アメリカで合法化が進む大麻は「第二のクラフトビール」になるかもしれない

By Anthony Tenorio

アメリカでは徐々に大麻(マリファナ)の使用を許可する州が増えており、記事作成時点では29の州とワシントンD.C.において医療用・嗜好用の両方で大麻の使用が合法となっています。そのほとんどが住民の意向によって合法化されたものであり、そこにビジネスチャンスを見いだして狙いを定めた起業家が取り組みを進めています。

Budweiser's ex-marketing chief: Weed is the new craft beer
http://www.syracuse.com/business-news/index.ssf/2017/11/budweiser_weed_craft_beer_greenrush.html

かつて、ビールブランド「バドワイザー」を製造販売しているアンハイザー・ブッシュ社でマーケティング部門の責任者をつとめたクリス・バーグレーブ氏はいま、大麻を本格展開する企業の体制づくりに労力を割いています。ベルギー出身で現在52歳というバーグレーブ氏はこの分野ですでに2件の投資を行うと同時に、「マリファナ界のAmazon」を目指すスタートアップGreenRush Groupのアドバイザーに就任しています。GreenRush Groupは先日、360万ドル(約4億円)規模のシリーズAラウンドの資金調達に成功しています。

大麻が合法の地域と言えばオランダなどがよく知られていますが、実はいつの間にかアメリカでも合法化の波が広がりつつあります。前述のように大麻が一部または全面的に合法化されている地域は29州とワシントンD.C.となっており、人口ベースだとアメリカ人の5人に1人が合法的に大麻を使用することが可能になっています。とはいえ、アメリカ国内にも大麻の合法化に反対する意見を持つ人も多く存在しており、両者の数は拮抗している状態です。

State Marijuana Laws in 2017 Map


21の州では医療用大麻が認められ、8つの州とワシントンD.C.では嗜好用の大麻も解禁されたことで、そこには新たな産業が育ってきています。2016年のデータによると、大麻に関連する売り上げは業界全体で60億ドル(約6800億円)に上り、10年後の2026年には500億ドル(約5兆6500億円)という巨大産業になると予測されています。

巨大な産業になるということで、そこに狙いを定めているのはバーグレーブ氏だけではありません。アメリカの巨大ビール企業もこの分野に参入する動きを見せており、「コロナビール」をアメリカで展開している「Constellation Brands」はカナダに拠点を置く医療用大麻企業「Canopy Growth」に出資することを発表しています。この動きについてバーグレーブ氏は「序章に過ぎない」と語り、全世界的に最も早く成長する産業であるとの見方を示します。その理由については「人々が望むものだからです。消費者が何かを求めているのに、それを無視するのはリスクです」と述べています。

かつて、アメリカで大麻の解禁を望む人は全体の12%にしか過ぎませんでした。しかし、ギャラップ社の2017年10月のデータによると大麻解禁を支持する人は全体の64%にものぼっています。この合法化の流れの多くは住民投票によるものであるという事実も、世論が大きく変わっていることの結果といえます。

アメリカで大麻支持が不支持の数を上回る逆転現象が起こる - GIGAZINE


バーグレーブ氏は、広がりを見せる大麻の成長を、かつての「クラフトビール」のムーブメントになぞらえています。クラフトビールも最初は一部の限られた分野で人気を集めていただけのジャンルでしたが、ある時点を境に急激に人気を獲得し、今やビール業界の中でも確固たる地位を確かなものにしています。バーグレーブ氏はこの流れが大麻に起こっても不思議ではない、と語ります。

バーグレーブ氏が携わるGreenRush Groupは、大麻を使用する消費者、大麻を提供するディスペンサー、そして商品を配達するデリバリーをつなぐテクノロジープラットフォームを提供しています。そのモデルはまさに、オンライン書店から始まって今や巨大オンライン小売業者となったAmazonの例に倣ったもので、同社ではいつか起こるかもしれない「大麻の全面解禁」の日に備えて体制づくりを進めている段階。州レベルでは大麻が解禁され始めているアメリカですが、連邦レベルでは大麻は非合法とされています。そのため、Amazonのような巨大企業は、この分野に参入することを躊躇していると見られています。

とはいえ、大麻産業に投資を行うことはリスクとは無縁ではありません。トランプ政権のジェフ・セッションズ司法長官は大麻合法化に明確に反対の立場を示しています。そんな中で、大麻産業に投資する決断を下したConstellation Brandsは「タブーに挑戦した」といえる状態。しかしバーグレーブ氏は今後もこの動きは続き得ると考えており、その理由について「企業がそれを望むのではなく、消費者がそれを望んでいるから」と述べています。

By Mike Mozart

なお、日本では大麻取締法で大麻の所持が禁じられています。使用することは対象外ですが、いくら世界でムーブメントが興っているとはいえ、日本でも同じようなことをすると罪に問われかねない点はよく理解しておく必要があります。

大麻取締法「所持」は違法なのに「使用」は対象外…何が違うのか? - 弁護士ドットコム
https://www.bengo4.com/c_1009/c_1296/n_5365/

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