ビル・ゲイツが「自分の考えを見直すきっかけになった」と話す5冊の本

By Gisela Giardino

Microsoftの創業者であるビル・ゲイツ氏といえば読書家として有名で、年間50冊もの本を読んでいるそうです。そんなビル・ゲイツ氏が「自分の考えを見直すきっかけになった」と語る5冊の本をビジネスニュースメディアのMarketWatchが紹介しています。

Bill Gates says these five books ‘made me question my own thinking’ - MarketWatch
http://www.marketwatch.com/story/bill-gates-says-these-five-books-made-me-question-my-own-thinking-2017-05-22

◆1:Homo Deus: A Brief History of Tomorrow
ゲイツ氏が「休日」に読む本としてピックアップしたのがこの本であり、世界が「至福と不滅と神性」という目標を達成するための挑戦的なアイデアを書き記したものです。

ゲイツ氏は「Homo Deus: A Brief History of Tomorrow」の著者であるハラリ氏による問題への解答には満足していないと語っていますが、「結論が不満足なものだからといってこの本を読むことを止めないでください」とコメント。さらに、「たくさんの専門用語ではなく、刺激的なアイデアが載っており、とても魅力的な本です。この本はあなたが将来について考えるきっかけとなるようなものであり、それはつまりあなたが現在について考えるようになるということでもあります」と記しています。

Amazon.co.jp: Homo Deus: A Brief History of Tomorrow: Yuval Noah Harari: 洋書


カスタマーレビューは1件しかありませんが、25人中23人が「このレビューが参考になった」と投票しています。

 最近『サピエンス全史』という邦題で日本語版が出版された世界的ベストセラー 'Sapiens: A Brief History of Humankind' の続編(英語版は2014年出版)。『Sapiens』で約7万年前の「認知革命」から現代に到る全地球的規模でのホモ・サピエンスの来し方を鮮やかに描いて見せた著者が、現生人類の近未来をどのように展望しているのか、大きな興味を持って本書を紐解いた。賛成するにせよ、反感を覚えるにせよ、著者の鋭い洞察は相変わらず健在だ。タイムマシンで未来を訪れ、そこに暮らす人々の生態を、物陰から密かに息を殺して観察しているかのような臨場感と緊張感を味わえる。果たしてホモ・サピエンスからホモ・デウスへの転生はより大きな幸福への一歩となるのだろうか。英文は平易で読みやすい。


なお、Homo Deus: A Brief History of Tomorrowは「Sapiens: A Brief History of Humankind」の続編にあたる書籍であり、こちらは翻訳版が「サピエンス全史」として日本でも出版されています。

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福 | ユヴァル・ノア・ハラリ, 柴田裕之 | 歴史学 | Kindleストア | Amazon


◆2:ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち
この本は著者の混沌とした家族生活とロースクールへの入学を通して、アメリカの文化的および経済的な分裂を記したものです。

ゲイツ氏はこの本の感想を、「著者は自身の信用のために、政策専門家のふりはせず、単純な解決作などは提示していません。しかし、私がこの本を読んだとき、私は貧しいコミュニティに力を与えたり機会を創出できないかと考えさせられました。私にとって重要なのはアメリカの複雑な貧困状況に取り組むために何ができるかで、できる限り多くの子どもを大人の愛情で包み込む方法を考えることです」と記しています。

ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち | J.D.ヴァンス, 関根 光宏, 山田 文 |本 | 通販 | Amazon


Amazon.co.jpの内容紹介は以下の通り。

無名の31歳の弁護士が書いた回想録が、2016年6月以降、アメリカで売れ続けている。著者は、
「ラストベルト」(錆ついた工業地帯)と呼ばれる、オハイオ州の出身。貧しい白人労働者の家に生まれ育った。
回想録は、かつて鉄鋼業などで栄えた地域の荒廃、自分の家族も含めた貧しい白人労働者階級の独特の文化、
悲惨な日常を描いている。ただ、著者自身は、様々な幸運が重なり、また、本人の努力の甲斐もあり、
海兵隊→オハイオ州立大学→イェール大学ロースクールへと進み、アメリカのエリートとなった。今や
ほんのわずかな可能性しかない、アメリカンドリームの体現者だ。そんな彼の目から見た、白人労働者階級の
現状と問題点とは? 勉学に励むこと、大学に進むこと自体を忌避する、独特の文化とは? アメリカの行く末、
いや世界の行く末を握ることになってしまった、貧しい白人労働者階級を深く知るための一冊。


特に以下のレビューが秀逸。

私はこの本に書かれているヒルビリーの家程ではないが、貧しく暴力的な家で生まれ育った。
今は運良く大企業のおこぼれにあずかれる仕事をしており、エリートと接する機会も多い。
一方、ヒルビリー同様の友人もいる。
そのような私には、この本は自分のことが書かれているようだ。
自分の家庭がなぜ暴力的になったのか、自分がなぜ会社や取引先となんとなく壁を感じるのか、その理由が書かれている。

