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iPhoneの「割れやすいガラススクリーン」という欠点が改善されない理由とは?


Appleは9月8日に行ったスペシャルイベントで最新のiPhoneとなる「iPhone 7」シリーズを発表しました。Taptic Engine採用の感圧式ホームボタンや耐水・耐塵性能、日本限定でFeliCa対応など、さまざまな新機能が登場するなど、新モデルの登場ごとに便利かつ使いやすく改良されているように見えるiPhoneには、1つの大きなデザインの欠点が存在すると指摘されています。

Why Won't Apple Fix The iPhone's One Huge Design Flaw? | Co.Design | business + design
https://www.fastcodesign.com/3063238/why-wont-apple-fix-the-iphones-one-huge-design-flaw

2007年に初代iPhoneが登場して以来、iPhoneのハードウェアは3Gデータチップが4Gデータチップになり、RetinaディスプレイやHDカメラが搭載され、Touch IDの指紋認証センサー、押す強度を感知する3D touchセンサーを内蔵するなど、いくつものアップグレードを重ねてきました。「前モデルより24%薄く」「18%薄く」「9%薄く」というようにモデルを一新するごとにボディは薄くなり、「前モデルより2倍速く」「そのまた2倍速く」というように処理速度も改善が続けられています。

一方で、約10年にわたってガラス製のスクリーンに変化はなく、Appleは何千万人ものユーザーを苦しませている「脆弱性」を放置していると言えます。iPhoneには強度の高いゴリラガラスが使われているものの、故障するiPhoneの25%は「スクリーンの破損」が原因で、iPhoneユーザーの15%は破損したままのスクリーンを修理せずに使っていることが電化製品の保証会社・SquareTradeの調べでわかっています。

実際にiPhoneは1メートル未満の高さから落下しただけでクモの巣状に割れてしまうことがあり、iPhoneユーザーであれば「画面が割れてしまった」という経験は一度くらいあるかもしれません。iPhone 7の登場と同時にAppleCare+の修理費用は税別3400円に改訂されましたが、これまでスクリーンを破損してしまうと、AppleCare+の保証付きでも1万円近くの修理費用がかかっていました。


2014年のアメリカではスマートフォンの故障費用に235億ドル(約2兆4000億円)を費やしており、iPhoneだけでも10億7000万ドル(約1090億円)に達していることが判明しています。Appleのガラススクリーンの原価は1枚40ドル(約4000円)程度と見られており、Co.DesignはAppleがiPhoneのスクリーンを強化しないのは、「修理費用から巨額の利益を得ているためである可能性がある」と指摘。Appleの技術力を持ってすれば、割れない、もしくは割れにくいスクリーンを作ることは不可能ではないこともこの指摘を支持していると言えます。

2014年の終わりにiPhoneは非常に強度の高い「サファイア・スクリーン」を搭載するとうわさされていましたが、結局サファイアガラスが採用されたのはiPhoneのカメラレンズとApple Watchのみでした。サファイアガラスは既存のガラスより10倍以上高コストであるため、もし採用されていればiPhoneの本体価格が高騰していたことになりますが、モトローラの「Moto ShatterShield」のように、高いコストをかけずに頑丈なスクリーンを作る技術は存在しています。

Moto ShatterShieldは衝撃を吸収するためにスクリーンに5枚の層を設けているのが特徴で、プラスチックを使ったディスプレイが使われています。モトローラが多層構造でスクリーンを強化している一方で、AppleはiPhone 4以降、層を追加するのではなくスクリーンとディスプレイを融合させるという正反対のアプローチを取っています。これによりスクリーンが明るく、薄くなるという利点を得ましたが、破損してしまうとスクリーンだけでなく液晶ディスプレイごと交換する必要に迫られてしまいます。修理会社・iFixitも「iPhoneのスクリーンとディスプレイを分離するのは至難の業」とコメントしています。


「修理費用の利益」以外にAppleがこの手間のかかる融合式スクリーンを採用する説得力のある理由には「美学」が考えられます。「薄く洗練されたデザイン」を追求している可能性があるということですが、iPhone 6ですでに初代iPhoneの半分という薄さに達しており、iPhoneはすでに十分な薄さになっていると言えそうです。iPhone 7では前モデルから薄さの変更はなかったものの、発表前は従来よりも17%薄くなるとうわさされていました。これに対してCo.Designは「このペースでいくとiPhoneは2023年までに厚さ0mmになってしまう」と話しています。

iPhone 7になっても「割れやすいガラススクリーン」には何も変更がなかったわけですが、「問題は消費者がiPhoneのスクリーンが割れやすいことについて、大きな声で不平をあげていないこと」なのかもしれません。Appleがどういう考えで割れにくいスクリーンを作らないのかは定かではないものの、「Appleは25%の顧客のユーザーエクスペリエンスを長期的に無視するというマーケティングを行っている」とCo.Designは述べています。

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in モバイル,   ハードウェア,   デザイン, Posted by darkhorse_log

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