「惑星擬人化」など、過去に描かれていた天体図あれこれ


「地球は平面であると信じる知識人に対してコロンブスは『地球は丸い』と説いた」というエピソードは創作に過ぎませんが、中世には現在と同じような宇宙観が存在したのか、というと、やはり宇宙についての考え方やイメージは現在と違うものでした。では宇宙や天体について、過去の出版物ではどのように描かれていたのか?ということをTHE BRITISH LIBRARYがまとめています。

Stars in Their Eyes: Art and Medieval Astronomy - Medieval manuscripts blog
http://blogs.bl.uk/digitisedmanuscripts/2017/01/stars-in-their-eyes.html

現在、夜空の星は同心円上に描かれることが多くありますが、これは古代ギリシャの哲学者であり天文学者であるヘラクレイデスプラトンの宇宙論がルーツになっています。一方で、中世に描かれる宇宙は、古代ローマの博物学者であるプリニウスの図解もモデルになっていました。これらの天体図は時間とともに徐々に変化し、惑星の逆行や、軌道のオーバーラップ、ジグザグの軌道などが考慮されるようになります。神学者イシドールスの「自然について」という中世初期の本に書かれた天体図は太陽・月・地球の位置関係がおかしかったり、惑星の名前が現在使われているものと違ったりしていますが、おおむね現代の天体図と同じとのこと。

以下は左がプリニウスの博物誌に書かれていた天体図で、右がイシドールスの自然についてで書かれていたもの。どちらも同心円状に星が広がっており、よく似ています。


数学者のピタゴラスは惑星の運行における比率は音階で説明できるとしましたが、中世に描かれた天体図にはピタゴラスの理論が組み込まれているものもあり、惑星と惑星の間に音階についての注釈がされているものもあったとのこと。


中世後期になると、天体図は以下のような形に。7つの惑星と地球がレイヤー状になり、天使によって抱えられる「恒星」によって囲まれています。月と地球の間には火・空気・水の層がありますが、これはプラトンの宇宙論に基づくもの。


なお、プラトンの宇宙論がどのようなものか、そしてコロンブスの航海によってそれがどのように覆されたのかは以下の記事から読むことが可能です。

コロンブスの航海がそれまでの世界観を覆した本当の理由とは? - GIGAZINE


1464年に出版された本の中で描かれている天体図は、中心に地獄、最も外側に神が座る玉座があります。


しかし、同心円によって描かれる天体図だけが中世における天体図だったわけではありません。以下の天体図では、一番下にある箱のようなものが地球、その上にある輪が月を表しています。残りの輪の中には水星や金星が並んでおり、第7天の中にある土星まで続いているとのこと。


また、この線グラフのようなものも天体図。これは11~12世紀の科学雑録の中に収録されたもので、中心で波打っている太陽が規則的なグラフを描いているのに比べて、ほかの星は不規則なグラフで表されているのが特徴。


太陽を囲むような形で月が描かれ、その外側に地球、さらに外側に惑星などが幾何学的に描かれるという独創的な天体図もあります。


天使が世界の軸を回す挿絵や……


惑星が擬人化された挿絵もありました。


以下は太陽が昇る様子が擬人化されたもの。


二輪戦車に乗った太陽と月という擬人化の天体図。これはギリシア神話のヘーリオスかも。


天体図だけでなく、星を描く別の方法としての「星座マップ」も中世で広まりました。以下の星座マップには神話上の怪物や船、英雄などが夜空に描かれています。

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