特に後半、筆者がイェールに入ってから、これまでのヒルビリー社会とエリート社会とのギャップに苦しむ点や、自分の破壊的な考え方の原因の一つに家庭環境があること、その課題をクリアした点等は、私にとって非常に参考になる。

エリートと貧困層のギャップは大きい。
単純に収入ではなく、生き方、考え方そのものが異なる為である。
この点において、非常に有意義なメッセージを伝えてくれる本である。


◆3:A Full Life: Reflections at Ninety
「A Full Life: Reflections at Ninety」は第39代アメリカ合衆国大統領ジミー・カーター氏の自伝。ゲイツ氏は「素晴らしい男に関する素晴らしい読書体験ができる」とこの本を評しており、過去の書評でも幾度かこの本を紹介しています。

Amazon.co.jp: A Full Life: Reflections at Ninety: Jimmy Carter: 洋書


◆4:Born a Crime: Stories from a South African Childhood
ゲイツ氏はジョン・スチュアート氏が司会を務めたアメリカのニュース番組「The Daily Show」の大ファンであることを公言していますが、この本はそのThe Daily Showで2代目の司会者を務めるトレヴァー・ノア氏による著書です。ゲイツ氏はノア氏のファンであることも明かしています。

そんなノア氏による回想録が「Born a Crime: Stories from a South African Childhood」。深く心を打つような内容の話であってもノア氏のスキルにより笑いながら読める本になっているとのこと。

Amazon.co.jp: Born a Crime: Stories from a South African Childhood: Trevor Noah: 洋書


数少ない日本語でのカスタマーレビューの中でも、特に以下のレビューが参考になりそう。

アメリカ在住の人や、アメリカ文化に詳しい人なら、『The Daily Show』というテレビ番組のことはよくご存知だろう。1999年から2015年までJon Stewart(ジョン・スチュワート)が司会をしていた風刺ニュース番組で、実際のニュース番組より若者に影響力を持つとまで言われていた。スチュワートが引退を発表したときには、多くのファンが「彼のあとを継げるようなコメディアンはいない」と嘆いた。

南アフリカのコメディアンTrevor Noah(トレヴァー・ノア)がスチュワートの後継者に決まったとき、ノアに期待するより、彼の力量を疑う人のほうが多かった。私もそのひとりだった。だが、彼はスチュワートのファンを納得させ、新たに若い世代を取り込むようになっている。

それまでノアのことをまったく知らなかったのだが、この回想録と、彼がニューヨーク・タイムズ紙に寄稿したコラムを読んで、彼への評価が変わった。学者と教育者の両親に育てられ、ウィリアム・アンド・メアリー大学で学んだスチュワートとは異なり、ノアはアパルトヘイト時代の南アフリカで黒人のシングルマザーに育てられたカラード(白人と黒人の混血)だ。大学教育は受けていない。

ノアの達成がどれほど驚異的なものなのかを知るためには、彼が生まれた時代の南アフリカを知る必要がある。
アパルトヘイト時代の南アフリカでは、国民は4つの人種カテゴリー(白人、黒人、カラード、インドやパキスタンなどからのアジア系)に分けられ、それぞれの権利が異なった。また、異なる人種間(とくに白人と黒人)の結婚は違法であり、混血の子ども産むのは、厳しい懲罰がある「犯罪」だった。ノアの母親は、スイス人の友人に依頼し、故意にその犯罪をおかして息子を産んだのだった。

「カラード」と呼ばれる混血のトレヴァー少年は、存在そのものが犯罪なので、アパルトヘイトが撤廃されるまでは、人目につかないように隠されていた。そして、その後もどのグループにも属せない孤独さを経験した。

ノアの回想録には、飢えて毛虫を食べるような貧困生活や、盗難物品を売る闇商売の経験など辛い逸話が多い。なのに、それを明るく、ユーモアたっぷりに語る。ノアの母親が義父から受けたドメスティック・バイオレンスは凄まじいものだが、それにさえ笑いを交えているのだ。これほどの文章力を独学で得たノアは、きっと外には見せないすごい努力を積み重ねてきたのだろう。

アパルトヘイト時代の不条理な社会と、撤廃後の黒人同志の対立を、クリアな視線で見据えているところにも、ノアの深い知性を感じる。
ノアは暇さえあったら好きな読書をしているようだが、自分の意見を持つことができる人は、やはり多くの本を読んでいるのだと思った。

自分の人生がうまくいかないことの言い訳を他人や社会に求めがちな人に、ぜひ読んでいただきたい本だ。笑った後に得るものは、そのあたりにある啓蒙書よりずっと大きい。


◆5:The Heart : Maylis de Kerangal
「これは小説というよりも、小説に偽装した詩です」とゲイツ氏がこの本を説明するように、悲しみの探究のような内容とのこと。ゲイツ氏は感動的なストーリーだけでなく、辞書で言葉の意味を調べなければいけないような小説であるにもかかわらず、本の中に存在する言葉は賞賛に値するものだと記しています。

The Heart : Maylis de Kerangal, Sam Taylor : 洋書 : Amazon.co.jp

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