島民2000人分の電力を海上の風力発電でまかない余った電力をアメリカ本土に送り込むことに成功


アメリカ・ローランド州のブロック島の沖合に設置した洋上風力発電機から得た電力で、島民全員分の電力エネルギーをまかなった上に余剰電力をアメリカ本土に送り込む発電システムが完成しました。太陽光や水力発電に代わる有力な再生可能エネルギーとして期待される洋上風力発電は、アメリカだけでなく多くの国で開発が進んでいます。

America's Wind Energy Future Looks Seaward | News | NREL
https://www.nrel.gov/news/features/2017/americas-wind-energy-future-looks-seaward.html

ロードアイランド州の沖合にあるブロック島には2000人の住民が住んでいます。この島民が使う電力のすべてを、沖合に設置された洋上風力発電システムによってまかなうことに、Block Island Wind Farm(BIWF)が成功しました。これまで、ブロック島ではディーゼル燃料を使うことで電気エネルギーを生み出しており、島民一人当たり月に25ドル(約2900円)のコストがかかっていましたが、これらの費用は洋上風力発電システムによってゼロになり、さらに発電して使い切れない電力を海底ケーブルによってアメリカ本土に送電することが可能になっています。


BIWFが開発した洋上風力発電システムは国立エネルギー技術研究所(NWTC)と国立再生エネルギー研究所(NREL)と共同で研究・開発したもの。風力発電は陸上よりも海上の方が効果的に発電することができるため、洋上風力発電は化石燃料を使わない再生可能エネルギーとして有望視されており、マサチューセッツ州が2027年6月までに1600MW分を、ニューヨーク州では2030年までに2400MW分を洋上風力発電で生み出すことを公約に掲げています。これまで、海上での風力発電がコスト面でペイするのかどうか不透明であり、電力会社の投資が思うように進まないという現状があったそうですが、ブロック島での洋上風力発電システムがモデルケースとなって、今後、さらに洋上風力発電の開発が進むことをNRELは期待しています。

NRELによると洋上風力発電で重要な技術は発電効率の高いタービンの開発だけにとどまらず、海上で波の影響を受けにくいシステム構築のための外装設備や、水深が浅くて波が低いにもかかわらず風力発電に向いた風が吹く場所の選定作業など、多数の要素がからんだ複雑なものだとのこと。そのため、実際にシステムを開発しつつ運用する技術者の教育と育成が不可欠だとNRELは述べています。


さらに、水深の浅い沿岸部だけでなく沖合の海上でも風力発電を行うためには、風力発電システムを固定する着床式タイプではなく、固定せずに海上にただよわせる「浮体式洋上風力発電」システムの開発が不可欠になってきます。浮遊する風力発電システムであれば、水深が深く風力発電機を固定化することが難しい場所でも設置が可能であり、電力の安定供給が可能なシステムを目指して開発が進んでいます。


ノルウェーのスタトイルがスコットランド沖に世界初の浮体式洋上風力発電の営業を開始したり、法整備を見直して大型プロジェクトを推進する日本なども参戦しており、洋上風力発電の世界的な開発競争が激しくなっています。

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