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億万長者の成功者になるためにビル・ゲイツを真似てもあまり意味がない理由

By Statsministerens kontor

古今東西、成功した人のサクセスストーリーを参考にして「自分もあんな風に成功してやる」という野望を持つ人は多くいるものですが、ひと口に「成功」と言ってもいろいろなアプローチがあるもので、実は「これさえやり遂げれば成功できる」という黄金律は存在していないのかもしれません。現代の成功者を代表する人物と言えばMicrosoft設立者のビル・ゲイツを挙げることに異を唱える人は少ないはずですが、戦略・行動科学教授のChengwei Liu氏(ウォーリック・ビジネス・スクール)は、成功に「運」の要因がある限り、本人の行動ばかりをまねてもあまり意味がないと記しています。

Copying Bill Gates is a bad idea if you want to get rich
https://theconversation.com/copying-bill-gates-is-a-bad-idea-if-you-want-to-get-rich-84240

BBC - Capital - Why you shouldn't imitate Bill Gates if you want to be rich
http://www.bbc.com/capital/story/20170921-why-you-shouldnt-imitate-bill-gates-if-you-want-to-be-rich

「ビル・ゲイツ氏はあなたが思っているより幸運の持ち主です」というLiu氏は、大学を中退したのちに起業し、現代のコンピューター社会を作ったといっても過言ではないほどの実績を残したゲイツ氏について「才能の持ち主だろう」とその能力に敬意を示しながらも、ゲイツ氏の成功にとって、自分のコントロールが及ばない周囲の環境も欠かせない要因であることを語ります。


Liu氏いわく、「秀でたパフォーマンスを残す人は卓越した技術や才能の持ち主であるという考えに陥りがちですが、これには不備があります」とのこと。Liu氏はこれを踏まえ、卓越した業績には並外れた事前の環境が揃っていることがほとんどで、成功を収めた人は「正しい時に、正しい場所で、正しいことを行った人」であると理解することが重要であると説いています。

ゲイツ氏にも同じことが言えます。ゲイツ氏がコンピューターの将来に目を付けたことは卓越した知識あるいは才能の結果といえるかもしれませんが、実際にはその才覚を養った環境があったことも事実。ゲイツ氏の家庭は一般家庭よりも豊かな富裕層であったこと、13歳の時に入った予備校で、当時の同世代の若者の0.01%しか接点を持てなかったというコンピューターに触れられたこと、そして、ゲイツ氏の母親がIBMの役員と知人関係にあったことなどが相まって、ゲイツ氏がMicrosoft帝国を築き上げる礎になったことを、Liu氏はゲイツ氏の「運」として挙げています。

IBMのコンピューターにMicrosoftのソフトウェア(MS-DOS)が搭載されていたことも、結果的にのちの成功を生みだしたことにつながるとLiu氏は挙げています。コンピューターの入り口がMicrosoft製品だったことから、そのユーザーの多くはMicrosoft的な好みを知らず知らずのうちに植え付けられ、その後もずっとMicrosoft製品を使い続けてしまう効果があったとのこと。もちろんそこにはMicrosoftが一つの製品としてソフトウェアに一貫したものを取り入れられていたこと、そのための労力を注いできたことも決して見落とすわけにはいかないのですが、いわば多くの人がコンピューターを覚え始める段階のタイミングで、Microsoft製品がより多くのコンピューターに搭載されていたことは、努力や才能に加えて「タイミング」というものがあったことは否定できないものがあります。


スポーツの世界などでは特に、10年あるいは1万時間の訓練をするとトップクラスのアスリートになれるという「1万時間の法則」があると言われています。10年または1万時間の練習時間というと、とても普通の人では成し遂げられない並外れた訓練量であり、これを成し遂げたものだけがトップクラスのパフォーマーになれるというものなのですが、これにもやはり「タイミング」は存在するとLiu氏は言います。

その例として挙げているのが、イギリスの卓球界で優れた成績を残した3人の選手の出自です。この3選手はそれぞれ、ある都市の同じ地区から出てきた選手なのですが、その背景にはこの街に引っ越してきた元卓球選手の存在があるといいます。優れた成績を残して引退したPeter Charters氏はイングランドのある街に引っ越してきたのですが、そこで暮らしていた多くの子どもたちがCharters氏に習って卓球をプレイするようになったとのこと。その中から、特に「1万時間の法則」のように訓練を行った3人の選手が優れた成績を残し、最終的にはイギリス国内でトップを独占するにいたったとのこと。もし、その街にCharters氏が引っ越していなかったら、子どもたちが関心を示さなかったら、Charters氏によるコーチングを受けられなかったら、選手がきちんと練習をしなかったら、など多くのクリアすべきポイントはありますが、これらを満たすことで初めて、卓越した成績を残すパフォーマーが生みだされるというわけです。

ある程度の「成功」までの段階であれば「努力は結果を生む」という考え方が実を結ぶことは間違いないといえますが、そこからさらに先の「大成功」の段階に至るためには、努力だけではない「運」や「環境」というものが欠かせないというのが、数々の成功者を調査してきたLiu氏の一つの答えである模様。成功者の中には「私は幸運だった」と自分がやってきた道を振り返る人が少なくありません。彼らのそういう言葉にも、「運」というものの重要さ、そしてその「運」があることに気付いて正しい「努力」を行える能力のある人こそが、真の成功者として結果を残せる、ということなのかもしれません。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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