人工知能を100年間研究し続ける大学が予想した人工知能と生活する2030年の姿とは?

By Michael Shaheen

人工知能の技術は急速に発展してくると、「人工知能の進化によって人間の暮らしはどんどん豊かになるのか?」という点が気になってきますが、人工知能の研究を100年にわたって続けているスタンフォード大学が、人工知能と共生する2030年の世界はどのようになっているのかをまとめたレポートを公開しました。

Executive Summary | One Hundred Year Study on Artificial Intelligence (AI100)
https://ai100.stanford.edu/2016-report/executive-summary

Overview | One Hundred Year Study on Artificial Intelligence (AI100)
https://ai100.stanford.edu/2016-report/overview

ARTIFICIAL INTELLIGENCE AND LIFE IN 2030
(PDFファイル)https://ai100.stanford.edu/sites/default/files/ai_100_report_0901fnlb.pdf

スタンフォード大学が作成した「2030年における人工知能と生活」というレポートによれば、人工知能はコンピュータビジョン・会話認識・自然言語処理の技術の向上により近年劇的な発展を遂げており、すでにスマートフォンの音声認識機能などでユーザーは人工知能の恩恵を多いに受けているとのこと。人間と人工知能の関係は、今後人工知能が個性や目的意識を学習していくことで今現在よりも流動的でパーソナルなものへと進化していくそうです。

By iphonedigital

例えば、人工知能は交通のシステムを大きく変える可能性があり、アメリカでは2030年までに人工知能を搭載した自動運転カーが人々の送り迎えや、荷物の配送を行う世界になっている可能性があります。もし、人工知能を搭載した自動運転カーが一般家庭に普及すれば、交通渋滞や駐車場不足といった問題は時代遅れになる、つまり、なくなっていくというわけです。

ルンバなど現代でも導入されている家庭用向けのロボットは、チップの高品質化や3Dセンサーの低価格化が進み、クラウドベースの機械学習や会話認識機能が発展することで、ロボットと人間の関係に変化が訪れるとのこと。荷物を運んだり、オフィスを掃除したり、セキュリティを強化するなどある分野に特化したロボットが登場することが予想されるものの、技術的制約とコストの問題が家庭用ロボット導入の足かせになる可能性があります。

教育の現場では、人間の教師が生徒とコミュニケーションを取りながら教えるというスタイルが変わらず続いていく一方で、人工知能がオンライン授業のレベルを向上させるのに貢献。人工知能を導入することで、教師と生徒の関係性を保ったまま、1クラスの生徒数を増やすことが可能になるとのこと。つまり、授業のプランを練るなどの作業を人工知能が担い、そのおかげで教師の負担が減って、受け持つ生徒数が多くなっても今まで通りに生徒と接する時間を確保できるというわけです。

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セキュリティに関しては、高機能を携えた監視カメラや監視ドローンが登場し、人工知能を使った犯罪予測が2030年までに可能に。ただし、犯罪予測は無実の人々を理由なく監視することになるため、市民の安全を守るためには注意して導入と運用を行う必要があります。

人工知能が議題にあがると必ず提起されるのが、ロボットが人間の仕事を奪ってしまうのではないかという問題です。2015年には日本の野村総合研究所が「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能になる」というレポートを公開しました。スタンフォード大学は、短期的な目で見ると人工知能は「職業」よりもむしろ人間が仕事でこなす「タスク」を人間の代わりに行うようになると予想。人工知能は、放射線技師からトラックの運転手や庭師まで広範囲に渡る職業に少なからず影響を与えますが、その代わりに新しい職業が生まれるとのこと。ただし、どのような職業が生まれるのかを予想するのは難しいことだとしています。

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また、人工知能が労働の現場に導入されることで、あらゆる製品やサービスにかかるコストが下がり、結果的に人々の暮らしは豊かになるとスタンフォード大学は予想しています。

テキサス大学コンピュータサイエンス学部のピーター・ストーン教授はスタンフォード大学のレポートを「今現在人工知能について知られていることは、SFの小説や映画に登場したものが多くを占めますが、スタンフォード大学のレポートは、人工知能が社会に対してどのような影響を与えるのかを議論するための現実的な基礎となるものです」と評価しました。

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