しかし、「この点がFirefox Quantumで古いアドオンが使えなくなる理由でもある」とニュースサイト・How-To GeekのJustin Pot氏は書いています。これまで「Firefoxの不具合だ」とユーザーが思い込んでいたものが、アドオンによって引き起こされていた問題であるというケースがあったためです。Firefoxの開発チームが、新バージョンでも人気のアドオンが問題なく動作するように検証を行いながら開発を進めるなら、その開発ペースが遅くなることは容易に想像がつきます。

ChromeやSafariにも「拡張機能」という仕組みはありますが、「拡張機能の開発者が使用できる特定APIが提供」されていて、Firefoxの従来のアドオンのように強力な権限は与えられていません。そこで、Firefoxでも同様に「アドオンは何ができるのか」「どのように機能するのか」が明確に定義されるWebExtensions APIを採用することによって、Chromeなどと同様のアドオン開発の管理を行うことにして、代わりに「アドオンのせいでFirefoxが壊れる」という事態をなくす方向へ舵を切りました。長期的に「なぜかアドオンが機能しなくなる」という事態を減らす代わりに、古いアドオン周りの仕組みを放棄することにしたわけです。

Pot氏によれば、Firefoxの「アドオン生態系」の切り替えの理由には「クロスプラットフォーム互換性」の問題もあったとのこと。単純にアドオンの数だけを比較すれば、古くから開発されているFirefoxの方が数は多いのですが、もはや更新されていないものも多く「アドオンの墓場」のような側面もありました。一方で、WebExtensions APIならChromeの拡張機能と開発言語が近く、Chromeの拡張機能にわずかに手を入れることでFirefoxのアドオンに移植することが可能というメリットが出てきます。

こうした動きがあると「古いアドオンを切り捨てると、ユーザーが減少する」という意見を述べる人が出てくるものですが、Pot氏はその点についても「すでにFirefoxはChromeにユーザーを奪われていて、その解決法がFirefox Quantumなのです」と指摘しています。

また、FirefoxがWebExtensions APIを使用したアドオンのみ使用可能になることは2年前から通知されているので、それでもなお対応されないのであれば、開発者がすでに開発する気を失っているか、更新されないだけの理由があるということなので、Firefox Quantumで使えなくなってもしょうがないという判断があるようです。

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in ソフトウェア, Posted by logc_nt