部屋を丸ごと充電器にしてしまう技術「Quasistatic Cavity Resonance(QSCR)」をディズニーが開発

ディズニーの研究施設「DisneyResearchHub」が「Quasistatic Cavity Resonance(QSCR)」という無線電力伝送の新しい技術を開発しました。QSCRは、部屋のように閉ざされた空間全体に電力を伝送し、さまざまなデバイスを充電できる技術になっています。
Quasistatic Cavity Resonance for Ubiquitous Wireless Power Transfer.pdf
https://s3-us-west-1.amazonaws.com/disneyresearch/wp-content/uploads/20170215220933/Quasistatic-Cavity-Resonance-for-Ubiquitous-Wireless-Power-Transfer-Paper.pdf
Disney Research » Quasistatic Cavity Resonance for Ubiquitous Wireless Power Transfer
https://www.disneyresearch.com/publication/quasistatic-cavity-resonance-for-ubiquitous-wireless-power-transfer/
QSCRを使うとどうのようにして部屋全体に電力を伝送するのかは以下のムービーを見るとわかりやすいです。
Quasistatic Cavity Resonance for Ubiquitous Wireless Power Transfer - YouTube
DisneyResearchHubは、部屋のように仕切られた空間に準静的磁場を生成し電力を伝送する技術。実験では54立方メートルの特別な部屋が使用されており、部屋の中心には駆動コイルとポールが備え付けられています。

まずは、信号生成器で1.32MHzのトーン信号を出力。

電力増幅器でトーン信号の電力を増幅させます。

電力増幅器で増幅されたトーン信号は部屋に設置された駆動コイルに接続されています。

部屋の中心に立てられているポールには共振周波数と電界を設定するためのコンデンサが取り付けられています。

電流は「ポール→天井→壁→床」の順に流れ……

ポールを中心とした磁場を生成。

生成された磁場に受信コイルをかざすと、受信コイルに取り付けられたライトが点灯。

床や……

部屋の隅でも電力が伝送されているのがわかります。

コイルを磁場に対して垂直に立てると電力が供給され、磁場に対して水平にすると電力の供給がストップ。


次は5Wの小型扇風機で実験。信号生成器がオフのときは全く動作していません。

信号生成器をオンにすると扇風機の羽根が回転。

磁場に対して水平にすると扇風機のスイッチがオフになりました。

今度はiPhoneでトライ。磁場に水平のときは画面が真っ暗ですが……

磁場に対して垂直にすると画面右上のバッテリーのアイコンが充電中に変わりました。

QSCRを使用すれば、部屋全体を充電器のようにして多数のデバイスを同時に充電することができるというわけです。実験では最大1900Wまで出力できたとのことで、この技術がディズニーの作品や製品にどのように用いられるかはわかりませんが、ワクワクさせてくれる技術なのは確かです。

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