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知られざる「&」の歴史、幻の27番目のアルファベットだった

By Matthew M

アンド(and)の意味で使用される記号「」の正式名称は、「アンパサンド」といいます。英語に限らず日本語でもさまざまな場所で使用されている記号ですが、その歴史をBlack Lion Bannerが解き明かしています。

The History of the Ampersand – Black Lion Banner – Medium
https://medium.com/black-lion-banner/the-history-of-the-ampersand-c81839171940

タイポグラフィの中でも最もユニークで興味深い文字のひとつが、「&」ことアンパサンドです。フォントデザイナーのスケッチブックに書かれた落書きから始まり、現在ではほぼ全ての印刷物上でアンパサンドを見かけることができるくらいに一般的なものになっており、最近では典型的な形から大きくかけ離れた前衛的なデザインのものも登場するようになっています。

アンパサンドはその形状の多様性から、フォントデザイナーが自由に創造性を発揮することができ、デザイナーのパーソナリティが見え隠れするものになっています。Unicodeでは「句読記号」に分類されるアンパサンドですが、一度は英語のアルファベットの27番目の文字とされたもので、英語の「and」と同じ意味を持つ記号でもあります。

By Kristian Bjornard

タイポグラフィと同様に、アンパサンドの歴史は古代ローマから始まります。古代ローマの書記官は、自身の仕事である「文字書き」の速度を上げるために筆記体を使用していました。その中で、複数の文字を組み合わせてひとつの文字として表現することで、「時間の節約」と「特定の文字が視覚的に重なり合うことで起きる視覚的なわかりづらさ」という問題を解消します。この時に生まれたのが、複数の文字を合成して1文字にした「合字」で、アンパサンドもこの流れの中で誕生したもののひとつというわけです。なお、アンパサンド(&)はラテン語の「et(andの意)」の合字。

ローマ帝国が拡大するにつれ、多くの言語の中でアンパサンドが見られるようになっていきます。しかし、アンパサンドを吸収した言語が変化・進化していくにつれ、元のオリジナルの形からよりスタイリッシュな形に変形していきます。現代の伝統的な書体の中にはアンパサンドが元の意味である「et」をはっきりと示す形状のものもあります。以下の4つの書体の場合、特に「Caslon」は「et」の合字であることがよくわかるものと言えそうです。


対して、現代の手書風フォントは「E」と「T」を合体させたようなアンパサンドが多いとのこと。


1700年代初期まで、イングランド全土の学校は言葉をつづる際に「per se」というフレーズを頻繁に利用しました。「per se」というのは「本質的な」という意味を表すワードで、「A」や「I」など一字で意味を成す文字を読む際に利用されており、例えば当時の子どもたちが「I invite you(私はあなたを招待します)」というフレーズをつづる際、「Per se i、i、n、v、i、t、e……」といった具合に発声しながら文字を書いたそうです。これにより、最初に発声した「i」は「invite」という単語の一部ではなく、単体で意味を成す「I(私)」であることがよくわかるようになります。

それと同時に、「&」は英語のアルファベットにおける27番目の文字として教えられていました。学校で「Z」の次に来るアルファベットとして「&」が教えられたことで、アルファベットを順番に読んでいく際は「X、Y、Z and per se and」と読まれていたそうです。この「and per se and」というフレーズがひとつの単語として使われるようになり、それ以降、「&」は「アンパサンド」と呼ばれるようになったというわけ。その後、1837年までには「アンドパサンド」という単語として辞書に載るようにもなりました。

By Barney Moss

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in メモ, Posted by logu_ii

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